シャロット・ウィンザーってどんな人?
シャロット・ウィンザーはごくごく平凡な学生だよ。
ありふれた茶髪に茶色い瞳。背は、13の男の子としては平均的身長。家族構成は父母妹。え? へぇ、双子なんだ、妹さんと。彼女と毎日、連絡石で連絡を取り合っているとは、仲がいいんだね。
小さな領地をもつ下級貴族の長男である彼。現在は、生まれ育った領地を離れ、王立騎士団学校で騎士候補として学業に励んでいる。成績は、武芸は中、魔術は中の中、学業は中の上、芸術は中の下。どうやら芸術が苦手なウィンザー君。属性は火の魔法。成績は平均的だね。まあ、気にすることはない。ここでは、成績だけがすべてではないのだから。この学校で得た人脈こそが将来出世する上で大切な武器となる。
さて、ウィンザー君の友人を見れば、同じ下級貴族が数人。
・・・え、これだけ!?
むむ。はてさて、まったくもってパッとしないウィンザー君。彼はどんな人なのだろうか。騎士団学校の人に彼のことを聞いてみよう。
「シャルロッテ? 誰よ。それ?」
「ああ、俺、同じクラス。え? どんな奴かって? あ~、親切で優しい奴だよ」
「…あ、うちのクラスの生徒ですよ。え? 教え子としてどうか? …そうですねぇ。真面目で勤勉な子ですよ。彼のような生徒ばかりだと助かるのですが、今年はどうも問題児が多くて。え、彼の名前? …ええと、シャルル・ウィンザーでしたっけ?」
どうやらかなり影が薄いウィンザー君。それでいいのかウィンザー君。もうすぐ、騎士団への入団試験があるというのに。もしも落ちれば、即、田舎の領地に逆戻り。平凡な領主として一生を暮すことになってしまう。
「別にかまいません」
おや、噂をすれば影。ご本人のご登場ですか。
「先ほどから校内で怪しい人物が僕のことを聞きまわっていると言われましてね。立ち話というのもなんですし、こちらへどうぞ」
おや、空き教室ですか。さて、お聞きしたいのですが、ウィンザー君。なぜ私は、喉元に剣を突き付けられているのでしょうか?
「コソコソと人のこと嗅ぎまわりやがって」
おや、口調がいつもと違いますよ、ウィンザー君。
「消えろ」
えええ! そんな上級魔法で焼かれたら、骨まで灰になってしまいますよ。平凡なウィンザー君。その魔法をその年で使える時点で非凡だと思うのは私だけ?
さてここで、彼のとっておきの秘密を、皆様だけにお教えしましょう。
それは、実は彼が、女の子・・・。
「てめぇ! 二度としゃべれないようにしてやる」
それはちょっと、ご勘弁。というわけで、そろそろ物語の幕開けといきましょう。
平凡なウィンザー君。
ちょっと猫かぶりで短気なウィンザー君。
実は女の子なウィンザー君。
これは、そんなウィンザー君の物語。