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2 フランソワ国王陛下に謁見する

読んでいただきありがとうございます

 宮殿は白を基調に金で色々な装飾が施されていて、天井には天使の絵が舞い、廊下には値段の付かない美術品が飾られていた。入り口に立ち呼ばれるのを待っていると

「ミルボ伯爵様とクリストフ・サーマス様、伯爵位を叙されますこと誠におめでとうございます。加えてデビュタントおめでとうございます。先に陛下から伯爵位の任命式がございますのでこちらへおいでくださいませ」

と近従が呼びに来た。


案内されたのは一番小さな謁見の間だろう、と言っても伯爵家の応接間より広いのだが。

「こちらで今暫くお待ちくださいませ。申し訳ありませんがサーマス様は扉の外でお待ち下さい」

フランソワはカーテーシーをして待つことになった。陛下が現れるまでこの体制はかなり辛かった。もう駄目だと思った時、扉が開き側近を連れた配下が入って来られた。


「待たせた、面を上げよ。突然の事故でご両親を亡くされ大変であったな。良く務めていると聞いている。よってここに伯爵を叙すると任命する」


「国の太陽であらせられます国王陛下にお目通りできこの上もない幸せにございます。伯爵位を賜りまして有り難き幸せにございます。亡き父に恥じぬよう努める所存でございます」


「気負わぬ様に、しかし足元を掬われぬように頑張って欲しい。。これからデビュタントだったな。また会場で会おう。フランソワ」


「はいありがとう存じます」




陛下が側近を連れ出ていかれると一気に気が抜けた。


「はあ、クリストフ緊張した」


扉の前のパートナーに思わず声をかけていた。


「これからデビュタントですよ、大丈夫ですか?」


「大丈夫よ、これからが勝負だもの」


「そちらに出されているお茶を飲まれませんか?匂いを嗅ぐ限り毒物は入ってなさそうです」


「そんなことまで分かるの?凄いわね」


「それも仕事のうちでしたから」


「お祖父様は一体どんな仕事をさせてたの?」


フランソワはお茶を飲んで喉を潤した。流石に宮殿のお茶の葉は上等なものが使ってあった。お陰で一息つけて後半戦で戦えるようになった。



 デビュタントでは最初にクリストフと踊り王子様とダンスを踊った。

終わると伯爵になったフランソワに早速ダンスを申し込む者が後を絶たなかった。笑顔を張り付けて踊ったが、数人踊ると疲れたのでと言って断り、帰ることにした。



馬車の中でクリストフが

「今日はどなたか良さそうな方はおられましたか」


「皆アピールが凄かったわ」


「そうですか、お嬢様は優良物件ですからね」


「人を物みたいに言わないで。疲れたわ」


「色々ありましたからね。帰ったらゆっくりお休みください」


「クリストフ侍従になってくれないかしら、給金は今の倍にするから」


「仕事が増えるんですよね、考えさせてください」



 屋敷に帰りエミリーにドレスを脱がせて貰い、お風呂を済ませると直ぐに眠ってしまった。


次の日の夕食は使用人たちが心を込めて作ってくれたご馳走でお祝いをしてくれた。

使用人達の思いやりに温かな気持ちになった。



「お嬢様、おめでとうございます。これは使用人一同からのささやかなお祝いでございます」



「皆ありがとう、こんなサプライズ思ってもみなかったから嬉しいわ。今日はいいお酒を出すから楽しんでね。でも明日も朝から仕事だから程々にしなさいね」


皆古くからいる使用人ばかりなのでお嬢様が虚勢を張って頑張っているのは分かっていた。

それがお嬢様を守る方法であり鎧である事を感じていたので、何があっても付いていこう皆決心を固めていた。


こうしてお祝いの会は更けていきご馳走が無くなった頃に皆で片付けてお開きとなったのだった。





 何とか仕事も回せるようになると、やはり配偶者問題が顔をもたげて来た。


「両親が亡くってからというもの釣り書が凄いわね。吟味しないと家を乗っ取られそうだわ」


「主いっそ契約結婚はどうですか。最初からビジネスライクに割り切るのです」

クリストフは侍従になるとフランソワへの呼び方を主に変えた。


「政略結婚は聞いたことがあるけど契約とは初耳だわ」


「三年というのが普通だそうです。それくらいあれば為人も解るでしょうし、駄目な男ならその時点で早目に切り捨てれば良いのです。まあその前に普通のお見合いもなさってくださいね。これだけ釣り書が来ているのですから」


「それはお祖父様からの命令なの?」


「先が短いと思ってらっしゃる故にご心配なんでしょうね」


「まだ五十過ぎで若いわよ。でもそう言われると従うしかないかしら、長生きしていただかないと困るし」

そうして選ばれたのが貧乏子爵家の三男アラン・スターリングだった。借金があるわけではなかったが漸く学院に通えるくらいの財力だった。


身辺はくまなく調査され女の姿もなく、学院での成績も常に五位以上、性格は真面目で穏やか。低位貴族の三男ということで見目は良いが令嬢からは結婚相手として認識をされてはいなかった。遊び相手として狙われていたらしいが上手に躱していたらしい。


「あまり完璧で怖いくらいだわ」


「会ってみて判断されれば良いかと思います」


こうして顔合わせが行われることになった。



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