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十三話 浮気は許されない


 顔に思いっきり水をかけられて目が覚める。

 あたりは微かに暗くなっており、時間が少し立っていることが窺える。


 「ようやく意識が戻ったんだね……」


 杏が心配そうに呟いた言葉に実感がこもっており、自身の身に危険が迫っていたことがわかった。

 まさか、春咲さんの手料理で死線を彷徨うことになるとは……

 ただ、当の本人はなぜか嬉しそうなので、その笑顔に恐怖を感じる。


 「安心しろ、お前の株が上がるように春咲には適当に誤魔化しておいた」


 柊一は僕に近づき周りには聞こえないような小声で呟いた。

 それは果たしてグッジョブと言ってもよいのだろうか?

 

 「あっ、藍崎君、目覚めたのですね! まさか、私の料理をみんなの分も食べてしまうなんて…… また、藍崎君のために料理を作ってきますね!」


 記憶は全くないのだが、僕は春咲さんの料理を全員分食べてしまっていたようだ。

 これは愛の成せる技なのか、はたまた、僕以外の被害者をださないためなのか……

 数時間前の僕はもうすでに死んでいると言っても過言ではないので確かめる術はない。


 「よかったじゃないか、龍斗。 春咲の手料理がこれから先も食べられるんだぞ」


 柊一の言葉に春咲さんはキャッと可愛い声を出し、頬を赤く染める。

 僕はなんとか拒否しようとしたが、そんなことできるはずがない……

 こいつ、この状況を楽しんでやがるな?




 「いやいや、私も藍崎のために料理を作ってやってもいいぞー?」


 「いやいや、それは遠慮しとくよー」


 なぜかはわからないが、観月さんに対してはすぐに拒否することができた。

 まぁ、あのワサビさえなければ普通に美味しいものだったのだが……


 「なんで、断るんだよ! まさか……」


 そう言って、少し間があく。

 よくわからないが、嫌な予感がする……


 「それなら早く言ってよ、刺激が足りなかったんだよね? 藍崎は卑猥ひわいだなー」


 「何を想像してるの? その発想の方がおかしいから!」


 本当にこの子は何なの?

 絶対におかしいよ……




 「柊一には私が毎日料理を作る」


 「遠慮しておく」


 待雪さんの発言に対して柊一は冷たくあしらう。

 あんな美少女の手料理が毎日食べられるのにそれを否定するなんて……

 万死に値する!


 「拒否権はない」


 「いいや、断る」


 なぜ、そこまで頑ななんだ?

 待雪さんに対しては今まで見たことがないくらい、素っ気ないように感じる。


 「もしかして、浮気?」


 「なぜそうなる! そもそも俺たちはつきガッ、」


 言い終える前に、短くなんとも言えない声が響く。

 柊一の方を見ると待雪さんが顎を鷲掴みにしており、ミシミシとよくない音が聞こえる。


 「浮気は許さない……」


 「ほ、ほはいは」


 誤解だと言いたいのだろうが、ろくに発音ができていない。

 星が出てきて綺麗な夜空にひとりの悲鳴が響き渡るのだった。


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