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鳥になりたかった少女7  作者: 葉里ノイ
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第七章『秘』

  第七章 『秘』



 虎の畸形を速やかに始末した結理は、騒ぎが起こる前に処理をし、周囲を見回ろうとしていた所だった。

 暗い住宅街の中で、通信機から困った声が飛び出してきた。話を聞いた結理は珍しく、ふふ、と笑ってしまいそうになる。

「この時間は両親も使用人も誰もいないはずだわ。心配しなくてもいいわよ」

 清依から通信が入り、何か問題でもあったのかと思えば、久慈道宰緒の家に爆撃機を墜落させてしまったとは。家はまた建て直せば良いが、あの両親も少しは参っただろう。宰緒なら喜びそうだ。嫌な記憶しかない場所が破壊されたのだから。

「あそこはもう抜け殻だから」

 宰緒の中の蟠りも少しは軽くなるのではないだろうか。

『姉さんの方は? まだ戦闘中だったら、もう切る』

「終わったわ。処理も完了した。後は他に武器を持った違界の人間がいないか、また爆撃機が飛ばないか、見回りね。各自で回りましょう。また畸形がいたら知らせてちょうだい」

『了解。お疲れサマです』

 ぷつりと通信が切れる。爆撃機が飛べば、処理は清依に任せておけば良いだろう。清依の狙撃銃だと空に届くが、結理の刀だと跳んでも届かない。彼の狙撃の腕は認めている。地上の敵に集中することにする。

 遣ることは今までと変わらないが、数が多い。違界の一般人が青界に逃げ込み危害を加えるのとは訳が違う。城が攻めてくることは、考えたことがなかった。外と中が交わることなんて無いと思っていた。城が転送装置を手に入れると、こんなにも厄介だとは。城が何をしたいのかはわからないが、向かってくる敵を払い除けるしかない。


     * * *


 硝子の無い高所の窓から見える夜空は、とても見晴らしが良く気持ち良かった。

 飛び散った硝子片や小さな瓦礫を片付けるのを手伝っていた宰緒は、箒の柄に顎を載せ外を見る。

 患者のいない病院の違界棟に避難させてもらう代わりに、天利から掃除を言い付かった。塵取係のモモは床に塵取を固定しながら、動きの止まった宰緒を不思議そうに見上げている。

 一度爆撃のあった場所に再び爆撃機を飛ばすことはないだろうと思っている。より被害を拡大させるためにあちこち自由に飛ばすだろう。最初にあった宣戦布告の主にはそんな印象を抱いた。玩具で遊ぶ子供のような。

 だから宰緒は病院に残り避難することを選んだ。万一何かあった時も、天利がいるのは心強い。病院には備蓄もある。

 黒い空にぽかりと浮かぶ欠けた月を見上げ、ルナはまだ生きているだろうかと考える。紫蕗がいれば大丈夫なのだろうが、何せあの体調だ。途中で倒れていなければ良いのだが。


「宰緒君、ちょっとこの部屋使うね」


 コンコンと軽く壁を叩いた後、返事を待たずに入ってくる。宰緒は外から中へ目を移し、ぎょっと目を見開いた。

「そいつは……」

 顔に殴られた痕があるのは、天利が遣ったのか。白い服を着た男が力無く抵抗しながら引き摺られている。

 天利は肩に掛けていた銃をベッドに放り、部屋の隅の大きな瓦礫に男をきつく縛りつけた。

「病院の外を彷徨いてたのを見つけて捕まえた。捕虜だよ」

 銃は男から取り上げた物らしい。緊張感なく淡々と準備をしている。

「二人はちょっと下がってて。見学は自由だけど」

 突如湧いた不穏な空気に、モモは塵取を捕虜と対角の隅へ置き、壁を背に張り付いた。

 子供が見学していても良いものかと疑問には思ったが、宰緒も箒を持ったままモモの隣に並んだ。何となく手持ち無沙汰だったので、箒は持ったままだ。

 天利は椅子を引っ張り、捕虜が例え腕や脚を伸ばしたとしても届かない位置に置いて座った。

「最初に言っておくけど、尋問が拷問になるかは君次第だから。私は医師だから、死なないようにギリギリを攻めることができるし、いくらでも痛いことができるよ」

「……!」

 ごくりと捕虜が唾を呑むのがわかった。腕と脚を組んで冷たく凄む天利に捕虜は既に気圧されている。尋問で充分だろうと、宰緒でもわかった。

「何から訊いてみようかな……」

 捕まえたは良いが質問を考えていなかった天利は、腕を組んだまま首だけ宰緒を振り返る。見学なのに意見を求めて巻き込むなと宰緒は思った。

「まあ……何で攻めてきたか、とか?」

 ぱちぱちと目を瞬きながら、落ち着きなく目を彷徨わせた。天利はともかく、その先の捕虜とは目を合わせたくなかった。自分は関係ない他人ですという体を貫きたかったが、どう見ても手遅れである。

「よし、それでいこう。何故、攻めてきたのか」

 捕虜に向き直り、天利は再び凄んだ。

 男は暫く口籠もったが、天利が徐ろにナイフを取り出すと、震えながら喋り出した。

「……イド様の、命令で……」

「イド?」

 知らない名だった。城の中の者だろうが、天利は違界から離れてもう随分と経つ。元々城の中を知っていたわけではないが、特に最近のことはわからない。

「宰緒君、ちょっと色羽ちゃん呼んできてくれる?」

「畸形の?」

「そう」

 言われた通り、宰緒は面倒臭がらずに色羽を呼びに行く。違界の人間が青界を襲う理由は知りたいと思っていた。何も知らないまま一方的に攻撃され続けるのは癪に障る。

 色羽を呼ぶと一緒にいた黒葉もついてきたが、掃除の手を止め、塵取と箒を持ったまま天利のいる部屋に入る。入った瞬間、捕虜を見て二人は固まった。

「何ですか? この人……」

「捕虜だと。尋問中だ」

「捕虜……」

 宰緒がモモの隣に戻るので、色羽と黒葉も倣って壁を背に並んだ。尋問というのは初めて見る。何のために呼ばれたのか、色羽は緊張した。

「色羽ちゃんは、イドって人知ってる? 城の中の人だと思うんだけど」

「城の中? いえ、聞いたことないです。王族なら名前の通ってる人もいますが、その他の人はちょっと……」

「ってことは、王族じゃないのかな」

 うんうん頷き、天利は立ち上がった。男の片手から指を一本掴み、よく見えるようナイフを翳す。表情は変えず、淡々と。男は小さく悲鳴を上げ体を捩ろうとするが、縛られていて動けない。

「イドって、誰?」

「いっ、イド様は……コアのっ、上級研究員で! よく、王の勅命を伝達してっ、くだ、さる……っ!」

「成程。君は何て言われてここに来たの?」

「青界をっ……攻め落とせ、と……手当たり、しっ、次第っ……」

「何故?」

「なっ……何故? 青界を、こわっ、壊す……? 手に、入れる……ため……?」

「何故?」

「へぁ!? ……そっ、それはっ……我々、下級員にはっ、王の思惑までは……」

「上級員っていうのは? こっちに来てないの?」

「青界に、送られてるっ、のはっ……下級員と、畸形、だけっ、で!」

「もしかして、最初に宣戦布告してきたのが、イド?」

「そっ!? そう! です!」

「ふぅん」

 男の指の間に、がん! と瓦礫に思い切りナイフを突き立てる。男は「ひぃ!」と顔を逸らした。血も涙もない連中だと思っていたが、城の人間にも痛みを恐れる恐怖の感情があったとは。

「じゃあ、個人的に気になったことも訊いてみるね」

 椅子に戻り、ナイフをちらつかせながら座る。見ている宰緒達にも冷や汗が流れる。ナイフを突き立てた時は思わず目を閉じてしまった。指が吹っ飛んでいなくて良かった。

「転送装置は、どうやって手に入れたの?」

 転移草が奪われたという話はルナと色羽から聞いている。だがその草だけでは、人間を転送できない。草を装置に加工しなければならない。一体誰が、それをしたのか。

「そっ、外の技師がっ……作ってくれた、とっ、聞いてます!」

「誰?」

「……たっ、確か……リヴル? と……」

 その名を聞き、色羽の肩が跳ね、見る見る顔が蒼褪める。紫蕗の師匠の名前だと、この場の捕虜以外は知っている。城につくことは残された布片に書かれていたが、青界への奇襲の助けをしていたとは。最悪じゃないか。

「リヴルって人は、城に大金でも積まれたの? 城が外の人と仲良くするなんて、余程気に入ったんだね」

「金を積んだかまでは……ただ、話を持ち掛けたのは、リヴルの方だと……」

「何て話を持ち掛けたの?」

 天利は無言でナイフを構えた。男は震え上がりながら、記憶から答えを探り出す。

「くっ、詳しくは、我々にはっ……! こ、交換条件だった、とだけっ!」

「交換条件?」

「なっ、なな内容まっまではっ、あああああ!」

 話の途中で天利はナイフを投げ、男の首筋皮一枚のギリギリに刺した。それを抜くため、天利は再び席を立つ。宰緒達はまたしても反射的に目を閉じてしまった。

「それを知ってる人は、こっちに来てないの?」

「来てないと……思います……」

 男は肩で息をしながら、ぐったりとしている。

「個人的な興味も聞いていい?」

「ふぁ!?」

「城の人に話を聞く機会なんて、ないからさ」

「…………」

「爆撃機って、何であんなに音がしないの?」

「え? あれ、は……畸形の力で浮いてる、と……」

「畸形? 凄い腕の立つ技師がいるんじゃなくて? どんな畸形?」

「植物型の、畸形で……物を、浮かせられると、聞きました……」

「へぇ、技師じゃないんだ」

 畸形の力が浮かせているならおそらく、エンジンはついていない。ついていたとしても、動いていない。だから音がしないのかと、ナイフをくるりと弄びながら思う。男はナイフが動く度に体を硬直させる。

「よし、捕虜。質問が思いつかないから一旦質問会は終了ね」

「はっ、はい!」

 律儀に返事をする。心做しか解放されて嬉しそうだ。縄は解かないが。城に忠誠心など無いのか、思っていたよりも素直に色々と喋ってくれた。

 瓦礫に縛りつけたままで、ナイフを仕舞いつつ天利は宰緒達に向き直った。宰緒達の心臓にも悪い質問会だった。

「――どう思う?」

 戻ってきた天利に各々目を見合わせる。天利の尋問についてなら、敵に回したくはないと思ったが。

 最初に口を開いたのは、色羽だった。

「植物型の畸形は、初めて聞きました。物を浮かせる植物なんて聞いたことないです」

「私も初めて」

 そこから切り出すのかと少々齟齬があったが、色羽の言葉には宰緒も気になっていた。

「転移草なんて物があるんだから、浮く草もあるんじゃ?」

 違界には青界にはない不思議な物や現象が多くある。その一つとして転移する草なんて物が存在するのだ、ふわふわと宙に浮く草が存在していても不思議はない。

「そんな植物があれば、とっくに技師が何でも空に飛ばしてると思います」

「何だろうな、この説得力」

「師匠からそんな話は聞いたことないです」

 技師が違界でラジコン集団になっていないことで、裏付けされるとは。

「でもリヴルって奴は、翅を作って飛ばしてたんだろ?」

 違界では知らない人など殆どいないであろう、有名な胡蝶姫の話を思い出す。背に生えた大きな翅で自由に空を舞っていたという少女だ。

「胡蝶姫の翅は、リヴルさんだからこそ作れたんだと思います。自分の特異体質を利用したと、師匠から教えてもらいました」

「特異体質?」

「リヴルさんは宙に浮いてるそうです」

「想像が愉快になったんだが、合ってるか?」

「頭の中は覗けないので……正確には、地面へ向けて垂直方向にある物から一定距離を離れてしまう、例えるなら同極の反発する磁石のようなものです」

「思ったよりはマシだった」

「宰緒さんの頭の中の方が気になるんですが……」

 頑張って考えてみようとするが、何も思いつかなかったようで色羽は諦めた。

「靴を履く時は、足を地面と平行にすると、履けるそうです」

「地磁気とは違う……?」

「磁界は関係なく、特異体質なので。師匠の髪色の変化と同じ類です」

 やはり違界の現象は宰緒にはよくわからなかったが、そういうものだと思うことにした。青界の理屈で考えても駄目だ。とにかくリヴルって奴は宙に浮いている。それだけだ。浮いているなら、浮かせ方もわかるのだろう。それで胡蝶姫の翅を作ることができた。

「もしかすると……」

 黙って話を聞いていた黒葉は、ふとあることが引っ掛かった。偶然とは言え、自分がもし()()なら、気になるだろう。

「音の無い爆撃機を動かす、物を浮かせる畸形が条件だったんじゃ?」

 天利はハッと目を丸くするが、すぐに考える仕草をする。

「城の中に入る前には、わからないよね? それ」

「外からでも、爆撃機を調べれば何か出てくるだろ?」

「調べるって……あんな危険な物調べるなんて、考えたことなかった」

 リヴルほどの技師になれば、いや似た属性の特異体質があったからこそ、気づけたこともあるだろう。そしてそれに気付けば、誰がその主なのか、その主は何なのか、気になることだろう。城の中に潜り込めた今なら、もうその主が植物型の畸形だと行き着いたかもしれない。

「それにしても、青界を襲う手伝いをするのは遣り過ぎだよ」

「襲うことは知らされてなかったとしたら?」

「……タチが悪い」

 何らかの理由で唆された可能性。それなら全面的に城が悪者になる。飽くまでリヴルを被害者と仮定するならの話だが。

「それも訊いてみようか」

 今は情報収集に便利な捕虜がいる。再び尋問を始めようと振り向くと、男はぐったりと口を半開きにして意識を飛ばしていた。尋問が終わり気が抜けたのか。

「安心して気絶するって何なの?」

 天利は呆れて溜息を吐いた。宰緒達の心臓にも悪いので、もう少し待っても良いと皆は思った。


     * * *


 黒い地下鉄跡の中でコアに戻る道筋を確認し、司とクロは地上へ戻った。クロは再び仮面を被り、入ってきた床の穴を閉じて絨毯を元通りに敷く。家の外に人の気配がないか確認する。――問題なさそうだ。

 コアの人間が、落ちた司を捜しているかもしれない。見つからない死体を血眼で捜しているのならありがたい話だが。落下地点に近い森は迂回し、外壁へ向かう。

 夜の闇に紛れて外側の壁まで辿り着くと、後は壁沿いに進むだけだ。司の拵えた抜け穴がある。自由に街へ繰り出せるように複数用意していると、司は得意気に言った。

 抜け穴のおかげか想像していたよりも簡単にコアに戻れた。誰とも遭遇しなかった。

 まずは司がどうしてもと言うので、司の自室に行くことになった。城の端の方なので、誰とも擦れ違うことはない。

 ほんの一日程だが、随分と長く帰っていなかった気がする。自室の扉を開けようとして司は少し違和感を覚えるが、気にするほどではないと部屋に入った。一直線に机の引き出しを開け、中から布の塊を取り出しクロに見せる。

「覚えてるか? イルがくれた髪飾りだ」

 歪な布切れを重ねて花とした、クロには少々恥ずかしい品だった。

「ああ……まだ持ってたのか……」

「当然だろう! 墓まで持っていく」

 クロは頭を抱えた。今ならもう少しマシな物が作れると思う。

 司はうきうきと大事そうにポケットに入れ、ふと部屋の奥を見遣り眉を寄せた。やはり何かがおかしい。別の引き出しから銃弾も取り出し装填し、余分な弾もポケットに捻じ込む。

 早足で部屋の奥へ歩を向ける司に、クロも怪訝に警戒する。

 ベッドの奥のクロゼットに開けられた痕跡がある。こんな物を開けても服しか出てこないのに。

 開けて中を確認すると、白衣が一着、消失していた。念入りに確認してみるが、他に無くなっている物はない。本棚も薬棚も全て確かめた。

「白衣だけ盗まれた……?」

 首を捻る。他に用途がありそうな薬品や機器はそのままで、ただの白衣が一着だけ無い。

「どういうことだ?」

「死んで処分なら、全部無くなってるはずだな」

「縁起でもないが、そうだね。珍しい物でもないし、白衣を欲しがる人と言うのは……私の、ファン?」

「…………」

 クロは奇異の目で司を見た。

「冗談に決まってるだろう」

 ぴくりとも笑わず真顔で返された。

「二つ考えられる。単純に白衣が必要だったか、上級員の白衣が必要だったか」

「変装なら後者の場合、顔でバレるだろ」

「ああ。だからその場合は、それを知らない者だ。前者もだね。下級員の白衣ならともかく、上級員の白衣はリスクが高い」

「それを知らないのは……外の人間か」

「もしくは着るためではなく、私の逃走を助けてくれる偽装として何処かに落としてくれてる、とか」

「心当たりあるのか?」

「ないねぇ」

 戯けるように両手を上げて見せる。

「侵入者の線は、強ち無いとも言い切れないしね」

 目を細め、部屋の出入口に一瞥を向ける。開け方を知らない人間が開けた痕跡があった。

「上手い奴だね、相当」

「上手い?」

「力任せに抉じ開けるんじゃなく、順を追って丁寧に解錠されてる。これは開けられたことに気付きにくい」

 司も城の中では技師の端くれだ。外の技師には及ばないかもしれないが、城の中の物なら詳しい。

「隠れてる最中に揺れを感じた。イルも感じただろう?」

「……ああ」

「忘れもしない、地雷での揺れだと思う。以前より随分と派手に爆破させられてたようだが、それを遣った奴が犯人かな?」

 司は扉に手を遣り、口の端を嬉しそうに持ち上げた。

「外の人間なら、会ってみたいものだな。雪哉と千佳が技師を連れて戻ってきてくれた可能性もある。コアの中を彷徨いていたら、鉢合わせることもあるかもしれないね」

 本当に城を壊してくれるなら、ありがたい話だ。もし雪哉が来ているなら謝りたい。知らなかったとは言え、大変な物を移植してしまった。生きているなら、それほど喜ばしいことはない。

 司はクロを促し、部屋を出る。白衣が一着消えていようと、ここで犯人を突き止めるべく推理している暇はない。先を急がねば見つかるのは時間の問題だ。

「水藻の所に行こう」

 目的の中でここから一番近いのは水藻のいる部屋だ。この辺りは人と擦れ違うこともないが、水藻のいる階層では遭遇率が跳ね上がる。覚悟して行かねばならない。

 なるべく人のあまり通らない道を選択して走る。わかりにくくはあるが、所々監視カメラが設置されている。司が通過する際は自動で映像が差し替わるように元々細工しているが、侵入者はカメラの存在に気付いているだろうか。この騒ぎの中では映像を監視している者などいないか?

「――う、わっと!?」

 角を曲がった瞬間、床の障害物に躓きそうになり、慌てて床を蹴った。――人間だった。

 倒れたまま微動だにしない研究員は、胸を撃ち抜かれていた。面識のない顔だが、下級員の白衣を着ている。いつ遣られたのか正確にはわからないが、流れる血はまだ新しい。監視カメラもあるのに全く騒ぎになっていない。手が足りず放置されているのか、気付いていないのか。

 だがそんなことを気にしている暇はない。生死は定かではないが、構っていられない。おそらく侵入者に遣られたのだろう。武器も持たず手ぶらで侵入することはないとは思っていたが、銃を所持している。司にとって侵入者が敵か味方なのかはまだわからない。はっきりするまではコアともう一つ、侵入者も警戒しなければならない。

 走り続け、遠回りをしたこともあり妙に長い時間走っていた気がするが、漸く水藻の部屋の付近まで辿り着き、慌てて角に引き下がった。後ろにいたクロに思い切りぶつかるが、受け止められた。

 司は口元に人差し指を当て、数秒固まってからゆっくりと角の向こうへ目を遣った。廊下の先に角を曲がっていく姿が見える。

「イドがいた」

「司が死んだと思って、水藻の担当があいつに?」

「さすがに早過ぎる。行こう」

 暫く待っても戻ってくる気配はない。司とクロは急いで水藻の部屋に滑り込んだ。


「――――は?」


 部屋の大きな水槽の中で、水藻が困惑したように跳ねた。

「どういう……ことだ……?」

 一度は距離を取るが、確かめるように手前の縁に手を掛けて司の姿を凝視する。司はあまり見ない水藻の狼狽にきょとんとした。

「どうした? 水藻」

「司……なのか?」

 こくりと頷くと、水の中へ潜りそこからも凝視する。水中から見ると何か変わるのだろうか。

「騙された……?」

 やがて水面に顔を出し、ぽつりと呟く。あいつなら遣りかねない。そう思うと急に腹が立ってきた。

「どうした? イドに何か言われたか?」

 先程、水藻の部屋から出て来たイドが彼に何かを話したことは間違いない。水藻を困惑させるようなことを言って、何がしたいんだ。

「イドに……司が死んだって言われた」

「ああ、何だそのことか!」

 司は明るく手を打った。もっと何と言うか、大変なことを言われたのかと思った。

「そのこと……?」

 訝しげに端整な眉を顰める。

「コアの皆は、私が死んだと思ってる。色々あってね。今は私はコアの敵だ」

「…………」

 急な展開についていけず、水藻は水面でぶくぶくと不満そうな顔をした。

「……イドは二回来た。一回目は司が死んだってことと、どれくらい水無しで活動できるか、訊いてきた。二回目が今」

「今そこでイドの後ろ姿を見たよ」


「コアに侵入者がいるかもしれない。見つけ次第殺して、もし、司も生きてるのなら、見つけ次第殺せ」


「!」

 目を見開く。――そうだ、水藻の部屋には今、鍵が掛かっていなかった。自由に部屋から出られるように開けて行ったのだ。

 落下地点からあまりに痕跡が見つからないことで、生きている可能性も視野に入れ始めたようだ。クロは棒状の武器を抜き、水藻に向けて構える。彼の畸形の力は知っている。電気だ。尾が全て発電器官だ。なるべく判断する時間を与えず、触れる時間を最低限にしなければならない。どの程度の速度で放電するのか、未知数な部分もある。

 警戒するクロを、司は手で制した。

「水藻の答えは?」

 水面を見上げ、水藻の目を見る。硝子のような灰色の双眸は、困惑の色が強い。

「答えなかった……。僕はイドが嫌いだ。司は変な奴だけど、痛いことはしない」

 それが本心だった。司が何故追い込まれたのか詳しくは聞いていないが、イドか司かどちらか選べと言われると、水藻は司を選ぶ。司が死んだと聞かされた時は動揺した。それは信じられないと言うこともあったが、死んでほしくないと思ったからだ。それを自分の手でなんて、殺せるはずがない。

「変な奴は余計だが、私は嬉しいよ」

 司は安堵したように微笑んだ。水槽の縁に向かい、手を伸ばす。

「一緒にここから出ようか、水藻」

 水藻に少しでも迷いがあれば、手が触れた瞬間に感電させられる。それでもそのことは気に留めず、手を伸ばした。彼は少しの沈黙の後、ゆっくりと濡れた手を伸ばし、赤い爪先で司の手に触れた。

「……水が切れたら足手纏いになるけど」

 少し間があったのは、水に関してだった。長時間水の無い状態でいられない。それは長年水藻の担当を務めている司もわかっているはずだ。

「その点は問題ない」

 徐ろにポケットから、試験管のような細長い棒を取り出す。

「外の収納装置を参考に作ってみた。これで水を収納する」

 原理はよくわからないが、水を持ち歩くことができるのだろうと水藻は推察した。尾を一振りして勢いをつけ、水槽の縁に飛び乗る。

「司が問題ないって言うなら」

 ぴしゃりと床に飛び降り、壁際に掛けてある外出用の外套を羽織る。忌まわしい両腕と両脚の包帯が隠れる。

 その背後で司が試験管のような細長い棒を翳す。水槽の水は見る見る棒に吸い込まれ、あっと言う間に水槽は空になった。一体あの棒にはどれくらいの容量が仕舞えるのか、水藻は水滴一つ残っていない空の水槽をぽかんと見詰めた。

 呆然とする水藻の手に、その棒型収納装置が握らされる。

「これはお前が持っていろ。直接飲むもシャワーのように噴射するも自由だ。欲しい時に欲しいだけ水が出せる。中にどれくらいの水が残っているかも、一目でわかるようにしてある」

 試験管のような棒を立てて持つと、中の水が直接見えているのかは定かではないが液体が入っているのがわかった。その上部にある小さな穴の空いた金具に司は紐を通し、水藻の首に掛ける。持ち運べる水。これがあれば本当に自由に外で動ける。水藻は目を丸くしながら、大事に外套の中に仕舞った。自分の物、と言うのは初めてだった。むず痒いような、これが嬉しいという感情なのだろうか。

「ロゼも助け出したいんだが、いいかな?」

「ロゼも? いいけど、あいつの所は人が多いんじゃ?」

 水藻よりもロゼの方がコアの中で重要度が高い。当然周囲に人間も多くなる。当然の懸念と言える。ロゼはコアの大事なお姫様なのだから。

「そうなんだが、今は私を捜すための人手や侵入者へと人が割かれてる。絶好の機会だ。それに――」

 ――青界にも、人間が送り出されているだろう。元々城の中の人間の数は多くはない。同時に発生した全ての事柄に均等に人間を割いたなら、割り当てられる数は相当少なくなる。今はロゼの周囲も手薄になっているはずだ。中心になり動いているのはイドのようだが、侵入者だけは想定外ではないだろうか。

「……とにかく今がチャンスだ」

 廊下へ意識を向けながら、誰もいないことを確認し三人は静かに走った。水藻はあまり陸地が得意ではないが、多少なら走れる。普通の人間より疲れるのが早いと思うが、できるだけ司から離れないように走る。どうせなら水陸両用の畸形に産まれたかった。頭の角は発電器官である尾とは別の生物らしいが、陸上の生物ではないことは確かだろう。おそらく、あれも。

 ロゼの部屋がある階層まで行くと、人の気配が濃くなった。人手が足りないだろうと言っても、完全に無人にはなっていない。

 見張りや見回りではなく、出入りする者が多いのだ。コアの重要施設が集中している階層なのである。何が目的かはわからないが侵入者も、この辺りを狙う可能性は高い。より入り組んでいるので、ばったり出会すことはないかもしれないが。

 侵入者に遭遇することはないが、研究員には出会す。研究員の方が驚いた顔をし、クロが棒状の武器で殴り倒す。外ならば随分と微温い遣り取りだが、目付の規則として銃を持つことは禁止されていた。司がまた何か遣らかした場合、それを止める物としてすぐに殺せる銃は不味い。そしてもしこの素性の知れない目付が危害を加えようとした場合、殺傷力の高い武器を持たれていては厄介だ。刃物も特別な仕掛けも付いていないただの棒が、クロに与えられた唯一の武器だった。微温い武器を手に、クロは仮面の奥で目を伏せる。

 研究員達は皆護身用に銃を一挺所持しているが、司にその銃を貸してくれとは言えない。

 角から会話をしながら現れた二人の研究員も驚いた顔で会話を止めるが、呆気なくクロに倒される。

 慣れた殴打の音に混じって、銃声が聞こえた。何処から、と考える前に、司が壁に体を打ち付け、膝を突いた。抑えた腕から白衣に赤い色が広がっていく。

「司!」

 銃声を耳にしてか、また一人研究員が銃を取り出しながら駆けつけてくる。相手をしていては、司に駆け寄ることができない。だからと言って相手をしなければ、撃たれるだけだ。

 先程倒した研究員だ。殴打が甘かったのだ。やはり気絶させるだけでは微温い。視界の隅に俯せに倒れながらも銃を構える姿が見えた。また引き金を引かれる。銃口は司に向けられたままだ。情報が行き届いているのだろう。王族の司に対して躊躇いがない。突如定められた規則を犯したと言っても皆の上に立つ王族を始末するなど、多少の罪悪感を見せるのではと思っていたが、それも甘かった。積極的に戦うクロではなく、迷いなく司を狙ってきた。

 背後から仕留め損ねた研究員が襲ってきたことに、水藻はすぐに気付いた。自分が殺したくない人を、何故他の人間が殺す所を見せられなくてはならないのか。

 ある日水藻は、自分の異変に気付いた。担当が司ではなく誰だったか前任の奴の時だ。今より頻度が低かった外出中に一人で泳いでいる時、水面に映る自分のいつもと違う姿を見た。頭が割れそうに痛かった。

 あの時の姿を思い出し、水藻は銃を構える研究員を振り返った。嫌な姿だが、クロは他の相手をしていて手が離せない。遣れるのは水藻しかいない。瞬きの後、開いた双眸は朱くなり、硝子のような頭部の二本の角の間から、六本の硝子の触手が生える。

「!?」

 司もクロも酷く驚いていることが、背中越しでもわかった。当然だ。こんな姿、誰が見ても驚愕する。朱い双眸が害毒ではなく畸形由来であることは自分ではわかっているが、それでも朱い双眸は人々を戦かせる。恐怖の象徴だ。

 硝子のように透ける六本の触手を伸ばして銃を払い、研究員を絡め取り締め上げた。人間を締め付ける柔らかくも強張った感触と、内臓から絞り出すような呻き声。このまま電気を流せば感電させることもできるが、人間の致死量の電流の大きさが水藻にはわからない。加減ができない。殺してしまうのは後味が悪い。それは知っていた。

 やがて研究員は指先一つ動かなくなり、漸く気を失ったと判断ができた。触手を弛めると、糸の切れた人形のようにぐしゃりと崩れ落ちた。

「はあ、はあ……はあ……」

 初めて人に故意に危害を加えた。調整ができず誤って感電させてしまうことは過去にもあったが、自らの意志で危害を加えたのは初めてだった。嫌な感触だった。無意識は一瞬だが、意識するととても長い時間苦しい。

 うぞうぞと蠢く触手に視線が刺さる。気持ち悪いと思われた。そう思った。

 もうここには敵はいない。急いで触手を引いて仕舞う。こんなもの、長時間晒していたくない。頭も割れるように痛いのだ。

 司がクロに手当てをされている間、水藻は背を向けていた。目の色はもう戻っただろうか。自分では見えない。

 司の負傷はどうやら掠っただけのようで、弾は腕に残っていない。不安定な体勢で撃ったからだろう。手当てを終え、司は水藻の背に声を掛けた。

「水藻、ありがとう」

「…………」

 逡巡するがゆっくりと振り向く。水藻自身にはわからなかったが、目の色はいつもの灰色に戻っている。

「害毒じゃない……から」

 開口一番がそれかと、司は目を瞬いた。

「それは見ればわかるよ。害毒の紅い瞳はよく紅玉(ルビー)に例えられるが、水藻の目は……そうだな、紅玉髄(カーネリアン)と言ったところか。全然違うよ」

 その違いは水藻にはわからずあまり納得がいかなかったが、ここで長話をしていればまた他の研究員が駆けつけてくる。司は先を促し、水藻も渋々走った。

「よく今まで隠し通したね。尾の検査ばかりで頭にまで手が回らなかった」

 目立つ角は勿論調べたが、中までは調べなかった。前任からの引継ぎに無かったこともあるが、頭を割ってまで調べようとは思わなかった。

「最初から知ってたわけじゃない……気分が少し悪い時に発現して、気付いた」

「そうか。それが明るみに出ていたら、戦闘の主力として扱われてたかもしれないね」

「…………」

 それは水藻の望まないことだ。隠してきて良かったのだと改めて思った。

「けどそれを見せてもらえて良かったよ。これで水藻の残りの生物が何なのかわかった」

 一瞬興味を示すが、聞きたいような聞きたくないような、複雑な気持ちだった。そんなにわかりやすい生物なのか、あの気味の悪い姿は。

「おそらくクリオネだね、あれは」

「……?」

「昔は深海にいた小さくて可愛い、硝子細工のような生物だよ」

 初めて聞く名前だったが、硝子のような透けるような髪と双眸、二本の角、そしてあの六本の触手はクリオネと言うのかと、心の中で反芻した。だが一つの言葉が腑に落ちない。

「かわ……いい?」

 あの触手が可愛いとは到底思えない。畸形ではない元の生物は可愛いのだろうか……。

「クリオネは体が硝子のように透けているらしくてね、内臓も透けて赤く見えるんだ。おそらく水藻も、触手を出す時はクリオネに近くなるため目の色が透けるんだろう。人間の爪も毛細血管が透けてピンク色に見えるが、水藻はそれがもっと強く爪に現れて赤く見えるんだね」

 早口で言い切った。気持ち悪いのではと思っていたことが馬鹿に思えるほど、爛々と目を輝かせている。これだから研究員は。もう腕が痛くないのか。

 水藻は手を裏返したり光に透かしたり、赤い爪を見る。体の他の部分で透けている所は無いと思う。背中は自分では見えないが、指摘されたことはない。

「触手は生物を補食するための器官だ。さっきので使い方は間違ってないよ」

「人間は食べないんだけど……」

 考えただけで吐き気を催しそうだ。食事はいつも水から出て、水掻きが付いているのでフォークやスプーンは上手く持てないが、人間と同じ物を食べている。ただ、肉は好きだ。

 走りながら、小さく咳込む。走ることはできるが、走りながら喋るのは苦手だ。重力も重い。首から提げた棒型収納装置から試しに水を噴射してみる。弾ける硝子の粒が心地良かった。

 少しずつ遠回りをしながら、ロゼの部屋へ辿り着く。途中で何人か研究員と鉢合わせたが、全てクロが倒した。一人で捌ききれないほどの人数が一気に襲ってくることがなくて良かったと、水藻は胸を撫で下ろした。触手はなるべく出したくない。

 部屋の中にロゼの他にも誰かいる可能性もある。三人は扉の脇に張り付き、ゆっくりと静かに扉を開けた。

「……?」

 ぐるりと白い部屋を見渡すが、誰もいなかった。

 床に放置された玩具や絵本、山積みのクッション。

 司はクッションに駆け寄り、山を崩した。何も出てこない。

「ロゼは何処だ……?」

 他に隠れられる場所はこの部屋の中にはない。青界に駆り出されたか水藻のようにコアの中に放たれた可能性も考えてみるが、浮くことができるだけの戦闘力のないロゼに戦うことなどできない。

「まさか、イドに勘付かれた……?」

 ここよりも安全な場所に避難させた可能性は大いにある。侵入者もいるのだ、最大級に重要な植物型の畸形を危険から遠ざけるのは道理だ。侵入者が何かしたということは考えにくい。犯人が侵入者だと争いが起こっているだろう。

 だがそうだとして、何処に移動させたのか。

「水藻は何か聞いてるか?」

 クロは今まで司と共にいた。何か話を聞いているとするなら水藻だろう。イドは二回も水藻に会いに行っているのだ。

「ロゼのことは何も」

「そうか……」

「だけど、僕みたいに戦わせるために駆り出した畸形はいるみたいだった」

「それも厄介だな。可能性が高いのは、担当から許可を得なくてもいいティカと継伽か」

 飽くまでイドを単独犯とした場合の話だが。他の上級員が味方をしていれば、この限りではない。

 再び部屋を見渡し、溜息を吐く。ティカも継伽も言うことを聞かない獰猛な畸形だ。ティカは研究員を何人か食べたことがあるし、継伽にも何人か刺殺された。敵と味方の区別もつかないと思う。

「その二人は僕も相手したくない。話が通じない」

「わかってる。見つけたらすぐに逃げていい。自分の身を第一に考えるんだよ」

 先刻のように司が狙われても、見捨てていい。そう優しく微笑む。

 そんな局面に再び至った時、本当に見捨てられるのか、水藻には想像できなかった。

「ここより安全と言うと、やはり上に行くしかないね」

 始まりの王の部屋へ戻るのは皮肉だが、王が不在のままなら、あそこが一番安全だろう。不在ならばの話だが。

 上の階層へ行くことは決めるが、もう一度司は黙考した。本当に水藻を連れて行くのかと。

「……少し時間は掛かるが、先に水藻を街の安全な場所へ送ってから上に行った方がいいか」

 対話のできる敵ならともかく、話にならないティカと継伽の前に水藻を出したくない。必ず遭遇するということはないが、予測できる危険は避けたい。

 それに対して水藻の答えは、既に腹が決まっているようだった。

「いい。ロゼがどうなってるかわからないのに、僕に時間を掛けなくていい。僕も行く」

 ロゼと水藻はあまり会って話す機会はなかったが、畸形同士の交流会と言うか情報交換会で顔を合わせることは何度かあった。二人で話している姿も、司は見たことがある。二人共表情が乏しいなりに気は合うようで、楽しそうだと思った。

 安全な場所へ、とは思うが、本人の意志を尊重しようと思った。司は頷く。助けたい気持ちは同じだ。

 廊下に誰もいないか確認し、また少し遠回りをしながら、三人は上階層を目指して走った。


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