表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

第6話  エンジェルの階級

 気持ちのいい風を感じながら、カイは顔を上げ、真っ直ぐにロロを見つめて聞いた。ロロは本当に優しく、そばにいるだけで安心できた。


「ねぇ、ロロ。……母さんは、強かったんだよね!?」


 ロロは優しく微笑むとカイの頭をぐりぐりと回すようになでた。


「ああ、強かったぞ!同じ戦場に立てたのは2回しかないが、それでもティーシャ様のあの強さは目に焼き付いている。風のように魔物の横を通り過ぎたと思ったら、その魔物が真っ二つになって崩れ落ちるんだ。ティーシャ様の通った後には、魔物の死骸がゴロゴロと転がってた」


「だよね!?そうだよ、母さんは強いんだ!」


「ああ、お前は胸を張れ。立派な人の息子だとな!それにティーシャ様はあの頃の俺たちとは強さの桁が全然違った。エンジェルにも強さの階級があるって前に言っただろ?」


「うん、聞いたよ!」


「エンジェルの階級は三段階に分かれていて、下から順番に『アンゲロス』『エクスシア』『セラフ』だ。そして俺がティーシャ様と戦いに出たときはまだ一番下の『アンゲロス』だった。だからあの時は、ティーシャ様のスピードについて行くのがやっとだったんだ。でも、今ならどうだったかなぁ」


「今のロロは『エクスシア』だもんね!」


「あぁ、その通り!そして『エクスシア』になって初めて自分の武器を持たせてもらえる」


 ロロはそう言うと、腰に下げていた銃を出した。


「うわぁ~!何回見てもかっこいいなぁ!」


 カイはロロに会うたびに見せてもらっていたが、本当にかっこよかった。長さは25cmくらいで、グリップは木目調、その両側には金でエンジェルの紋章が入っていた。そして、グリップから銃口にかけて、綺麗な金細工が施されていた。


「キレイだねぇ」


「そうだろう?武器にも色々あってな。弓や銃、剣や短剣、槍に斧、他にも色々あるが、まぁ、自分の好みにもよるな」


「ロロは剣も持ってるよね?」


 カイはロロの腰に下がっている剣を見た。柄は金で、鞘は黒く金細工が施されていた。


「ああ。まぁ俺は銃のほうが得意だけどな」


 ロロはそう言うと銃をしまった。


「ねぇ、母さんの武器は何だったの?」


「ティーシャ様はサーベルを使っておられた。戦い方もとても優雅でなぁ」


 ロロは嬉しそうに話を続けた。


「ティーシャ様は少数精鋭と言われた『セラフ』だったんだ!セラフの人たちは本当に強かった。でも、ティーシャ様は下位の俺たちにも本当に優しかったんだぞ。それにすごく可憐で綺麗で、美しいとはティーシャ様のためにあるような言葉だな。エンジェル達の憧れの的だったんだ」


 ロロが少し顔を赤くしながら言ったので、カイはにまっと笑いロロを横目で見た。


「なんだ、ロロ、母さんのこと好きだったんだ」


 ロロは吹き出し、顔を真っ赤にしながら両手を振り回した。


「ち、違う違う!!いやいや、そういう事じゃなくて、その……」

 

 ロロが少しずつ口ごもっていったのを聞いて、カイは大声で笑い出した。ロロは恥ずかしさを隠すように頭をかいていた。


「あっ、ほら、オレクとネイサがこっちにくるぞ!きっとお前を探してたんだな」


 ロロは話題を変えようと慌てながら指をさした。カイが指さすほうを見ると、確かに2人が畑のほうからこっちに向かって走ってきていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ