懐かしい話
ピリリリリッ。
時計を見ると、[7:18]と示してある。
「誰だよ、こんな朝っぱらからメールしてくるやつ…」
俺は眠い目を擦りながら携帯に手を伸ばす。
『たかしと作った秘密基地覚えてる?』
メールの相手は幼なじみのユミだった。
俺は『朝っぱらから何だよ。覚えてるけど、何で?』と返信したが、その返信は来ずに、暫くしてまたメールが来た。
[8:18]
『天使の羽見つけたとか言い回ったりもしてさ(笑)』
確かにそんなこともあったなぁ…って、何でそんなことを急に…。
俺はまた返信したが、その返事は返ってこない。
そして、また時間を置いてメールが来る。
そんな繰り返しが続いた。
[13:13]
『たき火をしながら焼き芋も焼いたね』
[16:18]
『わざと水谷先生の頭をうちわで扇いだりもしたっけ(笑)』
―2日目―
また、朝から携帯が鳴った。
[7:26]
『海沿いの道歩いて帰るのが日課だったね』
ユミの携帯に電話もしてみたが、電源が入ってないのか、通じない。
―3日目―
[7:06]
『似た者同士のうちらは一緒にお金貯めて遠出もしたよね』
さすがに気になった俺は、ユミん家に電話した。
「ユミさんはいますか?」
すると、ユミの母親が出て「ユミは友達と旅行に行ってる」と教えてくれた。
それなら、気にしなくても大丈夫か。
―4日目―
ついに夜中にもメールが届いた。
[2:06]
『木の上で見つけたお気に入りの景色はまだあのままかな?』
その日の夕方はそれまでのメールの内容と少しだけ違っていた。
[16:26]
『土曜だけはついつい遅くまで遊び過ぎて一緒に怒られたっけ(笑) 今日また、私のために星を見つけてよ☆待ってるからさ。お願いね。そーいえば、えいじ君は逆の道を進むことにしたんだってさ』
昔は夜中抜け出して、ユミとあの木の上から星空見たよなぁ。
星座が分からないユミに何度も教えたっけ…。
ユミが旅行から帰ってきたら、久しぶりにまた星でも見に行ってみるか。
それにしても、えいじとか懐かしいなぁ。
あいつ何になりたいって言ってたっけかなぁ…
【解説】
まず、このユミからのメールは暗号になっています。
その暗号を解く鍵は、最後のメールの "星を見つけて"と"えいじ君は逆の道"です。
まず、この"星"とは"太陽系の惑星"のことを指しており、メールの中にはそれぞれの惑星を表す文字が隠されています。
それを取り出すと、
[7:18]地
[8:18]天
[13:13]火
[16:18]水
[7:26]海
[7:06]金
[2:06]木
[16:26]土
となります。
しかし、このままでは順番がバラバラなので、太陽に近い「水金地火木土天海」の順にメールを並べ替えて、 1番目の"水"のメールなら1文字目の「わ」 のように順番目の文字を取り出し繋げると、
水;1文字目→わ
金;2文字目→た
地;3文字目→し
火;4文字目→を
木;5文字目→見
土;6文字目→つ
天;7文字目→け
海;8文字目→て
となります。
次に"えいじ君は逆の道を進む"に着目します。
まず、"えいじ"→"英字"と変換します。
次に着目して頂きたいのが、メールが送られてきた"時間"です。 アルファベットにも順番がありますので、時間の数字番目のアルファベットを抜き出します。
ただ、"えいじ君は逆の道"なので、数えるのは"後ろ"からです。
それを踏まえると、
水[16:18]→KI
金[7:06]→TU
地[7:18]→TI
火[13:13]→NN
木[2:06]→YU
土[16:26]→KA
天[8:18]→SI
海[7:26]→TA
『キツチンユカシタ』 →『キッチン床下』となります。
ここからは話の全貌になります。
ユミは母親に監禁されています"キッチンの床下"に。
幸い、携帯電話はポケットの中。助けを呼ぶことができますが、声を出したりすると母親に気付かれる恐れがあります。
そこで、ユミは幼なじみの"たかし"にメールで助けを求めることに。
しかし、度々チェック(死んでるかどうか)しに来る母親に、バレたらまずいと思い暗号にしました。
※もちろんこの話を作るというのが大前提での暗号ですが笑
電源を切っていたのは電池をもたせるためと、誰かから連絡が来て、その音とかで母親に携帯電話を持っていると気付かれないようにするためでした。
最後のメールは4日目… たかしは早く気付かないと飲まず食わずのユミの命は危ないですね…
若干、無理矢理な所もありましたが、最後までご拝読頂きありがとうございました(_ _*)