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テーマ別短文集 (連載)  作者: 麻木 若葉
9/14

第九回テーマ別短編小説

卒業式が近いので、初投稿です。

NO.1:作品名 墓参り          テーマ(スマホ、死別、G線上のアリア)

作者名:山山山山


海岸沿いの白い別荘から少し歩いた所の岬。

そこには小さな墓が立って居る。

或る夏の日、私は墓参りに来た筈なのだが...


「やっほ~」


死別した彼女が、律花が墓に座っていた。


「皆まで言わずとも分かるよ。何でボクが居るか、でしょ。

今更ながら未練が出来てね。」


未練とは何かと聞くと律花は答えた。


「生前聴けなかった君の『G線上のアリア』が聴きたくなってね。いいかい、彩音?」


嘆息しつつ、楽器を取り出し、演奏を始める。

この曲は、律花に聴かせると約束したのだが、その約束は果たされなかったんだ。


演奏が終わり、律花は小さく拍手した。


「やはり彩音は上手だ。

これなら今日のオーディションも勝てるね。」


どうして律花がオーディションを知っているのだろう。

疑問が言葉になるより速く、彼女は消えて行った。

「もう時間のようだね。」

という言葉を遺して。


今まで私が見ていたのは幻だったのかもしれない。

ただ、スマホを開くとLINEの通知が一件来ていて、

「ありがとう」

と書いてあった。


NO.2:作品名 あの日の思い出        テーマ(防犯ブザー、CDプレイヤー、花のワルツ)

作者名:麻木 若葉


CDから流れ出す音が、部屋全体を支配する。静かな物音さえ許されないような部屋に、戸が開かれた。


「奏、まだ引きずってんの?」

「うるさい。」

「塞ぎこむのもいいけど、いい加減出て来ないと、克樹君に笑われちゃうよ。」

「もうそんな話しないで、克樹君は、もう…」


また、CDの音が部屋を支配する。ひっそりと流れる"花のワルツ"だけが、優雅に動いていた。

誰も、何もすることもなく、ただ、ただ音だけが動いていた。


音の中に、雑音が入ってきた。


「ごめんね。でも、彼からの手紙があったんだよ。」

「そんなウソ言わないで! 何年前だと思ってんの?」

少女の声が大きくなる。

「でも、出てきたの。これは紛れもない事実なんだよ。」

「もういいでしょ、出でってよ。」





その音を皮切りに、完璧な密室が産まれた。

手を動かすと、手紙を見つける。恐る恐る開けてみると、彼の文字が、筆跡が目の中に入ってきた。

何年も前に、目の前で動かなくなった人。ずっとずっと、救えなかった人。吊っていた人。

今もあの光景が浮かび上がる。見えない何かに囚われて。今もなお、壊れた防犯ブザーが私の罪を攻めている。


NO.3:作品名 串焼きと愚者       テーマ(雛祭り、金平糖、花粉症)

作者名:サチべリア


「鼻がむずむずする。」


鼻の下を乱雑に擦ったり、鼻を啜ったりしてみる。

花粉症にとってはやはりこの時期は辛いものがある。

そんな事を学校からの帰り道を歩きながら考えていると、

雛人形を持っている子供が遠くに見えた。

雛人形を美味しそうに食べている子供を見ながら花粉を気にするように服をはらう。


「そうか、もう雛祭りの季節か、時が経つのは早いな」


と、ピスタチオをつまみながら子供を観察していた。

コンタクトレンズから見える金平糖は美しい角がくっきりとした形になっていて歯ブラシのようだった。

雛人形を咀嚼していた子供はいつの間にか二輪車に乗っており、まるでこの世界の深淵を覗いてしまった罪人と同じ眼をしていた。

子供もアップルティーには勝てないなと思いつつ、膝から金平糖をもう一つ出す。


「金平糖いるかい?」


と、俺が目の前の子供に訊ねると、興味を失ってしまったかのように歯ブラシを買っていた。

シベリアンハスキーが欲しくなってしまった僕は、金平糖と化粧水を昆虫屋に渡して、

アイランドキッチンを作り上げることに成功した。

この世はやはり、さまざまな偉人達の手によって

作られたと理解した。


NO.4:作品名 【運命劇】        テーマ(魔王、剣、運命)

作者名:てふてふ:


「この世界にお前以外の勇者が消えて何百年経った?」


頭から2本の角、頬には大きな焼け跡のある、青白い顔の男が墓石の前で呟く。


「この世界は残酷だな。どうして俺じゃなくてお前が死んだんだ、カイン」


カインは俺の唯一の親友だった。親に虐待されて身体中が痣で溢れても、俺が

“不老不死”の薬を飲まされ

怪物と罵られ 迫害されても、

彼は俺の友達で居続けてくれた。


この生き地獄を終わらせてくれる人物が、“勇者”が彼だった時は正直 嬉しかった。


彼には酷な事だったかもしれなかったが、それがたった一つの願いだったからだ。

なのに..


「おじさんもお墓参り?」

一人の少年が花束を抱え、顔を覗き込む。


「まぁ そうだ」

「僕もなの。悲しいけどね、

僕平気だよ。」


「だってママが言ってたもの。

死んだ人との絆は百年後にまた生まれ変わって会いに来るって。だから僕 ママを待つの」



魔王と呼ばれた 永遠の命を得た人間は、いつもひとりぼっち。剣で心臓を貫いても出るのは悲しみの涙だけ。

男の運命はそんな劇詩のようなものだった。


この劇詩は少年の、カインとの出会いで幕を閉じる。


作者一言

山山山山:あと五百文字は欲しい。

麻木 若葉:想像で、物語を補填してください。

サチべリア:意味が分からない

てふてふ:笑うな!!

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