第八回テーマ別短編小説
初めて、欠席者が出たので、初投稿です。
NO.1 作品名:不治の病 テーマ(金槌、金魚)
作者名:麻木若葉
苦しい、辛い、死にたい、楽になりたい。壊したい。
そんな思いを持つようになったのはいつからだろう。医者に余命を宣告された時からか、それとも、友人を見殺しにしてしまったときからか。
もう、何もかもが壊れればいい。不治の病に罹ったこの体も、僕のことを殺人鬼扱いしてくる人も、この世界さえも全てが壊れればいい。
ずっと、ずっと、生きていられる。金魚のように、心配を知らなくて、安心して生きていられる。そう、考えていた。叱られることを知らない赤ん坊のように、それを信じてやまなかった。
だから、全てが憎い。この体を壊したから。心を壊したから。人生を壊したから。
普通に生きている人間が憎い。楽しそうに生きている人間が憎い。
どうして?どうして僕なの?悪いことした?友人を見殺しにしたから?色んな嘘を吐いてきたから?
それでも、わからない。だってみんなも一緒のことしてる。
それじゃあなんで?
もうやだ。ずっと、ずっと、このまま
苦しい。こんな事を考えるのが。
もう辛い。生きていくのが。
死にたい。何も感じたくないから。
楽になりたい。ずっと、悪夢が終わらないから。
壊したい。金槌かなんかで、いっそ全部。
NO.2 作品名:異常者 テーマ(異常者、歯ぎしり)
作者名:サチべリア
沈んでいく夕陽を眺め、私がソファで座っていると、玄関の方から音が聴こえた。
急いで玄関に向かうと、そこに一人の青年が靴を脱いでいる最中だった。
よく見ると
血が滲んだ頬に、傷ついた鞄、ボロボロのYシャツを着ていた。
私が心配そうに見つめても、『大丈夫だよ』と言うだけで気にもしていない様子だった。
でも、彼は歯軋りをしたり、貧乏ゆすりをしたりとどこからみても大丈夫なように見えないので、彼の側になるべく居るようにする。
しかし、気合いが空回ってしまったせいか、彼の調子は良くならなかった。
時刻は夜を周り、彼はもう寝てしまった。
いつも言ってくれる
『おやすみ』の一言も言わずに寝てしまった。
彼は優しい性格故か、いつも誰かの食い物にされている。
今回の傷や汚れもきっと誰かにやられたものだろう。
相手は分かっている。
彼の傷は私の傷
私の傷は彼の傷
彼に手を出したのだったら
許さない。
だから今から相手に対して復讐をしにいく。
殺してしまうと彼に何か不都合が起こってしまうかもしれない。
だから殺さない程度に被害を出しにいく。
私は身体を変貌させて
「行ってくるね」
とだけ呟いた。
NO.3 作品名:妖刀 テーマ(鍛冶師、百合なし)
作者名:山山山山
「これはまた、面妖な物が出来たな。」
「物ト呼ブナ。私ニハ『華丸』トイウ名前ガアル。」
鍛治師を続けて十数年、刀を打つ度に燃える刀や命を吸う刀などを産み出し、『妖刀師』などと呼ばれてきたが、此度は喋る刀が産まれるとは..
「コレカラヨロシク頼ムゾ、我ガ主。」
そうしてこの刀、華丸との生活が始まった。
「主ヨ。コンナ夜二我々ハドコニ向カッテイル。」
「怪異の退治だ。この京にはそういうモノが湧いて出る。何故かそれらは儂が作った刀でしか祓えん。
と、早速現れたぞ。お主の切れ味、確かめさせてもらうぞ。」
屋根の上から飛び降り、怪異に肉薄する。
斬った。
そう確信し刀を怪異に向けて振り下ろす──
ぺちん。
情けない音と共に刀が止まる。
「何故だぁっ!?」
反撃が来る前に脇差─斬った物が凍る刀─で怪異を祓い、華丸に問い質す。
「言イ忘レテイタナ。我ハ女ガ使イ手デナイト何モ斬レン。」
「何だそれは!?最初に言え!」
どうやら華丸は儂には使えないらしい。
娘にくれてやるしかないな...
作者一言
麻木若葉:(病んでは)ないです。
サチべリア:視点主は犬、わかりにくくない?
山山山山:To Be continued