21.団体戦が始まるぞ!!
よろしくお願いします!!!
「マリィさんお疲れ様!!」
「お疲れ!!すごかったね!」
「私感動しちゃった!!」
マリィが帰ってきたため、マリィの取り巻き達が彼女に詰め寄る。
その全てに対して挨拶を返す。
「あんちゃんは行かなくていいのか?」
ボルクはマリィが帰ってきてすぐにとんでいかなかったロムに声をかける。
「いや、いつも押し掛けすぎてるから今日はいいや。」
「そうか?ならいいが。」
(今行ったら、感動しすぎて涙がでそうだぁぁ。あぁぁぁ、すごがっだよおぉぉ!)
それをなんとか隠そうと踏ん張るロム。
隠せていると思っているのはロムだけで、ボルクとベリルにはバレバレであった。
「じゃあ、この後の団体戦の作戦の話しでもしようか?大将。」
ベリルは、ロムにそう言った。
団体戦。
クラス全員対抗の試合。
これもトーナメント方式で行われ、くじ引きで既に3組の相手は4組となっている。
ルールは、各チーム大将を設定。その大将を戦闘不能、または、降参させることにより決着。
大将は赤のゼッケンを着るため、すぐに判断のつくようになっている。
制限時間はなし。
個人戦、ペア戦同様なんでもありの総合ルール。
ただし、怪我をさせることはできない。
また、団体戦に限っては、得意ではない人も強制参加なので、過剰な攻撃を禁止とする。
「なるほどな。それで、あんちゃんが大将か。」
団体戦直前、クラス全員に作戦を伝えるベリル。
大将はなんとロムとなっていた。
しかし、その決定に対し反対するものはいない。
ベリルによる決定であるだけではなく、午前中のロムの戦いを見て、クラスのメンバーはロムを認めつつあったのもある。
「うん、そうだ。それに午前中彼はとても目立ってくれた。ありがたいよ。」
ベリルはロムに軽くお礼を言う。
「まさか、ここまで目立つとは思ってはいなかったがな。」
「そうだねっ。でも、最高の結果だよ。それじゃあ皆!絶対に勝とう!!」
ベリルの号令でクラスが1つになる。
(こういうときのベリルのカリスマ性はすごいな。)
珍しくベリルを認めるロムだった。
試合直前。
「ねぇロム。」
マリィがゲート前で声をかける。
「ん?作戦のこと?俺よりベリルに聞いた方が言いと思うけど。」
既に集中しきっているロムは目はゲートの方に向いたまま、準備運動しながら答える。
今回はロムの動きがキーになるため失敗は許されないからだ。
その反応に納得いっていない顔をするが、ロムには見えていない。
「ううん。じゃあ頑張ろうね。」
「おう。マリィにかかってるっていっても過言じゃないからな。がんばっ……って、もういないや。」
マリィは既にその場を去っていた。
ロムはそれを集中してるからだと思い、準備運動を続ける。
実は、マリィが帰ってきてから、未だに感想をいいにきていないのはロムだけなのだ。
ボルクとベリルは、全員での会議の前に言ってあったし、2人はてっきりロムも言ったと思い込んでいた。
また、ロムも自分の中で感情をまとめている内に、準備となってしまったので、忘れてしまっていた。
その事にマリィは'友達'として、少し怒っているのだ。
(てっきり一番にきてくれると思ったのに。あんまりよくなかったのかな。)
そんなことを考えているとは露知らず、ロムは着々と準備をしていた。
≪午後のメインプログラムといっても過言ではないでしょう!!団体戦をはじめます!!!まずは3組と4組です!!!≫
アナウンスがかかると同時にベリルがクラスに掛け声をかける。
「いくぞぉ!!」
「「「「「おぉーーーー!!!!」」」」」
士気の上がった3組はフィールドへ駆け出す。
≪準備が出来たようです!!でははじめます!!!≫
そう言うと、審判がフィールドへでてくる。
そして、双方を確認し、声を張り上げる。
「試合!!!はじめぇぇぇえ!!!」
声が上がると同時に赤のゼッケンを着るロムが、爆石を作り出し、イズナに渡す。
そして誰よりも早くフィールドの中心近くまで走る。
「おっしゃぁぁあ!俺が大将だ!!こっちこいや!!」
4組にも作戦があったようだが、ロムの動きを確認し、作戦を変更したようだ。
ロムがここで、無名だったなら多くの相手を引き付けることはできない。
相手はクラスの半分である7人ロムの方へ送る。
ロムはそれを確認して停止。
魔法を詠唱する。
「地魔法 半月石!!」
ロムのからだ全体をカマクラのように全て覆い尽くす。
そして、まだ詠唱する。
「地魔法 着石凝縮!!」
「地魔法 土掘!!」
ロムは右手で着石をだし続け、左手で魔法によって土を掘ることによって、防御しながら地中に逃げ続ける。
地上では、7人が一斉に半円の石の塊を割るが、中には石ころが大量にくっついたものしかないことに気付く。
その間にも、ボルクとベリルが残り八人のいるところへ突貫する。
「いくぞ!ボルク!!」
「言われなくてもぉぉぉ!!」
しかし、それを相手は4人で止めに入った。さすがのボルクとベリルでも4人を相手にするには、威力ではなく手数が足りず止められる。
しかし、3組は守るものがないため、一気に相手の大将がいるところまで駆けていく。
ちょうどロムが作った石山を横切るところで、相手のロムをおった7人は自身の大将を守ることを優先しようとする。
しかし、既に時遅し。
残っていた4人は相当な手練れであった。中には貴族もいた。
しかし、マリィと他の水魔法使い達による大量の水の放出。
そして、それを邪魔しようとする相手4人は他のメンバーで食い止める。
「ご、ごめんなさぁぁぁああい!!!」
爆石の威力を知るイズナは謝り、目をつむりながら放り投げる。
ズドォォォォォオオオオオ!!!
試合は開始15秒、大会新の早さで終えた。
「ぷはっ!」
ロムが石の山から這い出てくる。
「勝ったか!!?」
(あの作戦で万が一にも負けるわけはないだろうな。)
しかし、空気は重い。
(負けたのか?いや、そんなはずはない。俺は確かに7人引き付けたし、ボルクとベリルならほとんどの相手は蹴散らせるはずだ。他のメンバーも決して弱くない。)
「負ける要素が一個もないじゃないか!?」
突然叫び出すロムに、クラスの全員が声を揃えて叫んだ。
「「「「「お前のせいだ!!!バカやろぉぉぉおおおお!!!!!」」」」」
その光景を見た観客もどっと笑う。
そして、クラス全員がロムを中心にうずくまらせて蹴りはじめる。
「あんたが!」
「ばかでかい!」
「爆弾を!」
「イズナに!」
「持たせたから!!」
「規定以上のいりょくがでぢゃっだのぉぉぉ!」
最後は泣きじゃくっているイズナだ。
彼女は自分の渡された石を投げるだけだったのだが、彼女は普段そんなものは持ったことなかったため、どの程度の大きさでどの程度の爆発が起こるか知らなかったのだ。
彼女に渡した爆石は、周囲7メートルは吹き飛ばすもので、爆発した瞬間、両チームが全員止まった。
そして、自分のしてしまったことに罪悪感を感じたイズナは泣きじゃくっていたのだ。
試合が止まってしまったとき、ベリルは自ら不正があったと報告したため、なにも問題にはならなかった。
また、相手の爆発を受けたメンバーは、個人戦、ペア戦に出場していたメンバーで、彼らも問題はないと言うことでお咎めなしだった。
そして、試合直後、なぜか爆発を受けた4人がイズナを励ますという 構図が出来上がった。
「ごぉめんねぇぇぇ!わだじがっ、ひっく、わだじがぁぁぁ」
「大丈夫!!なぁ!お前も!」
「あ、あぁ!それに決勝行けるみたいだしな!」
「あぁ!ていうか君は悪くないんだろう?あの石投げ男が悪いんだから!」
「そうだそうだ!」
このように自分のクラスだけでなく、色々な方面からヘイトを集めたロムだった。
最後はコメディおちにしました。
これは好き嫌い分かれるかもしれませんが、自分としては好きです。
個人的にイズナを推して行きたいと思っています。
ヒロインは変わらずマリィですが。
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