20.高嶺の花が通りますよ~
今回はマリィさん、活躍回です。
よろしくお願いします!!
ロムは観客席から今日一番真剣な表情でフィールドを見つめる。
それはロムに限らず彼女のことを知るものなら、皆同じであった。
昼休憩が終わりプログラムが進んだ運動会は、魔法戦が始まっていた。
各クラスから、皆綺麗な衣装を身に纏った美男美女が次々と演技を披露していく。
魔法戦は演技や魔法の美しさを競う競技で、女子の割合が高い。
そのため、運動会の種目の中では男子の注目率がもっとも高いプログラムでもある。
ここまで一年生の数名が演技をしてきていた。
あるものは、風を纏って高速で演舞をしたり、あるものは火でドラゴンを作り出したりなど、ロムはこの競技に魅了されていた。
「戦いではなくて、こういう風に使う魔法もいいな。」
「そうだな。俺らは野蛮だから。」
ロムの独り言に、ボルクが反応する。
「がぉっ!」
ロムは肉食獣の真似をする。
「演技0点!!」
「うるせいやい。てか、そろそろマリィが来るぞ。」
そう言ってロムは登場ゲートに注目する。
≪はい!ありがとうございました~!!次は3組!!マリィさんの演技です!!!≫
ゴォォォォオオオオオオ!!!
「うわっ!すごいな歓声が!!」
今までとは一線をかくほどの歓声が会場に響く。
これが男の本気である。
結局男とはこういう生き物なのだ。
「うぉぉぉおお!!マリィ!!!いけぇぇぇええ!!」
隣でバーサーク状態のロムをみて、ボルクはここにもいたか!とため息をつく。
「おいボルク!!応援しねぇんだったらぶっ飛ばす!!!」
完全に瞳孔が開きまくっているロムはボルクの胸ぐらをつかむ。
しかし、彼の目は一切登場ゲートから目をそらさない。
一瞬も見逃さないためである。
鬼の形相のロムにボルクは縮み上がる。
「わ、分かってるから放してくれ!!!がんばれぇぇええ!」
「そうだ!!もっとぉ!」
「おっしゃ!いけぇぇぇええ!!」
もう、一切周りが見えなくなった2人は暴走状態となる。
「あ、あの2人すごいね。」
「やっぱりヤバイやつなんだよきっと。」
「深く関わらない方がいいかも。」
「あっちもすごいよね。」
そう言ってクラスの一人が大応援団の方を指差す。
既に大応援団は、今まで以上に大盛り上がりである。
彼らの周りも応援してはいるのだが、彼らの応援がすごすぎて浮いている。
そんなこんなしていると、すぐに皆の高嶺の花登場である。
白と青を基調にしたドレスを身に纏い、一直線にフィールドの中心まで歩いていく。
歩いているだけなのだが、会場はその美しさに息を飲む。
真ん中まで歩いていくと、すぐにマリィの演技が始まる。
この頃には大応援団もロムたちも完全に黙っており、しんと空気が張りつめていた。
「水魔法 水精!!!」
彼女のからだの周りから会場一杯に小さな水滴が宙に浮きながら広がっていく。
「光魔法 白光!!」
そう言うと彼女の手からいくつもの白い光線が頭上に出ていく。
そして、宙に浮く水滴に当たり、反射し、当たり反射しを繰り返していく。
数瞬後には、会場に多くの動物たちの形が浮かび上がる。
馬、兎、鳥、狼などなど。それらが会場の宙を舞う。
初めは皆それらの動物たちに目を奪われた。
しかし、主役は違うと観客たちはすぐに気付かされる。
マリィがとても大きなフィールドのど真ん中で舞う。
ドレスをなびかせるながら笑顔で。
そこにいる誰もが彼女に魅了されていた。
周りの動物もだんだんと彼女の周りを回るようになる。
本当はマリィが操っているのだが、観客には、森の姫を囲んで踊る動物たちの宴にしか見えなかった。
'彼女達'の演技は周りの時を止め、会場全体を森へと変える。
演技も終盤に差し掛かったところで光の動物達がマリイの胸元へ帰っていくように収束する。
そして胸に全部入りきった瞬間彼女の胸から幾本もの光が会場全体に降り注ぎ虹を作り出す。
彼女は肩で息をしながら演技終了のお辞儀をする。
完全に魅了された会場は終わってもなお、静寂の余韻に浸る。
少しして、会場のあちらこちらから少しずつ拍手が上がる。
それも全て、身体が勝手に動いたような拍手であり、それがどんどん伝播していく。
会場全体に歓声と拍手が上がったのをみて、マリィは安心したように笑顔になり会場を去っていく。
この演技は他のクラスのどの演技も圧倒し、魅了した。
≪あ、ありがとうございました!!!では、次は………≫
優勝だった。
どうでしたか??
マリィもすごいんだぞってとこを書きたかったので、書けてよかったです。
次あたりから、団体戦。皆が総出で戦って行きます。
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