11.2回目の戦闘!!成長する二人
二回目の戦闘シーンです。
よろしくお願いします!
召喚魔法の練習を初めて一週間。
ロムは結局水魔法から練習を始めることに決めた。
それは、彼にとって唯一の矛である爆石を遠距離で使えるようにするためである。
爆石は水に反応して爆発するため、必然的に相手の近くに水がないと相手に当たらないのである。
そのためには水魔法の取得が必然であった。
だが、ことはうまく進まない。召喚魔法微弱程度の適正だと、習得にはなかなかこぎ着けられなかった。
そのため、一週間たった今でも、水を魔力操作で操ったとしても、5メートルほど遠くまでしか飛ばすことが出来ないのだ。
「今日はこのくらいにしよっか。」
「そうですね!」
ロムはここ一週間マリィに放課後、第三訓練ホールで水魔法の練習に付き合ってもらっている。
そのためマリィはほとんど打ち解けており、敬語は抜けた。
しかし、対するロムはと言うと、恥ずかしさからまだまだ敬語が抜けない。
(いつため口にして良いんだろうか?マリィさんがため口なら良いかと思ったけど、変えるタイミング逃しちゃったからな。突然変えたら変に思われるかもしれない。)
マリィとしては別にどっちでも良いのだが、彼女はロムの悩みを知るよしもない。
「この後用事ある?」
いつもならここで解散なのだが、マリィはいつもとは違いこの後の予定を聞く。
(えっ、デートのお誘いか!?ついにきたのか!?)
そもそも二人で訓練ホールにいる時点で幸せだったロムにとってこの誘いは天にも登ったような気持ちになった。
「あ、いえ、予定はありませんが?」
「そっか!よかった!」
「あの、どこかにいくんでしょうか?」
もう隠す気もないんじゃないかというほど、鼻の下を伸ばすロム。
「じゃあ、ボルク君ここに連れてきてくれないかな?」
淡い思いは一瞬で砕かれたのだった。
「なんだい、マリィさんが俺を呼び出すなんて。」
そう言いながら連れてきたボルクがマリィに話しかける。
「そんでもって隣はシス先輩か」
そう、ロムがボルクを連れてくる間に、マリィはシスを連れてきたのだった。
「そう!ロム君の戦うところを見せ手ほしいってマリィに頼んだの!」
「あれは頼んだとはいいません!!」
マリィはなにやら怒っているようである。
「だって全然ロム君生徒会にきてくれないし、マリィはすぐ断るんだもん。」
そう言ってふて腐れたように、頬を膨らます。
「だからって、あんなに大量の書類を私に押し付けようとするなんて!」
「ま、いいじゃん!結局やってないんだし!」
「それはまぁ、そうですが…」
二人の話に割り込むようにロムが口を開いた。
「あの、要するに俺が戦っているところを見たくてボルクと戦わせようってことですか?」
「そうそう!ずっと楽しみにしてたのに、きてくれないんだもんっ!」
「もうっ!勝手なんだからシス先輩は!」
ぷんぷんしながらマリィはシスを手で少し押す。
「なるほどな。そういや、あんちゃんとこの一週間やってねぇからな!なんだか新しい魔法も覚えたみてぇじゃねぇか?」
「おう、前のままだったら俺が勝つだろうな!」
「いうじゃねぇかっ!こちとら毎日部活の先輩とやりあってるんだわ!前と同じだと思うなよ?」
バチバチの二人を見てシスは楽しそうに笑う。
「いいねぇ!いいねぇ!じゃあよろしくぅ!」
そう言いながら二人を少し開けたところまで押しやった。
二人は以前とは違い20メートルほどはなれて立つ。
「準備はいいかい?二人とも!」
「おっしゃっ!」
「大丈夫です!」
「それじゃあいくよ!よーい始め!!」
ボルクは最初に風魔法で全身を覆った。
それに対しロムは水魔法を使いそこら中に水をバンバン出していく。
二秒ほどしてボルクがロムのいる方へ走る。だが、それは直線上ではなく少し蛇行しながらだ。
だが風魔法による速度上昇により以前より格段に速くなっている。
そして走りながら両手に火を纏い始めた。
ロムはボルクが自身の方へ来ているのを確認すると、地面に手をつけた。
そして魔法名を口に出す。
「地魔法 褶曲!!」
魔法名を口に出すのは、言葉にしてイメージを固めるためでもある。ただ纏ったり、石を手に出すだけなら、体に接触しているためイメージしやすいが、自身とは離れた場所のものに作用させるためには口に出すことも多いのだ。
魔法の効果によりボルクとロムの間は歪みのあるでこぼこな道へと変わる。
また、先ほどまでまいていた水により足場は相当悪くなっていた。
「普通の魔法使うのかよ!」
そう言いながらボルクは一時停止し、もう一度距離をとる。
そしてボルクも魔法を発動する。
「火魔法 火球!!」
ボルクの手元から3つの火の玉がロムの方へ迫る。
しかし、それを予期していたかのようにボルクは手元に待機していた球を二つ投げる。
拳大ほどの溶石である。3つのうち2つは相殺され地面に溶けた溶石が落ちる。それらは、直径一メートルほどの円状に広がった。
そして最後のひとつは体を横に転がして避ける。服が水と土により泥だらけになる。
だが、その避ける時間の間にもボルクは十メートルほどまで近づいてきている。
ボルクの必殺技は以前も繰り出した火纏いパンチであり、近距離で戦うタイプだ。近接格闘術も得意としているため、インファイトになると、ロムはぼこぼこ待ったなしである。
避けてしゃがんだままのロムは、そのまま新しく作り出した拳大の石を二つ投げる。
既にボルクはロムにより作られた水の散らばったフィールドの近くに来ており、危険を感じたボルクはその2つを避けた。
しかし石はなんの反応も起こさずボルクの足元に転がるだけだった。
「なるほどな!!」
ボルクは爆石の存在を知っているので、迂闊に彼の投げた石が自身の近くに来ることを許すことは出来ない。
例えそれが普通の石だとしても。
ボルクはそこでロムの石を避け続ける。
「ならこれで!!」
5球ほど避けたところでボルクは手に火を纏い足元を殴り付けた。
魔力をあまり込めてないにもかかわらず彼の足元付近には直径三メートルのクレーター。
以前の本気の威力を、軽く出せるようになっていた。
そして水は蒸発。これで石は避ける必要がなくなった。
ボルクは接近することを諦め、遠くから攻撃する方針に切り替える。
「火 風魔法 炎風!!!」
彼の最大出力級の魔法がロムのもとに迫る。
「地魔法 着石凝縮!!」
彼の手元に一気に拳大の石が大量に作り出され、くっつき盾となっていく。
そしてボルクの炎が彼の作り出した盾に当たる。
周りは熱風が吹き荒れロムを包み込んでいく。
ロムの盾はどんどん崩れていくが、ロムには届かない。
ロムの盾は一度作り出して終わりではなく、ロム自身が後ろに下がりつつ新たな着石を作り出しているのだ。よって魔力の我慢比べが始まった。
5秒して、膠着が解ける。
ロムもボルクも魔力が尽きたのだ。
「魔力が尽きた!」
「こっちもだよ!!」
こうなってしまえばインファイトの得意なボルクの勝ち。そう思われた。見ていたマリィもシスも、そしてボルクさえもそう思った。
ただ一人、ロムを除いて。
「あんちゃん!これで終わりだ!」
そう言いながらロムのもとに足を進めたその瞬間であった。
ぐちゃり
「なっ!?」
ボルクは気づかなかった。
序盤に自身の火の玉が溶かした溶石の存在を。
彼の足にくっついた溶石が、彼の動きを一秒ほど止める。
しかし、その一秒で十分であった。彼はポケットから親指の爪くらいの石を取り出した。
「いくぞボルク!!!」
ボルクは目を見開く。
マリィとシスは目を真ん丸にして、棒立ちになっている。
周囲の時間が全て止まったかのように思えた。
「爆石!!!!!」
彼の手前一メートルほどの位置に石が着弾。
そこには褶曲によって歪められた地面に出来た穴。そしてたまる水。
ドォォォォォォオオオオオン!!!!!!!
その場にいた者の視界は白くなった。
「あの隠し球はずるだろあんちゃん!!!」
そう訴えるのは、爆発した場所から七メートルほど離れた場所。
彼が飛ばされて、一分ほど意識が飛んだにもかかわらず、これだけ元気があるのは相当タフだろう。
「いや、しっかり試合が始まってから作ったぞ。」
「そんな暇いつあったんだ?俺はずっとあんちゃんのこと見てたけどそんな素振りなかったじゃねぇか!」
その言葉にニヤリと笑う。
「あっただろ?見えてない時間が。」
含んだような言い方で答える。
すると後ろからマリィとシスがやってくる。
「なるほど、あの盾を作っていたときだね!」
「正解!」
「やった!!」
シスは一発で正解を言い当てる。さすがは生徒会。よく試合を見ていたようだ。
「なるほど、では、それまでは魔力を温存してたんですか?」
マリィが疑問に思い問いかける。
「そうですね。できるだけ魔力は使わないようにしてました。本当は最初の火球も盾で防げましたが、なんとか転ぶことで避けましたし。あれが当たっていたら危なかったですね。」
「そっか!でも二人ともすごいね!私戦いじゃ二人には勝てないな。」
「なにいってるんですか!ここの誰より才能の塊なんだから!」
「まぁまぁ、謙遜し合うのはその辺にして、私と語り合おうじゃないか!!後輩二人よ!!」
二人の戦闘は戦闘教のシスにとって、自身も混ざりたくてたまらない戦いであった。
「そうですね。でも場所変えませんか?」
そういうロムは周りを見渡す。
それに応じて、他の三人も周りを見る。
第三訓練ホールの一角はクレーターやら歪みやらがひどくなっていた。
後に当事者二人は先生に怒られ、整備に駆り出されたのであった。
どうでしたか?
自分としては、戦いの内容は納得しているのですが、まだまだ文章がつたないですね。
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