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1.出会い

よろしくお願いします!!!


魔法や戦闘などについては、次の話からバンバン出していこうと思います!

「俺があなたのことを好きなのを前提に友達になってください!!」















14才になる年、初等教育から中等教育に移行するにあたり、アーブ国では魔法の教育が始まる。




中等教育まではスラムなどの子供を除き、ほとんどの子供が義務教育として学校に通うのだ。




これは、初代アーブ国王が始め、他国では勉学、魔法および戦闘技術は、貴族のみの特権とされる世の中では類をみないことである。




しかし、その事は国民から高く支持され、5代目アーブ国王の治める現世まで血が途絶えていないため、最近では他国でも似たような動きがあったりする。




また、平民の中からも多くの才覚ある人材を発掘し、王宮に取り込んで力を強めている。




中等教育には国内に15校存在しており、そこから王宮なり貴族なり、はたまた魔法研究所や、国家防衛軍に引き抜きがかかるのである。





アーブ歴314年、また今年も多くの生徒が中等教育を受けることとなった。






その中の一人、ロム。

彼がこの物語の主人公である。














周りはみんな身綺麗にして、制服を身にまとっている。





男はスーツに近い制服でシャツにネクタイをしてその上から制服を着る。





女はブレザーに近いが、スカートは少し長く、中からフリルついた生地が顔を出す。





皆が、不安と期待を胸に抱き静かに用意された席に座る。




講堂であるため、多くの生徒の制服の絹の擦れるちいさな音が、大きくなって響く。




正面を向き、いまかいまかと待ちわびた新たな学校生活の幕開けがすぐそこまできている。




入学式が始まるとそこからは早かった。




長いと思われた校長先生の話は、早々と終わりその他の諸事項はクラスで報告されるとのことだ。




(聞き逃さないようにしないとな。)




いくつかるプログラムをこなしていくと、新入生代表の挨拶になった。




すると後ろから席を立つ音が聞こえる。




コツコツと足音を講堂全体に響かせ、歩いていく。




「うわぁ」




思わず声が漏れた。




しかし、それは自分だけではなかったようだ。周りも同じ様な反応をしている。




白くスラッとのびた足が自分の横を通り抜けていく。




春の野原のように、くどくなく、それでいてみんなを笑顔にさせるような香りがした。




周りの視線を全てかっさらうかの如く、堂々と壇上にあがっていく。




長く艶のある髪がなびき、周りを別世界に引きずり込んだ。




(美人だ)





一目惚れであった。




13年と少し生きてきて、初めてこの人と話したい、この人と一緒にいたいと思えた。




目が海のように澄んでいて、気泡があがってくるように、目に自信と光が宿っていた。




自分にないものを、全部持っているような気がした。




だが、なぜだか彼女には才能に対する嫉妬などは浮かんで来なかった。




自他共に認めるほど怠惰でひねくれものではあるのだが、彼女のために何かしたいとさえ思えた。


















「僕があなたのことを好きなのを前提に友達になってください!!」




入学式が終わり何とかして彼女の名前と下駄箱を見つけ、校舎裏に呼び出し言った。




改めて目の前で見たマリィに対し、ロムは動揺する。




彼女は、目鼻立ちがこれ以上あるのかというほど整い、きめ細やかな白い肌、ほんのりと頬を桃色に染め、とても血色のいい顔をしている。




スラッと伸びた足は、どこにも傷はなく、完成されたプロポーションは、彼女のために制服が作られたのかとまわりを錯覚させるほど、美しいものだった。






(くぅ!かわいい!なんだってかわいく感じちまうぜ!




なんで普通に告白しないのかって?




不細工だからですよ!髪あげればかっこいいとか、メガネはずせばかっこいいとか、猫背直せばとかとかとかとか!!!




そんなのありませぇぇえん!鼻は低いし、ムキムキって訳でもないしぃぃい?なんなら目だって結構遠くまでよくみえるしね!




マンマにパピーに感謝だね!健康体ですよ!これ以上なにしてもイケメンにはなれませぇん!




でも、ただ告白したって振られてすぐ終わるに決まってる。だったら意識させつつ、友達になって中身で勝負しようって訳よ!




我ながらよく考えたよなぁ。うんうん。)




(あれ?返事がないぞ?)




前をみるとあからさまに困惑してこちらを見ている。




(困惑している!だが、ここで負けるわけにはいかない!最初の印象はどうであれ一年後いや!5年は粘ってやる!)




「友達?」




「そう、友達!」




「告白ではないんですか?聞き間違えてなければ、あなたは、私のことを好いていると先ほど…」




「はい!告白です!しかし、付き合って欲しいなどではございません!」




「えっと、どういう意味かさっぱりなんですが…」




「はい!私見ての通りの見てくれでして、ブサイクなんです!」




(ここまで来たらぜんぶいってやらぁぁあ!)




「ですので、まずは、友達になりたいなと思いまして!決して、あわよくば付き合えたらな、なんて思っていませんよ!はい!全く!はい!」




彼女は勢いに押されたように一歩下がる。




「えっと、友達ですよね。」




「はい!」




「なら、いいのかな?あれ?何か違うような」




(考えさせてはいけない!)




彼女は困惑したように人差し指を顎につけながら考えるような仕草をしている。それさえも絵になるほどに美人である。




「いいんです!友達になりましょう!」




「あっ、はい!?」




(いよっしゃ!!!)




ガッツポーズをしながら心で叫ぶ。




(マンマ、パピー、俺はやったよ!やってやったよ!)




彼の脳内では、父と母が天使の輪と天使の羽をつけ、ロムのまわりで祝福している。




「お名前は何て言うんですか?」




艶のある唇がこの世のものとは思えないほどきれいな音を発する。




(俺の名前を聞く声がこんなにキレイなんて、ここがエデンか!エデンなのか!?前世の俺、世界救ったんじゃない!?)




「ロムです!ロム·ホーリン!」




少し上ずりながらもはっきりとした声で答えることができた。




すると彼女は、神話の世界からやってきた一輪の花のごとくニコリと笑い




「いい名前ですね。私はマリィです。知ってたかな?」




小首をかしげながら聞く彼女はロムの心臓の鼓動を速めた。




「しっ、知っておりました!」




「あははっ!うん、よろしくね!ロム君!」




「はい!マリィさん!」




そういうと彼女はロムに背を向けて歩き出した。




「あの、どこにいくんですか?」




「生徒会長に呼ばれているの。毎年新入生代表の挨拶した人は、生徒会に推薦されるんだって。一応これでも主席だからねっ」




えっへんっ!といった言葉が聞こえてくるような可愛らしい仕草をとりながら彼女は胸を張る。




「そうなんですね!頑張ってください!」




「うん。またね~」




「はい!」




ロムは彼女の背が見えなくなるまで手を振ると、膝から崩れ落ちた。そして心のなかで呟いた。








(かわいすぎるぜ)


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