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クリエイター少女の奮闘記  作者: 前川
高校生編
35/41

33 その男、狂犬につき

とりあえず同好会としてスタートできる3人の部員が集まるも、楽器未経験者の朱莉はベースもギターも弾けなかった。

ということで4人目のメンバーを探しているところに、一ノ瀬 仁という男が現れる。


しかしその男は部室に入ってくるなり楓をナンパしてくるという、これまた厄介そうな入部希望者であった。

「ちょっと待ってよ!?一ノ瀬 仁ってまさかあの!?」


一ノ瀬仁という名前を聞いた途端、朱莉は驚き声を上げた。


「有名なの?一ノ瀬君は」

「さぁ?あ、俺のことは仁で良いぜ」

「ちゃっかり楓ちゃんに名前呼びさすな!というか横中のすごい喧嘩強いって不良って噂聞いたことあるけど...あ、でも横中ってすごいバカだしこんな進学校にいるはなず——」

「横中だったぜ。喧嘩は、まぁ、程々に」

「本人だった!?」


朱莉は頭を抱える。


過去に軽音部が未成年飲酒と喫煙で廃部になった以上、ここでこんな問題児を入れるわけにはいかないからだ。


しかも楽器初心者で明らかに楓目当てでの入部だ。朱莉の脳内コンピューターがコイツを入部させるのはNGだとすぐに弾き出した。


「無し無し!!楽器も興味ないし、そもそも楓ちゃん狙いでしょー!?」

「あ、ちなみに一ノ瀬君と付き合おうとかそういう気は私ナイかな」

「.....!!」

「露骨に『ガーン!』って落ち込んでるし!」


瞬殺で楓にフラれる一ノ瀬だった。


「いや、今日いきなりで好きになってもらおうなんて無理だ。入部して時間を掛けてじっくり仲良くなっていこう」

「入部はする気だー!?何でそう無駄に前向きなのかなぁ!?」

「二階堂君はどう思う?」


ワーワーとやり取りする一ノ瀬と朱莉を尻目に、黙って事を見ていた二階堂へ楓が話を振る。


「俺は師匠に従います。ただド素人で師匠に着いて来れるのかという疑問はあります」

「大丈夫だ。俺天才だから何でもちょっとやればすぐ覚えるし」

「いや、楽器ってそんな簡単なもんでは...」


一ノ瀬の態度に朱莉はさらに頭を抱える。


ここしばらくで楽器の難しさを痛感した朱莉からすれば一ノ瀬の見積もりは甘すぎると言わざるをえない。


「テストしてみたらいいんじゃない?」

「テスト?」


楓が朱莉に提案する。


「私のギターかベースを貸すから、1週間後にどれだけ弾けるようになってるか見るっていうのはどうかな」

「1週間じゃどうにもならないんじゃ...」

「なってなくても良いんだよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()


朱莉はいまいち賛同しきれなかったが、見れば分かるという楓に謎の説得力を感じ渋々了承した。


「じゃあ一ノ瀬君、悪いけどあなたをテストさせてもらうね。部の状況的にも楽器の演奏が全く出来ない人を置いておける状況じゃないってのが本音です。あなたのやる気を私たちに見せてほしい」

「了解」


楓の提案を一ノ瀬は受け入れる。


「今うちの同好会でやるならギターかベースになる。でもギターは1週間程度じゃ1曲弾くのも厳しいから最短を目指すならベースかな。どっちが良い?」

「じゃあベースで。俺ベース持ってないけど」

「私のを貸すって」

「オッケー。てーことは川原さんもベース弾けるのか?」

「まぁ、ちょっとね」

「ちょっとどころでは無い。師匠はその辺のプロベーシストなど歯牙にも掛けぬレベルだぞ」


やんわりと流そうとする楓に対して何故か二階堂が自分のことのようにフンと鼻を鳴らしながら自慢げに楓のベースの腕前を誇示した。


「さっきから思ってたんだけど、オマエは川原さんの何なんだ?」

「俺か?フン、俺はただのしがない弟子だ」

「弟子?要は川原さんのことお前も狙ってんじゃねーのか?」

「...フッ。お前の色恋と俺の尊敬の念を一緒にするな。...まぁお前の様な奴に師匠は振り向かんから安心しておけ」

「あ???んだとテメェ——」


一ノ瀬は二階堂を睨みつけるが——


(...こいつ、隙が無ぇ)


二階堂に何かを感じたのか睨むだけだった。


「コラコラコラ。彼は二階堂輝信くんで、ドラム担当。一ノ瀬くんがベースを弾くなら2人がリズム隊でバンドの屋台骨なんだから頼むよ」

「コイツがドラムかよ」

「フン。先行き不安だな」

「んだと〜!?」

「こらこら。二階堂君も煽らない」

「ハッ!」


楓の言葉に敬礼で返す二階堂。


牽制し合う一ノ瀬と二階堂をなだめる楓が、朱莉には猛獣使いに見えた。


「喧嘩はそれくらいにして、えーと朱莉ちゃんが言ってたやりたい曲って何だっけ?」

「あー、この前メッセージで送ったやつだよ」

「よし、URL共有したいし同好会のグループ作ろうぜ」

「まだ部員じゃないのに部員ヅラすな!」


ちゃっかりメッセージアプリのグループを作ろうとする一ノ瀬にツッコむ朱莉。

楓は朱莉が送ったURLから流行りの曲の動画を再生し「こんな感じか〜」と呟く。


「じゃあ川原さんメッセージ交換しようぜ」

「ちゃっかり楓ちゃんの連絡先交換しようとすな!!」


ガルルル、と唸り声が聞こえそうな楓絶対守るガールと化した朱莉を楓がまぁまぁ、となだめる。


先ほど一ノ瀬と二階堂を猛獣と思っておきながら自身も猛獣であることに気づいていない朱莉であった。


まぁ猛獣というよりはキャンキャンうるさいチワワと言った感じだが...


「じゃあ一ノ瀬くん。この曲がどれだけ弾けるようになっているか来週ここで確認するから」

「おう。じゃあ今日のとこは帰るぜ」


じゃ、と手を上げると一ノ瀬は意外とあっさり去っていった。

去っていく際、一ノ瀬の目がすぐにイヤホンを取り出したのを楓は見逃さなかった。


「1週間とは言ったけどさぁ、普通に考えたら無理じゃない」


一ノ瀬が去って行った後、楓に対して朱莉が尋ねた。


「まぁね。別に完璧に弾けるようになってほしいとは思ってないよ。ただ、本当に天才ってのはいるからね」


楓はかつて自身を完璧にコピーし、上位互換に成り代わろうとしたとある男の子のことを思い浮かべていた。


(早瀬くん元気かなー)


「まぁ師匠が言うんだから大丈夫だろう」

「出たな楓ちゃん全肯定マシーン...」

「でもそんなに喧嘩っぱやい子なの?」


楓が噂を知ってそうな朱莉に尋ねる。


「あたしも詳しくは無いけど、地元の中学が近くで噂はよく聞いたよ。すごいイケメンで喧嘩強い1年生がいるって」

「へー」

「地元の不良とか1年生の頃からボッコボコにしてたんだって」

「なるほど」

「そんな人だから入部させるのはマズイって!考え直そうよ楓ちゃん」


朱莉は一ノ瀬の入部に関してやはり否定的な意見を楓へぶつける。


「まぁまぁ。もし本当に朱莉ちゃんが危惧するような人ならすでに力ずくで入部してるでしょ?でもそうしないで私の条件を飲んだわけだし」


そして朱莉に対してあくまで一ノ瀬に対しフラットな目線の楓であった。


「とりあえず1週間後に奴がどれくらい練習したか見れば良い。本気じゃ無いならすぐに師匠が見抜くだろう」

「うーん、まぁ2人がそう言うなら保留にしとくけどさ...」


朱莉は若干納得しきらず、そんなこんなでその日は解散となった。



昔から何をやってもすぐにそれなりに出来た。

顔も良いので周りからも甘やかされた。


授業中は暇だから先のページを勝手にやっていたし、別に先生の教えが無くても理解できた。


スポーツもちょっと練習すれば何でもすぐに出来た。


出来ないことが出来るようになるまでの過程は楽しいが、そのピークが過ぎれば味のしないガムと一緒だ。


俺は味のしなくなったガムをゴミ箱に捨てるように次から次へと色々なことに手を出してはすぐ辞めるを繰り返していた。


そして顔も良いので女子にもモテた。そっちの方も不自由しなかった。


いつも何か夢中になれることを探していた。これぞ俺のやりてー事だってモンを。


中学に入った俺は少林寺拳法にハマった。


理由は家の近くに道場があったからというのと、理由は無いが強くなりたいと漠然と思っていたからだ。


まぁ中学生男子によくあるやつだと思ってもらえればいい。


アポなしで道場に入るとまだ準備中だったのか1人の老人が道着に着替えていた。


その男は寺田という60歳近い少林寺拳法の先生だった。


寺田は生粋の格闘オタクで、少林寺拳法の他にもキックボクシングや合気道など色々な武道に精通していた。


同年代の生徒をあっという間追い抜いた俺は寺爺(てらじい)(寺田先生のことを俺はそう呼んでいた)との空乱取り(攻撃を当てないように戦う稽古)が稽古の楽しみだった。


寺爺はメチャ強かった。


俺は毎度ボコボコにされながら成長していった。


寺爺との実践形式で鍛えられた俺は半年もすると数試合に何回かは寺爺に一撃お見舞いできるほどになった。

天才なので。


急成長の結果、俺は白帯にもかかわらず既に黒帯の生徒より強くなってしまっていた。


まぁ初段や2段は何年か稽古して型を覚え、試験を受ければ誰でも取れる。

黒帯イコール喧嘩が強いというわけでは全く無い。


そして半年武道にのめり込んだ俺は手にした力を使いたくて仕方が無かった。


自分の実力を保護された環境ではなく実践で試したくなったのだ。


しかし学校で誰かが俺に喧嘩を売ってくるということは無かった(当たり前だが)


俺は誰かに喧嘩を売られるべく、そういうことが起こりそうなところに意味も無く入り浸るようになった。


そしてついにそういうことが起きた時、俺の感じた感情は興奮ではなく虚無だった。


狭い路地を歩いていた時、すれ違った4、5人くらいの高校生の男女。


その内1人と肩がぶつかりかけた。


「何当ててきてんだよ」と言われた俺は狭い路地で広がって歩くそいつらに内心ムカついていたこともあり「当たってねーだろボケ」と言った。


腹を立てた向こうの1人が俺の胸ぐらを掴んできた。


その瞬間、俺は呆れた。こいつは馬鹿かと。


胸ぐらを掴んでくる人間への対処は少林寺拳法で最初に習う初歩中の初歩であり、逆に言えば胸ぐらを掴むという行為は初心者でも対応しやすい。


つまり胸ぐらを掴むという行為は俺にとって「どうぞ私に技をかけてください」と言っているようなもの。


俺はそいつの腕を片手で固め地面に転がし、金的(※武道における股間のこと)を蹴飛ばす。


男は転んだまま股間を抑えうずくまった。


加減はしてやったがそれでもアソコを蹴られればしばらくはまともに動けないだろう。


それを見て殴りかかってきた男の拳を後ろに体重を預けつつ、右足での足刀蹴(そくとうげり)


腕と脚だったら脚の方がリーチが長いのは自明の理だ。


それを利用し上半身を後ろに倒し相手の突きをかわし、その動きを利用し足刀蹴りを放つ。


威力も乗り、相手の技もいなせる。

俺が乱取りでよく使う技だ。大抵のやつはこれで沈む。


俺の蹴りを受けた男は腹を押さえて吹き飛んだ。


今にして思えばアバラの数本はヒビが入ったか折れていたかもしれない。当時は加減もクソも無かったからかなりの力で蹴っちまったが。


残された男と女は流石に実力差が分かったのか、俺を見て固まっていた。


あまりのしょうもなさに俺は呆れ果てた。


何の緊張も高揚感も無かった。


歯応えがなさすぎてむしろ怒りすら沸いてきていた。


「お前らの知り合いで喧嘩強えー奴いねーの?」


そうしてそこからそいつらの知ってる喧嘩の強い奴と喧嘩しまくる日々が始まった。


俺は何だかんだ勝ち続けて地元では喧嘩がクソ強い中坊として有名になっていた。


そういうつもりはなかったが集団の中では自然とグループのリーダー的な立ち位置にいた。


そんな日常を送って気が付けば中3になっていた。


地元じゃ負け知らずであった俺の前にある男が現れた。


寺爺だった。


俺は1年も経たずに道場へ通うのを辞めていた。


理由は道場という保護された場所じゃ無いところで自分の力を振るってみたかったからだ。


思いの外その辺の奴らはレベルが低く、俺は道場に通う意味を見い出せなくなっていった。

寺爺にも当時で既に一泡吹かせるくらいにはなってたし。


そんな俺のことを道場生から聞いたのか、俺がよくたむろしている裏通りのゲーセンを寺爺が訪ねてきたようだった。


何か用かと尋ねる俺に寺爺はお前の勘違いを正しにきたと言い、構えた。


寺爺は乱取りの際もあくまで武道のルールから外れない堅実な戦法が身上だ。


しかし実戦では型もクソもない。相手にコンマ1秒でも早く自分の攻撃がヒットすれば勝ちだ。


1年間ルールもクソもないストリートファイトで揉まれてきた俺は余裕で寺爺を下せると思い、構えもせず手のひらをクイクイと動かし言外にかかって来いと示した。


もうね、ボーッコボコにされた。


いやー道場では練習ってことで基本に忠実だっただけだったのね。


様々な武道を体得しまくっている寺爺の本当の強さは円熟の極みに達しており、俺は仲間が見てる前でもうそれはそれはボッコボコにされた。


仰向けに地面に倒れた俺に寺爺はまた道場に来たくなったらいつでも来い、と言い去っていた。


多くは語らなかったが俺が如何に井の中の蛙か教えるために来たことは明白だった。


その日から俺はやさぐれ不良デイズにおさらばし、真面目くんになった。


まぁ仲間の前でボッコボコにされたので、恥ずかしくて居づらくなったってのが大きかったけど・・・


とにかく、自分を追い込めばどこまで行けるのか知りたくなったのだ。


とりあえず将来のことを考えて近場で一番良い高校に行くことにした。

周りの人間っていうのは大事だからな。


そうして無事西校に受かり今に至る——ってワケ」


一ノ瀬がベースの試験を課された1週間後、その腕前を軽音同好会3人の前で披露した。


一ノ瀬の腕前は3人とも驚くほどであり、満場一致で合格が出た。


しかし朱莉が「実力はわかったけど、中学の頃の噂を聞くとこのままおいそれと入部はさせられない」と一ノ瀬の経歴を話すよう促し今に至るのだった。


「まぁ確かに中坊の頃はヤンチャしてたけどよ、別に強い奴と戦いたかっただけで特段悪いことはしてねーよ」

「ほんと〜?」


朱莉はいまいち一ノ瀬のことを信用しきっておらず、疑うようにジト目で見つめる。


「まぁ疑わしきは罰せずだよ朱莉ちゃん」

「だって〜...」

「そんなに信用できねーか、俺」

「なんか顔が整いすぎてて胡散臭い」

「ひでー言われようだ...褒めてんの?けなしてんの?」

「大体話したことも無いのにいきなり楓ちゃんにアプローチしてきてさぁ、見た目だけじゃん見てるの!そーやって女子を(たぶら)かせて来たんだ!」


朱莉が机をバンバンと叩く。

威嚇チワワモードである。


「見た目じゃねーよ。いやもちろん見た目も素敵だが」

「サラッと口説きを入れるな!」

「一ノ瀬くん、ちょっと両手出して?」

「...何でだよ」

「良いから」


唐突な楓の言葉に一ノ瀬は一度拒むも、最終的には顔を背けつつ楓の前に両手を出した。


楓はその手を取ると何やら確認した後、朱莉の方を見て「見てみて」と一ノ瀬の手を朱莉の方へ向けた。


「これは....」


そこにあったのは皮が破れ、指の色々な部分にタコが出来た両手だった。


「一ノ瀬くん、右手のここもボロボロってことはスラップも練習したんだ。課題曲にはスラップ無いのに」

「...まぁベースの花形テクだし」


クスクスと笑う楓にムスッとした表情で照れ隠しをしながら一ノ瀬が答えた。


「あーあ、こんなん楽勝だったぜって体で行くつもりだったのによ」

「その内硬くなるから大丈夫だよ」

「でも川原さんの手はそんなに硬くねーよな」


楓が一ノ瀬の手を取った時、その手先は弦楽器を触らない人よりは硬いが、驚くほど硬いという訳でもなかった。


「ある程度弾けるようになってくると力まずに弾けるようになるから、結果指の皮もそんなに硬くはならないよ。ちょっと貸してみ?」


楓は一ノ瀬からベースを受け取ると、おもむろにそれを弾き始める。


一ノ瀬 仁という男が楓に惹かれた理由。


それを彼自身は上手く言葉に出来ないが、今まで周りにいた女子とは決定的に違う何かをその雰囲気から感じていた。


そして何より、何となく彼女にひれ伏したくなるようなオーラがあった。


そのオーラが何なのか、一ノ瀬は今ハッキリと理解した。


ベースを手にした楓はスラップを使ったリフを弾き始めた。


その演奏を聴いた瞬間、一ノ瀬はブッ飛んだ。


聴こえる音はシンプルだが、隠されたゴーストノートの量はまるで洪水だ。


それでいながら全ての音がグルーブに貢献しており、リズムの正確さと音符の強弱の付け方でまるでドラムも同時に演奏しているように聴こえる。


そして何よりフレーズが死ぬほどカッコいい。


細かいテクニックはどうでも良くなる程にそのリフ自体がカッコいいのだ。


一ノ瀬はベースを始めるにあたって動画サイトで色々な動画を見た。


だがその中のどんなベーシストよりも楓のことをカッコいいと思ってしまったのだ。


「驚いたか。だがこれは師匠のスキルのほんの一部だ」


驚き呆然としている一ノ瀬に二階堂がなぜか得意げに話しかける。


「なんだ、川原さんってこんなスゲェベーシストだったのかよ・・・」

「師匠がベーシスト?フハハハハ!」


二階堂は一ノ瀬の言葉に思わずと言った様子で笑い出す。


「・・・師匠のメイン楽器はギターだ」

「・・・嘘だろ」

「本当だ。そしてもっと言えばあらゆる楽器を高度に演奏できるというか、音楽は本業じゃない」

「は?」

「そしてさらに3D、アニメーション、デザイン、機械加工を主としたエンジニアリング技術も得意だ。ここじゃ語り切れないくらい他にもいろいろあるぞ」

「???」

「お前は自身を何でもすぐこなせる天才だと言っていたが、まずは師匠を越えてから言うんだな。もっとも、ベースですら師匠レベルになるのに時間が掛かりそうだが?」


クックックと笑う二階堂。


「彼女こそが日本が世界に誇るスーパークリエイターであり世界中の音楽チャートをインストで荒らしまくった伝説のインストユニットRaspberryのギタリスト、川原楓御大(おんたい)だ」

「・・・えっ?」

「・・・ん?」

「・・・二階堂くん???」( ◠‿◠ )

「・・・はっ!」(;゜Д゜)


何故かドヤ顔で楓を自慢する二階堂が盛大に地雷を踏み抜き、驚愕の事実に朱莉と一ノ瀬が驚愕しつつも

大町西高等学校軽音同好会は無事に(?)部活動としての活動を認められる4人の部員が揃い、同時にバンドとしてもスタートできる状態になったのであった。

挿絵(By みてみん)

※筆者の体験談では決してございません

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます 楓教宣教師「二階堂」のこの成長っぷり(ポンコツ)、楓様の名前を広める機会は逃さない(笑) [気になる点] 楓様が神なので四天王が一名足りないけど校長先生あたりが参…
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