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俺と言葉と有紗の夜ゴハン


現在、俺はアリサとリビングでテレビを見ながら言葉が晩飯を作ってくれるのを待っている。


「ねぇ手伝ったりとかはしないわけ?」

「しないな」

「こ、言葉に任せっきりなの?」

「ああ、俺料理できねーし」

「あなたよく一人暮らししようなんて思ったわね」

「全くもって同感だな」

コンビニと外食で何とかなるって思ってたし。


「ミント?料理運んでくれる?」

「へ〜い」

言葉が呼ぶのでキッチンに行ってみる。


「・・・なぁ言葉、これか?」

「そうよ、何か?」

「い、いや、アリサびっくりしないか?」

「さあ?べつにいいんじゃない?」

キッチンに置かれていたのは巨大なオムライス。

こないだ食べたやつよりふた回りくらいデカイ。

それにボールに山盛りのサラダ。


「ほれ、今日の晩飯だな」

「あ、ありがと・・・って何これ!」

「オムライスだな」

「オムライスよ」

「そんなの見たらわかるわよ!何このサイズ!」

「3人で食べるんだからそれくらいじゃないかしら」

「そうじゃなくて、普通1人づつ作るものでしょ?」

アリサの言うことはもっともだ。


「いやよ、めんどくさい。洗い物がふえるじゃない」

いつもの返事をする言葉。


「ねぇミント?言葉って学校ではキャラ作ってるの?」

「まぁメシでも食いながら本人に聞いてみたらどうだ?」

俺は皿とスプーン、フォークを並べてアリサに返事をする。

どうせそのうちアリサには気づかれるだろうし言葉がいいなら言葉自身が言うだろう。


「なら冷めないうちに食べるか」

「そうね、食べましょう」

「・・・う、うん」

「「「いただきます」」」


3人で巨大なオムライスを切り崩しながら食べていく。

うん、相変わらず言葉のオムライスは美味いな。


「・・何これ?美味しい・・」

「だろ?言葉の料理は何食っても美味いからな」

アリサはちょっとびっくりしつつもパクパクとオムライスを食べていく。


「はい」

「ん?ああ、さんきゅ」

いつものように言葉がスプーンに乗せて俺の口元にオムライスを運ぶ。

うん。美味い。


「ほれ」

「ありがと」

俺も同じように言葉にかえす。


「美味しいわね」

返事もいつもと同じだ。


「ちょちょちょ〜〜っと〜〜!!」

「どうしたアリサ?」

「あんたたち!何やってたのよ!今!」


あ・・・アリサがいたの忘れてた。

言葉を見ると、知らん顔でサラダを食べていた。

こいつはブレないな、ホント。


「いっいっ今のは何!」

「あ〜ん、だな」

「あ〜ん、ね」

「そうじゃなくて!付き合ってもないのにいつもそうなの?あんたたちは!」


俺と言葉は顔を見合わせて言う。

「そうだが?」

「そうよ」


「あ〜んよ!あ〜ん!私だってしたことないのに〜!いつもなの?いつもなのね〜!」

「おい、おい、落ち着けって。何だアリサお前もしたかったのか?」

アリサが錯乱しだしたので、俺はスプーンでオムライスをすくってアリサの口元に持っていってやる。


「ほら、あ〜んだ」

「・・・えっ?えっ?えええぇ〜〜!」

「何だよ、いらないなら言葉にやるぞ」

「いる!いるわ!」

そう言ってアリサは俺が差し出したスプーンを真剣な眼差しで見始めた。


「ミントのスプーン・・・これが間接キス」

「おい?」

「恋人同士の甘〜い、あ〜んが今目の前に・・・」

「いらないのか?」

「いる!いるから!ちょっと待って!心の準備がいるでしょ!」


アリサはすぅーはぁーすぅーはぁーして気合いを入れてスプーンにかぶりついた。

「・・・美味しい」

「だよな?」

「アリサ、どうぞ」

感動もあっという間にどこへやら、今度は言葉がスプーンを差し出す。


「えっ?えっと・・・言葉?」

「いらないの?」

「いる!いります!はむっ」

アリサはスプーンをパクっ頬張る。


「美味しい」

「でしょ?」

俺と言葉の2人に見られてアリサは真っ赤になって皿で顔を隠している。


「ほら、アリサそんなんじゃすぐになくなっちゃうからな」

俺と言葉でオムライスとサラダをどんどん食べていく。

この後3人であ〜んをしながらオムライスを完食した。

当然食後のデザートのあ〜んもアリサにしてやったのだがあれだけ真っ赤になって反応するとやっぱり俺と言葉がおかしいのかと改めて思ってしまう。


「あなたたちってこれだけ甘々なのに恋人同士じゃないんだよね?どうして?

「どうしてって言われても、なぁ?」

「そうね、一緒にいるだけ。ただそれだけよ」

言葉は今日はずっと笑顔を浮かべている。

俺はその笑顔の裏側を、下側を見てみたいと思ってしまう。本当の言葉の笑顔を。


「ふ〜ん。ならまだ私にもチャンスがあるわけね!」

「いや、ないから」

「ないわね」

「えっ?・・・ないの?」

「冗談よ。もしかしたらあるかもしれないわね」

「ないと思うぞ」

「どっちなのよぅ・・・」


拗ねるアリサを宥めつつ俺は、たまにはこんな夜もいいんじゃないかと思っていた。





お読み頂きありがとうございます(//∇//)

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