同級生達と悲しき再会
最初に書いた作品ですので多少の粗さは多めに見てください。主人公と同級生が再会する時、大きな事件の扉が開かれる!
霊憑街談~同級生達と悲しき再会~
太卭編第一話
主人公の名前は木公 太卭【きこう たきょう】
太卭は自由で就職はしていなかった。だがある日、太卭の携帯が鳴った。
これが地獄の始まりだとは知らずに――
(太卭)「はぁ…暇だなぁ」
太卭の携帯が鳴った。
(太卭)「ん?誰からだ」
太卭は携帯を見たら【非通知】だった。だが太卭は携帯に出た。
(電話の相手)「タスケテ…タスケテ…」
そう言うと電話が切れた。
(太卭)「何だ、今の?」
太卭は何の事か分からなかったがまた携帯が鳴ったので出た。
(太卭)「もしもし」
(電話の相手)「この電話を聞いたあなたは、ある事をしなければ死にます…そのある事とは、天失病院と狂流小学校を調べて、そこで起きた出来事とそこに残る思念を探し出し、結果をあなたの携帯のメールで自分のメールアドレスに送れば助かります…が残り時間は三週間と十六時間しかありませんが二つの場所については自分で調べなければいけませんが二つの場所の出来事と思念が分かり、メールを出さないとあなたはこの世の者には見えませんので」
そう言うと電話が切れた。
(太卭)(これはまずいかも、早く探さなきゃ、まずい、だが一体どうやって……そうだ!図書館に行けば何か分かるかも知れない、行ってみるか)
太卭は家を出て自転車を使おうと自転車置き場に行くと自転車が無かった。
(太卭)「自転車が無いって、歩く事になるが図書館まで二時間、掛かるよな…まあ、とりあえず行くか時間も無いし」
太卭は二時間程歩いて図書館に着いた。
(太卭)「着いたのはいいけど天失病院とか狂流小学校なんて知らないし、とりあえず歴史と病院と学校について記してある本を探せば、見つかるかも」
太卭は三十分程で二つの事が記してあると思われる本を見つけた。太卭はここからが大変だと思ったが二つの名前を二十分程で見つけた。
(太卭)「ふう、なんとか見つけたけど場所は、えーと、天失病院は、東京都の調布市にあるがもう使われてはいないがそこは幾多の手術が行われていたが全て成功をしているが何故か手術が成功した患者がいなくなり今も行方不明となっている…って、廃病院じゃねぇか! …だが一体なぜここにいかなきゃ…で狂流小学校の方は…東京都の三鷹市にあってここではなぜか入学した生徒達が急に踊ったり、白目をむいて移動して三階から飛び降りそうになったり、授業中に生徒がなぜか校歌を歌ったりなど奇行を見せる事が幾多も報告があり学校は閉校になったってこっちも廃校か…それもどちらも近くにあるけどいったいどっちから行けば……よし!廃病院から行こう!」
太卭は、本に付いている天失病院と狂流学校の見取り図をコピーして図書館を後にした。太卭は廃病院である天失病院に向かった。そして廃病院に行く途中で友達の昂史とすれ違ったが太卭には気づかなかった。
(太卭)(昂史のやつならすぐに気付くはずなのに気付かないって事は皆から俺は見えない事になる…こうなったら絶対に天失病院と狂流小学校での事の件とそこにある思念を見つけ出して必ず答えを探し出してやる!)
太卭は決意を改めた。
一時間後――
太卭は廃病院の天失病院に着いた。
(太卭)(…ここか! それにしても入口は狭いなあ人一人が入るのがやっとだ。…取り敢えず入ってみるか」
天失病医院の表玄関はまるで誰も通さないように木の板で押さえられていた。人一人が入るか入らないかの広さしか無いが太卭はその表玄関から入った。
(太卭)「陰気だなぁ…にしても何にも音がしない普通なら風の音が聞こえてもいい筈なのに風の音も聞こえないって…いやな予感しかしないな…それにまだ朝なのに中は真っ暗だ」
(太卭)(…さてまずは、病院の心霊スポットに行った時のセオリーの手術室に向かうとするか)
太卭は見取り図を確認してなんとか手術室にたどり着いた。
(太卭)「なんだろう…なんか悲しみを感じる…にしてもここは、手術に成功をしていた筈だが……!ちょっとまてよ、成功?……いや、違う意味での成功だ! ここは、患者を手術と言って称して患者を殺していた場所だ! だからここは悲しみを感じたわけだ。…取り敢えず他も調べないと」
太卭は手術室を出ようとした時に声が聴こえた。
(怨霊の声)「タ…ス……ケ…テ………ク…ラ…イ…ココ…ハ…ドコ…オネエチャン」
(太卭)「…今の声は、何だ! 一体何所から聴こえた! …取り敢えず今は診断書とかがある一室を探すか!」
太卭は声を無視して進んだらある部屋にたどり着いた。
(太卭)「ここは、えーと…医者達が休憩する部屋かここなら何か分かるかも知れない!」
太卭は何か病院の真相が分かる物を探していたら医者の日記帳を見つけた。
(太卭)「日記帳か…」
太卭は日記を読んだ。
(五月十三日 今日の患者は二十人を救えた。関係者は悲しんでいたなぜだろう?)
(六月三日 今日の患者は十人を救えた。
関係者は泣く者や嬉しんでいる者がいる。)
(七月二日 今日、救った患者の関係者が裁判を起こした。なんで裁判を起こしたのか分からない…僕は人を救ったはずだ。なんで?)
この日記を読んで太卭は――
(太卭)「なんだよ、この日記に書いてあることは腹が立って来た! 人を救うってそうゆうことじゃない絶対に! 取り敢えず携帯のメールを作らなきゃ…」
太卭は、怒りを押さえながら携帯を取ると後ろから声が聞こえた。
(怨霊の声)「タ…ス…ケ…テ…アナ…タ…ノ…カ…ラダ…チョ…ウダ……イ…」
太卭は声が聞こえた方に振り向くとそこには保育園時代の同級生だった日拿 野須気【ひな のすけ】がいた。
(太卭)「お前、なんでここに?」
そう言うと野須気が――
(野須気)「電話があって、そしてここに来た」
(太卭)「そうかお前にも」
(野須気)「お前もあったのかだったら話は早い」
(太卭)「?」
(野須気)「オマエノイノチヲチョウダイ」
その瞬間、野須気の顔の形相が変わった。
(太卭)「野須気…お前…」
太卭は怖くなり病院の外へ向けて逃げた。
(太卭)「なんとか、逃げきれたか! …はぁ…はぁ…にしてもあいつ死んだのか? 俺はこのこと早く伝えなきゃいけない取り敢えず、今は…」
太卭は携帯のメールにこの病院の事を書いた。
(件名 廃病院について…)
(ここは、病院ではなく人を殺していた場所だったここにいた医師は快楽殺人者だった。ここで蠢いている思念体は助けを未だに待っていて悲しんでいる。)
(太卭)「よし、これで完了…後は送信と…」
太卭はこれを自分に送信した。
(太卭)「取り敢えず、次の狂流小学校に行こう確か場所は隣市だったな…急ごう! 何とか三週間までにやらないと…」
太卭は急いで狂流小学校に向かった。その道中で顔馴染みの邑期 宗也【むらまつ そうや】にあったが宗也も太卭には気付かなかった。
それから二時間後――
太卭は何とか廃校である狂流小学校に着いた。
(太卭)「ここが、狂流小学校か。ここもやっぱり陰気だ…取り敢えず入口を……ここは学校だから入口が三つある筈だから…まずは入口の位置を確認しないと。えーと、西に一つと南に一つそして東に一つか! 成程ね…取り敢えずは西の出入り口から行って観るか!」
太卭は西の出入口へ――
(太卭)「ここからは入れそうだな」
太卭は西の出入り口から狂流小学校に入った。
(太卭)「まずは、職員室に行ってここの記述が記されている書物を探さないと…」
太卭は図書館で手に入れた間取り図を見て職員室は二階にある事が分かり太卭は二階に向かって階段を上っていると子供の歌声が聞こえた。
(子供の歌声)「コーコーデークーラースー♪マーチーハサーツージーンーシャー♪バーカーリー♪カーナーシーイーナ♪キョ―ウーリューウ――ショーウ―ガーッーコーウー♪ターノーシーイーバーショ♪ナニモカモナクナレ♪マチ♪~――――――――――」
太卭は歌を聴いていると怒りが込み上げて来た。
(太卭)「…何だよ…この校歌はおかし過ぎる!」
太卭は、何とか怒りを抑えて階段を上って何とか職員室にたどり着いて中に入った。
(太卭)「何とか入れたけど日記とかあるか探してみるか…」
太卭は、机の中を一つ一つ探すと一つの机から日記帳らしき物を見つけた。
(太卭)「日記か …内容を読んでみるか」
俺は、怒りを抑えながら読んでみた。
(四月十日 今日、狂流小学校が開校)
(四月十四日 良いことが起きた皆狂った。これはいいことだ、それも学校の中でだけ学校の外に出れば狂わないからこれはいい事だ。)
(六月三日 今日、屋上から死のうとした生徒がいたが何とか命に別状はなかった。)
(八月十日 今日、狂流小学校が閉校する事になったなんでこうなった保護者は、閉校することになって安心していた。)
太卭は怒りが爆発寸前まできていた。
(太卭)「狂うことが良い訳があるか! …それにしても、なんで狂うようにしたのか? …次は教室を見て回るか」
太卭は一年~六年の全てを見て回っていたら最後の六年二組の中で動いている影を太卭は見つけた。
(太卭)(誰かいるのか?)
太卭はそう思い影を見ていると――
(怨霊の声)「イ…ショ…ニオ…ド…ロ…ウ…タ…ノ…シ…イ…ヨ」
太卭は恐怖を感じたが逃げるわけにはいかないと…その時、後ろから嫌な気配を感じ後ろを振り向くとそこには保育園の時の同級生だった紗図 公男【さと きみお】がいた。
(太卭)「公男、なんでここに?」
(公男)「電話があって、ここを調べに来た」
(太卭)「…そうか、どこまで調べたの?」
(公男)「何とか、ここの思念は分かったよ」
(太卭)「そうか …で思念は何だった?」
(公男)「…グゥゥゥゥ…タ…ス…ケ…テ…タ・・ス…ケ…テ…」
(太卭)「この声ってもしかしてあの時の!」
この時、太卭は分かってしまった。「調べろ」と言う電話の前にあったあの電話は死んだ公男からだった。でも、これで太卭は全てが分かった。
(太卭)(…後は携帯のメールで自分に送れば終わるのだがどうしようか…近くの出口から外に出てメールを打つ事にするか!)
(公男)「タ…ス…ケ…テ…ヨ…タ…キョ…ウ…」
太卭は近くの出口に向かって走った。
(公男)「タ…キョ…ウ…ナ…ン…デ…ニ…ゲ…ル…ノ?」
太卭は出口が見えた。
(太卭)(…もう少し!)
(公男)「ニ…ガ…サ…ナ…イ…ヨ…」
(太卭)「!」
開いていた出口のドアが閉まった。
(太卭)「くそ! 開かない! 他のドアから…」
(公男)「ム…ダ…ダ…ヨ…」
その瞬間、ガタンという音が建物全体から聞こえた。
(太卭)(1階の外に出るためのドアが全て閉まったのか! …だとしたら、最後の賭けに出るしかない!)
太卭は二階へ上った。
(公男)「モ…ウ…ニ…ゲ…ラ…レ…ナ…イ…ヨ…」
(太卭)(いや、まだ一つだけ脱出ルートが残っている!)
太卭は、一年の教室と思われる部屋に入った。部屋のベランダにつう通ずるドアを開けた。
(太卭)「…やっぱり、一階以外のドアは全てが開く! これならいける」
(公男)「タ…ス…ケ…テ…ヨ…」
太卭は二階のベランダからグラウンドに飛び降りた。
(太卭)「くっ! …なんとか出られたか」
太卭は右腕を打ったがそのまま狂流小学校の敷地を出た。
(太卭)「…これで送れる」
太卭はメールを作った。
(件名 狂流学校について)
(狂流学校では職員が狂うように仕掛けた。ものだったそうして狂わされた生徒達は、助けを求めていた。)
(太卭)「…これでよしと」
太卭は、これで終わった筈と思ったが電話が掛かってこなかった。
(太卭)「なぜ掛かってこない」
太卭がそう言った瞬間に電話が掛かってきた。
(電話の相手)「おめでとうございます。貴方は助かりました。…ですがこれだけは忘れないで下さい。興味本位で心霊スポットに行かないでくださいね…そこにある思念が襲いかかるかもしれないです。…あともう一つ…もし中途半端に終われば貴方の命を貰いました。…が貴方はちゃんとそこにある思念を探し出せましたからよかったです。ではこれにてさようなら…」
(太卭)「俺は、助かったのか…そうだこの事を皆に伝えなきゃ」
そう思い、家がある調布市に向かって走って帰った途中で幼馴染の弓群 畦【ゆみむらうね】に会った。
(弓群)「よう、太卭、何やてるの?」
(太卭)(俺が見えるのかよかった)
(弓群)「おい、太卭?」
(太卭)「畦は、なんでここに?」
(弓群)「ジョギングだよ」
(太卭)「…そうか」
(弓群)「太卭こそ、何を?」
(太卭)「散歩だよ」
(弓群)「…散歩ねえ」
(太卭)「まぁね」
(弓群)「あ、そういえば携帯のアドレスまだ交換してないよな」
(太卭)「え、…そういえばしてないな」
(弓群)「じゃ、交換しますか」
(太卭)「そうだな」
太卭と畦の二人は携帯のアドレスを交換した。
(弓群)「太卭は今何をやっているの?」
(太卭)「職には、就いてない」
(弓群)「…そうか」
(太卭)「畦は何をやっているの?」
(弓群)「俺は卓球をしていて近々大会があってその準備中をしていてね」
(太卭)「そうか、卓球の選手か」
(弓群)「まぁね」
(太卭)「大会ってどこで行なわれるの?」
太卭は畦に大会場所を訊いた。
(弓群)「たしか、調布ブルーホールで行なわれるよ」
(太卭)「そうか、頑張って優勝しろよ」
(弓群)「ああ、全力を尽くすよ」
(太卭)「じゃ、頑張って」
(弓群)「ああ、そっちも」
(太卭)「じゃ、また」
(弓群)「ああ」
太卭と畦は別れて急いで家まで、走っていたら畦が参加する大会のポスターが目に入った。
(太卭)「これか、畦が参加する大会は…」
【封貯大会 日時六月五日 午前の部=七時三十分 午後の部=十三時から】
(太卭)「なるほどね …おっと急がないと」
太卭は、急いで家まで走った。
数分後――
太卭は家に着いた。
(太卭)「はぁ…はぁ…何事も無く帰って来れた。先ずは二人の家に電話しないと」
家に戻って、中に入ると両親が居ない事に気付き家の中を探したが二人ともいなかった。
(太卭)「たっく、二人共どこに…」
太卭は、テーブルの上に両親からのメモがあった。
(太卭へ お父さん、仕事上で長野県に出張してくるから二ヶ月は帰れないからお母さんと二人で暮らして待っていてくれ)
(太卭へ お母さん、実家に行ってきます。まあ、一ケ月ぐらいで帰るからその間一人で生活しているのよ。…あと、今日の晩飯と明日の朝飯は冷蔵庫にあるから)
(太卭)「たっく、二人共、出かけたのか。…まずは野須気と公男の家にさっきの事を伝えないと」
太卭は、電話を取って先ずは野須気の家にかけた。
(野須気の母親)「…もしもし、火拿ですが、どちら様ですか?」
(太卭)「…お久しぶりです! 木公 太卭です」
(野須気の母親)「ああ、太卭君久しぶりね! どうしたの?」
太卭は、さっきの出来事を言うよりも先ずは野須気について訊いた。
(太卭)「あの、野須気は、居ますか?」
(野須気の母親)「ああ、野須気はね、五年前に亡くなったのよ」
(太卭)「…そうですか、因みにお墓はどちらですか?」
(野須気の母親)「確か、墓功等墓地よ」
(太卭)「そうですか、ありがとうございます」
(野須気の母親)「あらなんかようがあったみたいだけどいいの?」
(太卭)「いや、ただ久しぶりに会おうかなと思いまして…」
(野須気の母親)「あら、そう、ごめんね」
(太卭)「いえ、こちらこそ、すいませでした」
(野須気の母親)「じゃぁ、元気でね…そうだ! 年賀状は毎年出してね、それが、私たちが子供を忘れないためにもこれからも年賀状を送ってね」
(太卭)「はい、わかりました。では…」
(野須気の母親)「じゃあね」
野須気の母親から電話を切った。
(太卭)「…やっぱり、亡くなっていたのか、明日にでも野須気の墓参りに行くか」
太卭は、もう一人の公男の家に電話をした。
(公男の母親)「もしもし、紗図ですがどちら様ですか?」
(太卭)「お久しぶりです。木公 太卭です」
(公男の母親)「あら、太卭君どうしたの?」
(太卭)「あの、公男は居ますか?」
(公男の母親)「公男なら二年前に亡くなったわよ」
(太卭)「…そうですか」
(公男の母親)「ごめんなさいね」
(太卭)「いえ、因みに公男のお墓はどこに?」
(公男の母親)「阿迩忌墓地よ」
(太卭)「わかりました …ちなみになんでお亡くなりに?」
(公男の母親)「それがね、心霊スポットに行ってそこで亡くなったのよ」
(太卭)「…そうですかわかりました」
(公男の母親)「ええ、じゃあ、電話切るわね」
(太卭)「はい、すいません」
太卭は電話を切った。
(太卭)「やっぱり公男も…じゃあ、なんで?二人共あそこに…しかも公男は心霊スポットで亡くなっていたって言うし野須気にいたっては…よく聞いてないけどあそこで亡くなったのは確かとして…どうしようか? 確認するにはどうしたら?」
太卭は、自分の部屋で考えた。太卭は良い方法を思いついた。
(太卭)「そうだ! 警察か探偵に協力してもらえばいいのか! …いや、簡単に協力してもらえないだろうし…う~ん、如何したら」
太卭は再度考えた。
(太卭)「そうだなあ、畦に聞くっていう方法もあるけど、あいつは、大会の準備中で大変だしどうしたら…」
その時、家の電話がなった。
(太卭)「なんだよ、こんな時に誰からだよ」
太卭は、電話を取った。
(太卭)「もしもし、木公ですがどちら様ですか?」
(凪川)「俺だよ、凪川覇頭だよ」
電話して来たのは小学校の同級生だった凪川 覇頭【なぎかわ はと】だった。
(太卭)「覇頭、お前かよ」
(凪川)「久しぶりだな」
(太卭)「そうだな」
(凪川)「あのさ、今から、会えないか?」
(太卭)「いいけど」
(凪川)「ありがとう」
(太卭)「どこで会おうか?」
(凪川)「そうだな、家に来てくれないか?」
(太卭)「いいけど、お前の家どこ?」
(凪川)「小学生の時と変わらないよ」
(太卭)「わかった、今から行くから」
(凪川)「じゃあ」
(太卭)「ああ、じゃ!」
太卭は電話を切った。太卭は覇頭が住んでいるマンションに向かった。
(太卭)「…にしても、あいつ、声に張りが無いっていうか元気が無かったな。…小学生の時は、元気いっぱいだったあいつが…何かあったのかな?」
太卭は、独り言を言っているとマンションに着いた。
(太卭)「ええと、どこだっけ?」
太卭は、覇頭の階がどこか探した。
(太卭)「あった、三〇五号室ね」
太卭は、覇頭のいる三〇五号室に向かった。
(太卭)「ここか、覇頭いるか?」
太卭は扉をノックした。すると、玄関のドアが開いた。
(凪川)「来たか、取りあえず入って」
(太卭)「お邪魔します」
太卭は、覇頭のいる部屋に入った。
(太卭)「俺を呼んだのは何故だ?」
(凪川)「…実は話がある」
覇頭の顔が険しい顔をしていた。
(太卭)「…何だよ?」
(凪川)「…実は、野耶深のやつが病院に運ばれた」
(太卭)「え! 野耶深が!」
(凪川)「ああ、命に別条は無いけどね」
(太卭)「よかった」
(凪川)「……」
(太卭)「でもなんで病院に運ばれる事になった?」
(凪川)「…実は、野耶深のやつ暴力団組織にいて」
(太卭)「は!? 野耶深が暴力団に!」
(凪川)「そうなんだ」
(太卭)「もしかして、暴力団の内部抗争とかに巻き込まれたとか?」
(凪川)「いや、そうじゃない」
(太卭)「じゃあ、いったいなんで病院に?」
(凪川)「実は、あいつ、自殺をしようとしたみたいで」
(太卭)「え! なんで?」
(凪川)「わからない…けど自殺する前に会ったのが志餌歌で」
(太卭)「…ちょっと待て、志餌歌って誰だよ?」
(凪川)「…そうか会ったことなかったっけ」
(太卭)「あたりまえだ」
(凪川)「志餌歌は、中学生の同級生だよ」
(太卭)「…そういうことか」
(凪川)「本題に戻るぞ」
(太卭)「ああ」
(凪川)「志餌歌が言うには、野耶深は、死のうと思う感じじゃないって」
(太卭)「でも、友達とか同級生に会えばそういう感情を表に見せないでしょ…普通は」
(凪川)「確かに太卭の言う事も一理あるけど、志餌歌は、感情を表にしなくても、分かるのよ」
(太卭)「…そうか」
(凪川)「だから変だよな」
(太卭)「確かに、そんなやつが自殺しようと思わないな」
(凪川)「でも、一つだけ気になる事が」
(太卭)「なんだよ?」
(凪川)「野耶深の顔を見た時、一瞬だけど違う顔に見えたって志餌歌は言っていた」
(太卭)「え!違う顔」
(凪川)「ああ…だけど、どこかで見たような顔だったけど」
(太卭)「そうなんだ」
(凪川)「ああ」
(太卭)「野耶深にいったい何が?」
(凪川)「それは、わからない」
(太卭)「あのさ、話を変えるけど、覇頭はなんで野耶深と今も交流があるの?」
(凪川)「当たり前だろ! 友達だからだよ」
(太卭)「…そうか」
太卭は、覇頭と野耶深の関係が本当の親友なのかもしれないと感じた。
(太卭)「それにしても、ここ、お前一人か?」
(凪川)「そうだよ、両親は去年に亡くなったよ」
(太卭)「え! そうなの?」
(凪川)「実家に帰る途中で交通事故に遭ってそのまま…」
(太卭)「そうか」
(凪川)「ああ」
(太卭)「じゃ、俺は帰るわ」
(凪川)「そうだね」
(太卭)「そうだ、野耶深が入院している病院の名前は?」
(凪川)「苦生病院だよ」
(太卭)「…わかった」
(凪川)「あっそうだ、携帯のアドレスさ交換しないか?」
(太卭)「そうだな」
太卭と覇頭は、携帯のアドレスを交換した。
(凪川)「じゃあな」
(太卭)「なんかあったら連絡するよ」
(凪川)「ああ」
覇頭は、玄関のドアを閉めた。
(太卭)(それにしても、野耶深が自殺を…)
太卭は、家に着くと由美が玄関前にいた。
(太卭)「由美、どうした?」
(由美)「太卭君、あのね」
(太卭)「なんだよ」
(由美)「今年のバレンタイチョコ」
(太卭)「は? もう夏だろ」
(由美)「うん、でも今年にわたそうと作っていたのだけど私…料理が苦手で今日になっちゃったの」
(太卭)「そうか、バレンタイチョコ、ありがたく受け取るよ」
(由美)「ありがとう」
太卭は由美からの《バレンタイチョコ》を受け取った。
(太卭)「とりあえず、入るか?」
(由美)「おじゃまするわ」
太卭と由美は家に入った。
(太卭)「…あっ! そうだ!」
(由美)「なに?」
(太卭)「ちょっと、リビングにいてくれるか?」
(由美)「うん、わかった」
太卭はキッチンに行き料理を作った。
(太卭)「お待たせ」
(由美)「なに?」
(太卭)「はい、お返しのクッキー」
(由美)「ありがとう」
(太卭)「これで、今年のバレンタイとホワイトデーの交換は、できたな」
(由美)「そうね♡」
(太卭)「今、二人で食うか?」
(由美)「そうね」
太卭と由美は、お互いの作ったクッキーとチョコをお互いに渡して二人で食べた。
(由美)「おいしいわ、このクッキー」
(太卭)「こっちも、おいしいよ」
(由美)「ありがとう」
(太卭)「携帯番号を交換しないか?」
(由美)「いいわよ」
由美と太卭は携帯番号を交換した。
(太卭)「…にしても、来年もわたすなら、ちゃんとバレンタイの日にわたせよ、由美」
(由美)「うん、分かってるわよ」
(太卭)「他に用は無いのか?」
(由美)「ないわよ」
(太卭)「そうか」
(由美)「ちょっと気になる事があるの」
(太卭)「なんだよ?」
(由美)「両親は、どうしたの?」
(太卭)「二人とも、出かけているよ」
(由美)「…そう」
(太卭)「そろそろ、帰るか?」
(由美)「うん」
(太卭)「わかった」
太卭は由美を玄関まで見送った。
(由美)「じゃあね、太卭君」
(太卭)「またな」
由美は帰って行った。
(太卭)(由美、来年のバレンタイは、ちゃんと2月14日に渡してくれよ)
太卭は由美が見えなくなると家に入った。
(太卭)「さてと、今は、野須気と公男の事をどうにかしないと…そうだ、野耶深が入っている暴力団に頼んでみるか…いや、駄目だ! こういう事はやっぱり、墓地を管理している管理人に聞いてみるか」
太卭は、野須気と公男の死亡原因の事については墓地を管理している管理人に聞くことにした。
(太卭)「…はぁ、それにしても今日は、疲れたもう寝るか」
太卭は、布団を敷いた。
(太卭)「…やべ! 風呂に入るのを忘れた。急いで準備しないと」
太卭は、風呂に入る準備をした。
(太卭)「…よし、これで、風呂が沸いたら、風呂に入って、寝るとするか」
太卭は、風呂が沸くまで本を読んだりして暇を潰していた。
(太卭)「それにしても、今日は、疲れたなあ」
太卭は、今日の出来事を振り返っていた。
(太卭)「風呂が沸いたようだな」
太卭は、風呂が沸いたので風呂場に向かっていた途中で携帯が鳴った。
(太卭)「誰からだよ」
俺は、携帯を見た。
(太卭)「畦からメール?」
俺は、気になってメールの内容を見た。
(今から、会えるか?)
(太卭)「会えるかって、風呂に入ろうとしていたけど…まあ、いいか」
(いいけど)
太卭は返信を打った。
(太卭)「それにしても、なんだろう?」
返信が来た。
(すまない、今から行くから)
(太卭)「まあ、良いか畦の家は二件隣だし」
家のインターホンが鳴った。
(太卭)「はい?」
太卭は、玄関のドアを開けた。
(弓群)「よう、太卭」
(太卭)「なんだよ、こんな時間に?」
(弓群)「ごめん、実は、騎闘か(きとう)ら電話があって」
(太卭)「騎闘から?」
(弓群)「そうだよ、それで、電話の途中で切れて、電話を掛け直したら」
(太卭)「掛け直したら?」
(弓群)「電話が繋がらなかった」
(太卭)「だから?」
(弓群)「騎闘の携帯は、GPSが付いていたから、それを起動して、位置情報を調べたら」
(太卭)「調べたら?」
(弓群)「あいつ…今、東京の高尾山にいることがわかたんだ」
(太卭)「だから、なに?」
(弓群)「騎闘のいる高尾山に行ったら」
(太卭)「行ったら?」
(弓群)「あいつ、腹から血が流れていた」
(太卭)「は?」
(弓群)「俺は、すぐに救急車を呼んだよ」
(太卭)「騎闘は、大丈夫なのか?」
(弓群)「体のほうはね」
(太卭)「そうか、よかった…体の方は?」
(弓群)「…今、騎闘は昏睡状態に…」
(太卭)「目覚めるのか?」
(弓群)「わからない」
(太卭)「でも、一体騎闘の身に何が?」
(弓群)「わからない」
(太卭)「取り敢えず明日見舞いに行くよ」
(弓群)「ありがとう」
(太卭)「じゃあ、いいかな?」
(弓群)「ああ、すまん」
(太卭)「気をつけて、帰れよ」
(弓群)「じゃあな」
畦は帰って太卭はドアを閉めた。
(太卭)「……やべ! 騎闘が入院しているが病院どこか畦から聞くのを忘れていた」
太卭は、風呂に入った。
(太卭)「とりあえず、騎闘が入院している病院が何処か、風呂から出たら、畦の携帯にメールで確認してみるか」
1時間位たって太卭は風呂から出た。布団を敷いた後に太卭は携帯を取って畦にメールを打った。
(さっき、騎闘が入院している病院について、聞くのを忘れたよ、入院している病院の名前は?)
俺は、畦にメールを返信した。
(太卭)「よし、じゃ、寝るか」
俺は、こうして、一日を終えた。
翌日――
(太卭)「朝か、そういえば畦からのメールは来ているかな?」
太卭は畦からのメールがあるか見た
(太卭)「来てる」
太卭は畦からのメールを読んだ。
(確か、あいつが入院している病院は、苦生病院だよ)
(太卭)「苦生病院って確か野耶深も入院しているとこか」
太卭の脳裏にあるイメージが浮かんだ。
(太卭)「…まさかな」
太卭は、畦に返事を出した。
(ありがとう)
(太卭)「まずは、野須気と公男の墓に行ってから病院に行くか」
太卭は、調布駅に行き、電車に乗り阿迩忌墓地がある桜上水駅に向かった。
(太卭)(公男のやつが亡くなるとはね)
桜上水駅に着いた。
(太卭)「さてと、降りるか」
電車から降りたら後ろから。
(男性)「太卭じゃないか」
(太卭)「誰?」
(男性)「俺だよ、上田 交茂だよ」
(太卭)「交茂か、久しぶりだな」
太卭に声を掛けたのは小学生の時同級生だった上田 交茂【うわた こうさよ】だった。
(上田)「久しぶり!」
(太卭)「交茂は今何を?」
(上田)「今、サッカー選手だよ」
(太卭)「サッカー選手…そうかぁ、お前は夢を叶えたのか」
(上田)「…いや、まだまだだよ」
(太卭)「え?」
(上田)「いろんな人にサッカーの楽しさを教えていく事が今の目標だから」
(太卭)「そうか、でっかい夢だな」
(上田)「そういえば、携帯番号を交換しないか」
(太卭)「そうだな」
太卭と交茂は携帯番号を交換した。
(上田)「じゃあ、太卭またな」
(太卭)「じゃあ」
交茂と別れた。
太卭は、阿迩忌墓地へ向かった。
(太卭)(まだ俺達、二十代だぞ! 寿命じゃないし、死因は、一体?)
阿迩忌墓地に着いた。
(太卭)「…ここの管理人に聞いてみるか」
俺は、ここの管理人が居る場所に向かった。
(太卭)「すいません」
(女性)「はい、何でしょう?」
(太卭)「自分は紗図 公男の同級生ですが」
(女性)「そうですか」
(太卭)「公男の死因は分かりますか?」
(女性)「確かね、閉校の小学校の屋上から飛び降りたみたいよ」
(太卭)「そうですか、ありがとうございます」
(女性)「そういえば、紗図家のお墓ってわかりますか?」
(太卭)「いえ、何所ですか?」
(女性)「私が案内しますよ」
(太卭)「助かります」
太卭は管理人さんに公男の墓まで案内してもらった。
(女性)「ここです」
(太卭)「ここですか」
(女性)「じゃあ、いいでしょうか?」
(太卭)「はい、ありがとうございました」
管理人は戻っていって、太卭は公男が眠るお墓に手を合わせた。
(太卭)「よし、次は、野須気の墓か…確か野須気の墓地の墓功等墓地だったな」
太卭は、阿迩忌墓地を後にした。
(太卭)「野須気の墓は上北沢だから下り方面に向かわないと」
太卭は桜上水駅まで走った。
(太卭)「下り方面だったな」
俺は、下り方面に向かった。
(太卭)「電車は、あと三十分あるか」
太卭は、電車を待っている間に携帯にメールが来ているか、確認した。
(太卭)「何もないか」
携帯には、何も来ていなかった。
(太卭)(…そういえば、公男と野須気の二人にもあの電話があったみたいだけど、あれは一体?)
太卭は、あの時の事を考えていた。
(男性)「あれ? 太卭か?」
(太卭)「ん?」
太卭の隣に居たのは中学生時代の同級生の多野 湖流志【たの こるし】がいた。
(太卭)「湖流志か?」
(多野)「そうだよ」
(太卭)「久しぶりだな」
(多野)「そうだな」
(太卭)「なんでここに?」
(多野)「いや、仕事だけど、そっちは?」
(太卭)「俺は、仕事には、就いていないけど」
(多野)「そうか、羨ましい」
(太卭)「そうか?」
(多野)「そうだ、電話番号を交換しないか?」
(太卭)「そうだな、交換するか」
太卭と湖流志は電話番号を交換した。
(太卭)「電車が来たみたいだ」
(多野)「本当だ」
下り方面に特急電車が来た。
(多野)「俺は、これに乗るけど、太卭は?」
(太卭)「俺は、特急じゃなくて各停だから」
(多野)「そっか、じゃあ、またな」
(太卭)「じゃあ」
太卭と湖流志は、別れた。
(太卭)「…あれ?」
太卭の携帯が鳴った。
(太卭)「誰からだ?」
携帯にメールが来た。
(太卭)「メールか」
(件名なし あなたの命は、後二十四時間です。 あなたが助かるには、野須気の墓をきれいにし、その後、きれいにした野須気の墓をメールに添付しそれを自分の携帯に送信すれば助かります)
この時、メールに書いてある野須気の墓が今、どうなっているのかが太卭は分かった。
(太卭)「野須気の関係者は誰も行ってないのか…」
この時、太卭の中に怒りを感じたのと同時に悲しみも感じた。
(太卭)(死んだものに失礼だろ! 墓をきれいにしないのは最悪だ!)
その時、メールが届いた。
(太卭)「誰だ?」
(件名、木公 深彦だ)
(太卭)「…深彦って兄さん…でも兄さんは俺が産まれる前に亡くなったはずじゃあ?」
(驚いているだろ、確かに俺は、死んだ、お前が産まれる前に一つ伝えたくて、このメールを送った…)
(太卭)「確かに驚いたよ、兄さんは産まれて一ケ月程で亡くなったって、両親から聞いたから」
俺は、メールの続きを見た。
(…理性を保て! そうしないといつか自分を自分で苦しめる事になる。お前は俺達の分も生きていてほしいから)
(太卭)「…兄さん、ありがとう」
太卭は涙が溢れ出そうだった。
(いつも、お前の近くにいて、やるから心配するな)
太卭は涙を堪えた。
(太卭)「取り敢えず、野須気の墓に行かなくちゃ!」
ちょうど、各停電車が着いた。
(太卭)(待ってろよ…野須気…お前の墓は俺がちゃんときれいにしてやる)
太卭は心の中でそう決意し、各停電車に乗った。
(太卭)「兄さんのメールが無かったら、俺は…」
電車は、上北沢駅に着いた。
(太卭)「さてと、降りるか」
電車から降りた。
(太卭)「そういえば、俺って墓功等墓地への行き方は知らなかった…どうしよう」
俺が困っている様子を見ていたのかある人物が近寄って来た。
(男性)「どうかしましたか?」
(太卭)「え?」
そう振り向くとそこには、幼馴染の須木野一弟【しきの いちだい】だった。
(太卭)「もしかして、一弟か?」
(一弟)「え?」
(太卭)「俺だよ、太卭だよ」
(一弟)「…! 太卭か、久しぶりだな」
(太卭)「それにしても、お前はここで何を?」
(一弟)「何って、仕事だよ」
(太卭)「仕事って?」
(一弟)「家業を継いだだけ」
(太卭)「家業って?」
(一弟)「葬式屋だよ」
(太卭)「そうなんだ」
(一弟)「…で、お前は何で悩んでいる?」
(太卭)「そうだ、墓功等墓地ってどこ?」
(一弟)「墓功等墓地は、ここからのバスに乗ってバス停を四つめだよ」
(太卭)「それで、どの系統に乗れば?」
(一弟)「ここ、一系統しかないよ」
(太卭)「そうか、ありがとう」
(一弟)「どういたしまして」
(太卭)「そうだ」
(一弟)「ん?」
(太卭)「携帯番号を交換しないか」
(一弟)「そうだな」
太卭と一弟は、携帯番号を交換した。
(太卭)「ありがとう」
(一弟)「まあね」
(太卭)「そろそろ、行かないと」
(一弟)「そうか、またいつか会おうな」
(太卭)「そうだな」
(一弟)「じゃ」
(太卭)「じゃあな」
太卭と一弟は別れた。
(太卭)(まずは、バス停に行くか…それにしても、あのメールは、一体?)
太卭は、野須気の墓についての事を書いてあったメールについて、考えながらバス停に向かった。
(太卭)「ここかな?」
バス停に着いた。
(太卭)「…バス、来てたか」
太卭はバスに乗った。
(太卭)(…! あのメール、もしかして…まさかね)
太卭はある仮説をたてたが、それは、自分にとって信じ難い事だった。
(太卭)「もう、墓功等墓地に着いたか」
太卭はバスを降りた。
(太卭)「ここか、野須気の骨が眠っているのは」
太卭は公男の時と同様にここの管理人がいる場所に向かった。
(太卭)「すいません」
(男性)「はい?」
(太卭)「あの、火拿野須気の知り合いなのですが火拿家のお墓はどこですか?」
(男性)「そうですか・・・分かりました、案内します」
太卭は、ここの管理人に野須気の墓に案内してもらった。
(太卭)「あの…」
(男性)「なんですか?」
(太卭)「野須気の死因は、なんだったのでしょうか?」
(男性)「どこかの廃病院で首を吊っていたみたいですよ」
(太卭)「そうなんですか」
(男性)「ここが、火拿家のお墓です」
(太卭)「ありがとうございます、それにしても、すごく、汚れていますね」
(男性)「ええ」
(太卭)「なんで、ここまで?」
(男性)「家族の誰も来ないからね」
(太卭)「誰も…ですか?」
(男性)「そうよ」
(太卭)「そうですか…じゃあ、自分が墓をきれいにしますよ」
(男性)「そうですか?」
(太卭)「はい、自分に任せてください」
(男性)「じゃあ、お願いするわね」
(太卭)「はい」
管理人は帰って行った。
(太卭)「…さてと、やりますか」
(太卭)(それにしても、かなり汚れているな)
太卭は野須気の墓をきれいにした。
(太卭)「ふう、これでよし…後は、写真を撮って送信すれば完了だな」
俺は、メールにして、俺に送信した。
(太卭)「よし、これでよしっと」
携帯が鳴った。
(太卭)「ん、メールか?」
そこには――
(件名無し これであなたは、助かりました。 まあ、死ぬのは、大袈裟だけど不幸は訪れていたのは、確かだったでしょう。)
(太卭)「これで後は、野耶深と騎闘が入院している苦生病院だけだな」
(太卭)(確か、苦生病院のある楽生村はここからバスに乗って上北沢駅と反対方面のバスに乗って五つ目のバス停が楽生村だったな…急がないと)
太卭は、急いでバス停に向かった。
(太卭)「あと、何分だ?」
太卭は、バス停の時刻表を見た。
(太卭)「後、三分で来るか」
(太卭)(野耶深と騎闘の二人…もしかして)
野耶深と騎闘の二人に何が起こったのかが太卭の脳裏にある仮説がはっきりと浮かんできた時にバスが来た。
(太卭)「よし、行ってみるか」
太卭は、バスに乗った。
(男性)「あれ、太卭か?」
(太卭)「ん?」
呼んできたのは、相待 廼冶樹【あいた のやき】だった。
(太卭)「廼冶樹か?」
(相待)「そうだよ」
(太卭)「久しぶりだな」
(相待)「そうだな」
(太卭)「お前、なんでここに?」
(相待)「今は、このあたりに住んでいるからな」
(太卭)「そうか」
(相待)「携帯番号を交換しないか?」
(太卭)「そうだな」
太卭と廼冶樹は、携帯番号を交換した。
(相待)「おっと、俺さあ、ここで降りなきゃいけないからさ、また今度な」
(太卭)「ああ、またな」
廼冶樹は、バスから降りた。
(太卭)(さてと、俺が降りるバス停は次だ)
《次は、楽生村 楽生村…》
(太卭)(おっとボタンを押さないと)
太卭は、ボタンを押した。
(太卭)「さてと、降りる準備をしなきゃ」
バスがバス停に着いて、太卭は、バスを降りた。
(太卭)「さてと、この先に苦生病院がねえ」
そこは、村なのだが病院が五件ほどある村だった。
(太卭)「このどれかが苦生病院…まず村人に聞くか」
太卭は、ちょうど来た村人とおもわれるお婆ちゃんに苦生病院が何処か訊いてみた。
(太卭)「すいません」
(老婆)「はい、何ですか?」
(太卭)「お婆ちゃん、苦生病院がどこにあるか、分かる?」
(老婆)「ああ、きゅしぇいびよういん、は、のお、あそこじゃよ」
お婆ちゃんは震える指で差したのは、五件のなかで一番高い病院を指差した。
(太卭)「ありがとうございます」
(老婆)「いえいえ、どういたしまして」
太卭は苦生病院に向かった。
(太卭)「二人の病室を関係者に聞いてみるか」
苦生病院に着いた。
(太卭)(確かに苦生病院だ…あの婆さん記憶力すごいなあ)
太卭は、苦生病院に入ってナースセンターにナースの方に二人の病室について聞いてみた。
(太卭)「すいません」
(看護婦)「はい?」
(太卭)「野耶深と騎闘の病室は、どこですか?」
(看護婦)「痕刃 野耶深さんの病室は【206号室】で、供闇 騎闘 さんの病室は【239号室】ですね」
(太卭)「分かりました」
太卭は、先に野耶深のいる病室に向かった。
(男性)「ん?君は?」
後ろから声が聞こえた。太卭は後ろを振り返ると一人の男性が立っていた。
(太卭)「あなたは?」
(男性)「俺は、獣馬 志餌歌です」
太卭に声を掛けたのは覇頭と野耶深の中学生の時の同級生の獣馬 志餌歌【じゅうば しにが】だった。
(太卭)「俺は、木公 太卭です」
(志餌歌)「ああ、君が太卭君か」
(太卭)「?」
(志餌歌)「ああ、覇頭から君が来るとね」
(太卭)「そうだったんですか」
(志餌歌)「…では、野耶深のいる病室に行こうか」
(太卭)「はい」
太卭は、野耶深の病室に案内されている間に一つ志餌歌さんに聞いてみた。
(太卭)「志餌歌さん」
(志餌歌)「なんだい?」
(太卭)「野耶深を見つけた時の状況は?」
(志餌歌)「聞きたい?」
(太卭)「はい」
(志餌歌)「あの日は何か胸騒ぎがしてね、野耶深の携帯に電話をしたのだけど、繋がらなくてね、そこで、野耶深の携帯は、GPSが着いていたからGPSで場所を確認したら高尾山にいることが分かって、俺は高尾山に向かった。そして、湖に着いたら湖の上に浮いていた野耶深を発見した…」
(太卭)「そうだったんですか」
(志餌歌)「太卭君は、何か隠しているね」
(太卭)「え! そ、それは」
(志餌歌)「いいよ、言わなくて」
(太卭)「はあ」
(志餌歌)(やっぱ、覇頭が言った通りだ)
野耶深の病室に着いた。
(太卭)「野耶深、元気か?」
(野耶深)「太卭か?」
(太卭)「そうだよ …それにしても、なんであんなことに?」
(野耶深)「ああ、聞いたのか」
(太卭)「さっき、志餌歌さんにね」
(野耶深)「志餌歌さん、ちょっと席を外してもらえるかな」
(太卭)「…わかった」
志餌歌さんは、病室から出た。
(太卭)(なんで、席をはずす必要がある?)
(野耶深)「あの時」
(太卭)「あの時?」
(野耶深)「俺は、湖の上から落ちた」
(太卭)「落ちた?」
(野耶深)「ああ、だけど、その前が覚えてない」
(太卭)「そうか、無理しなくていいよ」
(野耶深)「ありがとう」
(太卭)「まあ、俺が調べるから」
(野耶深)「悪い」
(太卭)「いや、気にしなくていいよ」
(野耶深)「で、この後、どうすんだ?」
(太卭)「とりあえず、騎闘の病室に行ってから帰る予定だけど」
(野耶深)「あいつ、ここにいるのか?」
(太卭)「そうだけど」
(野耶深)「そうか…じゃあ、あいつによろしくと言っといてくれるか」
(太卭)「それが」
(野耶深)「どうした?」
(太卭)「騎闘のあいつ、昏睡状態らしい」
(野耶深)「え!」
(太卭)「まあ、メモでも置いとくから心配しなくていいよ」
(野耶深)「わかった」
(太卭)「じゃあ、そろそろ騎闘の方に行くよ」
(野耶深)「わかった」
(太卭)「元気にしろよ」
(野耶深)「ありがとう」
太卭は病室を出た。
(志餌歌)「話は、終わりましたか?」
(太卭)「はい」
(志餌歌)「……あのさ」
(太卭)「はい?」
(志餌歌)「携帯番号を交換しないか?」
(太卭)「そうですねえ…いいですよ」
(志餌歌)「ありがとうございます」
太卭と志餌歌さんは、携帯番号を交換した。
(太卭)「では」
(志餌歌)「気をつけてな」
太卭は騎闘の病室に向かった。
(太卭)(たぶん騎闘に野耶深の思いを伝えるのは無理だから、紙にメモとして書いて置いといておくか)
騎闘の病室に着いた。
(太卭)「あいつ、目を覚ましたかな?」
太卭は少しドアを開けて騎闘の様子を見た。
(太卭)(やっぱりまだ、目を覚ましてないか)
太卭は、騎闘の病室に入った。
(とりあえず、メモを書いて、置いて帰るか)
(野耶深がよろしくって……後、俺の携帯番号を書いとくから)
俺は、メモを机の中に折って入れた。
(太卭)「じゃあな」
太卭は、騎闘の病室を後にした。
(太卭)(やっぱり二人ともあの高尾山で何かあったに違いない!)
太卭は、病院を後にした。
(太卭)「明日、高尾山に向かってみるか」
数時間後――
俺は、上北沢駅に着いた時、電話が鳴った。
(太卭)(誰だ?)
(太卭)「もしもし」
(電話相手)「木公渦だよ」
(太卭)「え!兄さん」
(渦)「そうだ」
(太卭)「でも、兄さんは、深彦兄さんと同じで亡くなったはずじゃ」
(渦)「確かに俺は、お前が生まれる前に亡くなったよ」
(太卭)「でも、なんで?」
(渦)「高尾山について話そうとね」
(太卭)「そうなんだ」
(渦)「本題にはいるよ」
(太卭)「うん」
(渦)「高尾山は、実際にはない」
(太卭)「ない?」
(渦)「そうだ」
(太卭)「でも野耶深と騎闘は、そこから運び出されて、救急車に運ばれて病院について…」
(渦)「確かにそうだよ」
(太卭)「それに志餌歌さんと畦も高尾山に行ったって…」
(渦)「それも本当だろう」
(太卭)「どういうことだよ?」
(渦)「高尾山は、違う空間にある」
(太卭)「違う空間に?」
(渦)「そうだ」
(太卭)「じゃあ一体どうすれば、いけるの?」
(渦)「簡単だ」
(太卭)「簡単?」
(渦)「高尾山と対になる山がある、そこの何処かに高尾山に行ける道がある」
(太卭)「高尾山と対になる山って?」
(渦)「祟りという言葉がヒントになる」
(太卭)「詳しく、教えてよ」
(渦)「それは、無理だ」
(太卭)「なんで?」
(渦)「教えたら、お前のためにならない」
(太卭)「どういうこと?」
(渦)「自分で調べて探す事で、お前を一人前にするためだ」
(太卭)「…わかった! 自分で調べ出してみせるよ」
(渦)「それでいい」
(太卭)「ありがとう」
(渦)「後、もう一つ」
(太卭)「何?」
(渦)「高尾山は、危険があるから気をつけろよ」
(太卭)「わかった」
(渦)「俺は、深彦と一緒にお前を見ているから」
(太卭)「ありがとう…兄さん」
(渦)「じゃあな」
電話は切れた。
(太卭)(兄さん、見ていてくれ…必ず高尾山への道を見つけ出して、野耶深と騎闘の二人がああなった原因を見つけてみせる)
太卭は皆のためにそう決意した。
(太卭)(まずは、高尾山の対になる山を探さないと)
電車が来た。
(太卭)(祟りの対って一体?)
電車に乗った。
(太卭)(帰ってから考えるか)
太卭は調布駅に着いた。
(太卭)「もうすぐで、日が暮れるか」
太卭は、急いで帰った。
(太卭)「何とか、着いた」
太卭は、玄関を開けた。
(太卭)「まずは、地図を見ながら探して見るか」
太卭は、地図を見ながら考えた。
(太卭)「祟りをしようとする条件は、ネガティブで相手を良いとは思っていない状態の事だからその反対だろ…えーと…ポジティブで相手の事を許せる優しい思いだから、んーと、そうか! 許思山だ!」
太卭は、地図で許思山を探した。
(太卭)「どこだ…え~と……あった!」
場所は、以外な場所だった。
(太卭)「場所は…調布市と三鷹市の間にあるのか…許思山は…そこから高尾山に行けるはず」
(太卭)(渦兄さんが言っていた危険は、うすうす、わかるよ)
(太卭)「よし、明日、行くとして、持っていく物をチェックしてから寝よう」
太卭は、持っていく物をチェックした。
(太卭)「よし、これでよしと、じゃ寝るか」
太卭は、家の明かりを全て消して寝た。
翌日――
(太卭)「はぁ、朝か」
太卭は時間を確認した。
(太卭)「五時か」
太卭は荷物を持って家を後にした。
(太卭)「早く見つけないと」
太卭は許思山に向かった。一時間ほどして許思山に着いた。
(太卭)「ここが許思山か…ここから高尾山に行けると、兄さんが言っていたけど」
太卭は入口を探した。
(太卭)「ここかな?」
太卭は異形の形をした人形が鳥居の周りに置いてある。
(男性)「ちょっと待って太卭」
(男性)「太卭、待って」
(太卭)「ん?」
太卭は声がした後ろを振り向くと公男と野須気の二人が並んでこっちを見ていた。
(太卭)「お前ら、なんでここに?」
(公男)「ここは、調布市と三鷹市の間に位置しているから、俺達がいてもおかしくないよ」
(太卭)「それもそうか」
(野須気)「僕たちも一緒に行くよ」
(太卭)「え! なんで」
(公男)「俺達を救ってくれた、それに」
(太卭)「それに?」
(公男)「友達だから」
(太卭)「…わかった」
(野須気)「太卭の中に入らしてくれるか?」
(太卭)「まずいんじゃ」
(野須気)「いや、大丈夫だよ、太卭の意識と行動は、太卭自信で動かせるし、俺達は太卭が見えない所を見て何かあったら伝えるし、太卭が動けなくなったら、俺達が太卭の体を動かすから心配しなくていいよ」
(太卭)「なるほどね、わかった」
野須気と公男は、太卭の体に入った。
(太卭)(じゃ、行くぞ、野須気)
(野須気)(OK)
(太卭)(公男は、OK?)
(公男)(当然!)
(太卭)「よし、行くぞ!」
(野須気&公男)《おう!》
太卭達は鳥居をくぐった。少し歩いたら霧が出てきた。
(太卭)「霧か?」
(公男)(どうやら、高尾山に着いたようだね)
(太卭)「ここが高尾山か」
(野須気)(先ずは如何する?)
(太卭)「…とりあえず、湖を探す」
(公男)(わかった)
太卭達は、湖を探した。
(太卭)「見当たらないな」
(公男)(ちょっと待って、あれは)
(太卭)「ん?」
木の下に地図が落ちていた。
(太卭)「これ……此処の事が詳細に記されてる」
(野須気)(なんで、あるの?)
(太卭)「詳しくは分からないけど、これたぶん此処を調べた人が書いたものだ」
(公男)(…で、湖は?)
(太卭)「そうだった! え~と、此処だ!」
太卭達は、湖に向かった。
(太卭)「あったぞ」
(公男)(確か、湖に落ちたと言っていたよな)
(太卭)「ああ、その筈 …ってなんで知っているの?」
(公男)(ああ、言うの、忘れたけど入った人の記憶が俺達にも、共通になるって事)
(太卭)「そいうことか」
(公男)(言うのを忘れてすまん)
(野須気)(お前らそれはそうとして落ちた場所、探すぞ)
(太卭&野須気)「(はーい)」
太卭達は、湖の周辺を探索した。
(太卭)「これだ!」
そこには、断崖絶壁があった。
(野須気)(ドラマのような崖だな、こりゃあ)
(太卭)「たしかに」
(公男)(この上に行くか?)
(太卭)「ああ! …だけどここは断崖絶壁だから登れる場所を探そう」
(野須気)(その必要はないよ)
(太卭)「は?」
(野須気)(太卭を体から魂を離せば上に行けるよ)
(太卭)「でも、その間は、如何する?」
(公男)(野須気が体を見ているから)
(野須気)(自分?)
(公男)(そいうこと)
(野須気)(わかったよ)
(公男)(じゃあ、いくよ)
(太卭)「わかった」
太卭の体と魂が離れた。
(太卭)(すごい)
(公男)(さてと、上に行くぞ)
(太卭)(ああ!)
(太卭&公男)((野須気! 体を頼むぞ!))
(野須気)(任せろ!)
太卭と公男は、飛んで崖の上に向かって、数秒で着いた。
(太卭)(ここで何かが起きた筈だ!)
(公男)(太卭)
(太卭)(なに?)
(公男)(こういう時は、ここにある《磁波》を感じて、その中にある記憶を見ればいいよ)
(太卭)(なるほどね!)
太卭と公男は、磁波の中を見た。
(騎闘)「野耶深、お前、暴力団に入ったって」
(野耶深)「……」
(太卭)(これって)
(公男)(あの二人、ここで会っていたみたいだな)
(太卭)(取り敢えず、もうすこし様子を見よう)
(公男)(ああ)
(騎闘)「何で入ったりした」
(野耶深)「そこしか、今の俺の居場所は無い!」
(騎闘)「あのなあ、暴力団っていうのは、やばい奴らの集まりだぞ!」
(野耶深)「そんなこと、ないよ」
(騎闘)「あぁん!?」
(野耶深)「確かに一般的に見れば、やばい場所かもしれないけど、俺がいる所は【就職が上手くいかない】【親に嘘を吐いて苦しい】【親に本当の事が言えない】人達が集まっているだけだ! それに俺の場合は就職に就くまでの間お世話になるだけだよ」
(騎闘)「そうだとしても、薬はどうだ」
(野耶深)「確かに薬は買っている」
(騎闘)「やっぱり!」
(野耶深)「でも」
(騎闘)「でもなんだよ!?」
(野耶深)「買った薬は全て警察に渡しているよ」
(騎闘)「だとしても、暴力団から脱退しろ!」
(野耶深)「それは、無理だよ」
(騎闘)「無理?」
(野耶深)「うん」
(騎闘)「お前、何時かは本当に堕ちるぞ!」
(野耶深)「そんなこと、わからないよ」
(騎闘)「わかるよ!」
(野耶深)「……お前は、良いよな」
(騎闘)「何が?」
(野耶深)「お前は仕事が上手くいっているし、金銭もいいし、そんな奴が俺の何がわかる!」
野耶深が騎闘の服を掴んだ。
(騎闘)「離せよ!」
騎闘は、野耶深の腕を離した瞬間、野耶深は崖から落ちかけた。
「野耶深!」
騎闘が手を伸ばしたが野耶深は崖から落ちた。
(太卭)(…そうか、野耶深は騎闘と自分の話をして落ちたわけか)
(公男)(太卭、体に戻るぞ)
(太卭)(ああ)
太卭達は体がある崖の下に戻った。
(太卭)「ふう、戻った」
(公男)(よし、次に行くぞ)
(太卭)「わかってる!」
太卭達は、崖の壁を沿って歩いて行くと騎闘が血を流した場所を探した。
(太卭)「ここ最近、雨が降った形跡が無いから血は流されていないはず」
(野須気)(確かに血痕を探せば何かがわかるな)
太卭達は、血を探した。
(太卭)「これ、もしかして」
(野須気)(たぶんこれでしょ)
(太卭)「磁波を見れば」
(公男)(落ちつけ)
(太卭)「?」
(野須気)(こっちに血痕があるよ)
(太卭)「本当だ!」
(野須気)(血痕の痕を辿って、血痕が見えなくなったら磁波を見た方が一番だよ)
(太卭)「わかった」
太卭達は、血痕の痕を辿った。
(太卭)「此処で無くなってる」
(公男)(確かに、磁波を見るぞ)
太卭達は血痕の途絶えた場所で磁波の中を見た。
(騎闘)「野耶深、くそ…すまない」
その中には騎闘が罪悪感を覚えていた姿だった。
(太卭)(騎闘…お前…)
(騎闘)「誰だ!」
(太卭)(?)
騎闘の前から、目が無い少女が現れた。
(少女)「イ…ッ…ショ…ニ…コ…コ…デ…クラ…ソウヨ…」
(騎闘)「ひぃ!」
(少女)「ク…ル…シ…イ…ンデ…ショ…コ…コニ…イレ…バラ…ク…ダ…ヨ…」
(騎闘)「誰がそうするか」
(少女)「ザ…ン……ン」
(騎闘)「ぐっ!」
騎闘の腹から血が流れ出た。
(太卭)(あの子、騎闘に何を?)
(野須気)(たぶん、刃物を騎闘の腹に刺した)
(公男)(でも、なんで腹に?)
(野須気)(確かに)
(少女)「フフ、アナタハ、モウワタシノモノ♡」
(騎闘)「どういうことだ」
(少女)「フフ、ジャアネ♡」
(太卭)(ここで終わりか)
(太卭)「…どう考えても、騎闘の魂はあの子が持っている」
(公男)(確かに)
(野須気)(どうやって取り戻す)
(太卭)「やっぱり、あの子の心をどうにかしないと」
(公男)(確かに)
(野須気)(でも、あの子の心を変えるにはどうしたら)
(太卭)「う~ん」
(少女)「ネエ、アソボウヨ」
(太卭)「…来ちゃった」
(公男)(何も浮かんでないぞ!)
太卭は公男と野須気に言った。
(太卭)(二人とも、俺に任せて)
(公男)(何かいい案でも)
(太卭)(まあね)
(公男)(じゃあ、任せるぞ)
(太卭)(任せろ!)
(少女)「アソボウヨ」
(太卭)「なあ、君は悲しくてこんな事を…」
(少女)「……」
(太卭)「君は生きている間、友達ができない、家族は無視して、誰もかまってくれない。だからここで自殺をした…いや殺された」
(少女)「……」
(太卭)「でもね、君は自分の事だけで皆の事を考えた事があるか?」
(少女)「ミンナノコト」
(太卭)「そうだよ、皆にも家族がいるし、友達もいる、君は皆に同じようになってほしいの?」
(少女)「ソンナコト」
(太卭)「だったら、わかるよね、君は気付いてないと思うけど【人を殺せば自分も死ぬ】君は人を殺した つまり、もう君は人でも霊でもないよ 君は《無》そのものだ それでもいいの?」
(少女)「ソンナノヤダ」
(太卭)「今まで、奪った魂を離せば君は《元の君》に戻れるよ」
(少女)「ウン、ワカッタ」
(太卭)「ありがとう」
(公男)(お前、よく説得したな)
(太卭)「いや、ちょっとあの子と境遇が似ていてさ」
(公男)(なるほどね)
(太卭)(でも、この子また、一人ぼっちに)
(太卭)「大丈夫」
(野須気)(?)
(太卭)「君さあ」
(少女)「?」
(太卭)「俺達とここを出ないか」
(少女)「!」
(公男)(ちょっ! …お前――)
(太卭)「此処から出て、霊として生きていけるし、君は、子供だ、座敷童子のように家族を守っていけばいいじゃないか」
(少女)「ありがとう」
(太卭)「じゃあ、行こうか」
(少女)「うん♡」
太卭達は、高尾山から出て許思山に戻ってきた。
(太卭)「ここで、お別れだ」
(少女)「え!」
(太卭)「君は、自分で家族を守る事を決めた。だったら一人で自分の家に戻って、君が家族を守るために一人で家族の居場所を探し出して見つけること」
(少女)「うん、わかった」
(太卭)「よし、いい子だ」
(少女)「じゃあ、行くね」
(太卭)「ああ、頑張れよ」
(少女)「うん、バイバイ」
(太卭)「バイバイ」
少女は家族を守る為に太卭達と別れて家族の居場所を探す旅に出た。
(公男)(あの子、家族を見つけられるといいね)
(太卭)「そうだな」
太卭達は、あの子が家族を見つけられる事を願った。
(公男)(…さてと、俺達もそろそろ)
(太卭)「そうだな」
(野須気)(じゃあな)
(太卭)「ああ、じゃあな」
太卭と野須気と公男とも別れた。
(太卭)「さてと、家に帰るか」
家に向かう途中で携帯が鳴った。
(太卭)「ん?」
畦からのメールが来た。
(太卭)「なになに」
(件名、奇跡 騎闘のやつが目を覚ましたよ)
(太卭)「よかった」
(でも、騎闘が野耶深を殺したとか)
(太卭)「なるほどね」
太卭は返信を書いた。
(野耶深は、生きているから心配しなくていいよ、それと机の中にメモ置いといたから騎闘に渡しといて)
(太卭)「これで、送信」
太卭は送信をした。
(太卭)「さてと、俺は、家に帰るか」
太卭は家に戻ってきた。
(太卭)「はあ、疲れた」
太卭は家に入った。
(太卭)「さてと、明日は、野耶深と騎闘の見舞いに、兄さん達の墓に行くか」
太卭は風呂に入った。
(太卭)「はあ、それにしても高尾山のあの地図は、一体、誰が?」
太卭は、あの地図の事を考えた。
(太卭)「あの地図はあそこを調べていた人が記したってことは、あの人は、高尾山への生き方の謎を解いたってことになるし、あそこに死体や死臭はしなかったし書いた人は、死なずにあそこを出られたのか…いや、その可能性は低い…仮にもあの子がいたはずだから、生き残るのは、難しいという事になる、やっぱり死んでいるとして一体どこに、もしかして、湖の中に沈んでいるとしたら、つじつまが合う」
太卭は一つ仮説が出来た。
(太卭)「まず、地図を描いた人はあの子に遭った! そして、騎闘と同じ態度をしたために同じことにだが入口まで来たが自分がもう生きられないと察しってここを訪れる人のためにあの木の下に置いて自分は湖に向かいそして、湖の中で命が尽きた」
太卭はこの事を警察に言うか戸惑っていた。
(太卭)(どうする、あそこでの出来事を伝えるべきか)
(太卭)「う~ん …言うか …まあ、信じてもらえないだろうけど」
太卭は警察に連絡した。
(警察)「はい、なんでしょうか?」
(太卭)「人が死んでいるかも」
(警察)「どういう事でしょうか?」
(太卭)「高尾山という場所で人が死んでいる可能性が」
(警察)「高尾山?」
(太卭)「はい、普通は行けない方の高尾山で、ある所からしか行けません」
(警察)「如何言うことですか」
(太卭)「そこで拾った地図があります」
(警察)「はい?」
(太卭)「地図を描いた人が死んでいるかも」
(警察)「…わかりました、調べてみますよ」
(太卭)「! ありがとうございます」
(警察)「行き方を教えてください」
(太卭)「詳しくは、言えませんけど、ヒントなら」
(警察)「なら、ヒントを教えてください」
(太卭)「祟りの対になる言葉が入口です」
(警察)「わかりました」
警察の方からそう言い電話を切った。
(太卭)「言えば、わかってくれるとは、信じられないよ」
太卭は警察の対応に驚いた。
(太卭)「…そろそろ寝ないと」
太卭は寝る準備をした。
(太卭)「今回は疲れた~ ……さてと、寝ますか」
太卭は家の明かりを消して就寝した。
翌日――
(太卭)「はあ、よく寝たな」
太卭は起きて直ぐに朝食を軽く作って食事を始めた。
(太卭)「メール、来ているかな」
太卭はメールが来ているか、確認した。
(太卭)「メールは、来ているな…まあ食べたあとで見るか」
太卭は三十分ほどで食べ終わった。
(太卭)「さてと、メールはなんと書いているかな」
(件名、安心 騎闘のやつ、なんとか落ちついたよ、あとメモを見て涙を流しながら「ごめん」や「すまない」と言っているよ、騎闘は、もう少し入院して、退院する予定だって、後、俺は2日ほど騎闘の所にいようと思っている)
(太卭)「そうか」
太卭は畦に返信のメールを書いた。
(俺も、これから病院に向かうつもりだから…後で畦に聞きたい事がある)
(太卭)「これで、送信と」
太卭は畦に返信を出した。
(太卭)「さてと、行きますか」
太卭は病院に向かう準備をしていた。すると、インターホンが鳴った。
(太卭)「誰だ?」
(インターホンの相手)「警察の者です」
(太卭)「はい、なんでしょうか?」
(警官)「実は、高尾山で遺体を見つけまして君が持っている地図にある指紋と照合したいのですが」
(太卭)「わかりました」
(警官)「ご協力に感謝します」
(太卭)「…自分も確認したいので一緒に行きます」
(警官)「お願いしたい所存です」
(太卭)「でも、ちょっと待っていて下さい、今、着替えていますから」
(警官)「ゆっくりで構いません」
太卭は着替えて警官の車で警察に向かった。
(警官)「実はあなたから電話が来た時は怪しいと思ったのですけれど、自分は昔に高尾山に行った事があってすぐに高尾山に向かって湖を見つけた時は『本当に遺体があるのでは?』と思って湖を捜索したら、遺体を見つけましてね」
(太卭)「そうでそたか」
(警官)「でも、何で遺体があると」
(太卭)「信じてもらえないかもしれませんが実は…地図を発見した時に高尾山を調べていた人がいるとは分かりましたがあそこは危険な場所と兄さんが教えてもらっていたので地図がある時点で生きてないとわかりましたのですがどこに死体があるのかわかりませんでしたが、家に戻って考えたら、ある仮説が思いつきました」
(警官)「ほう、仮説とは?」
(太卭)「はい、その前にある事を話さないと」
(警官)「ある事?」
(太卭)「高尾山には、悲しい霊がいて遊んでくれる人が来るのを待っていてその霊は家族や友達にかまってくれないという事で自殺をしたけど、救われなかった」
(警官)「霊が」
(太卭)「はい、高尾山に一人で来た人に友達になってほしくでも、友達になることを拒否すると腹部を刺されて、高尾山に居させようとしたのです」
(警官)「そんなことが」
(太卭)「そして、地図を描いた人も会ったのでしょう、そこで、拒否をしてしまい腹部を刺されて、なんとか出口まで来た所で、もう助からないと思い地図を置いてから、湖に向かい、湖の上で死に湖の中に沈んでいった」
(警官)「成程ね、でも、霊には、会わなかったですよ」
(太卭)「ええ、俺が、何とか、霊を元の優しい霊にしたから、今は、きっと自分の家に向かっていますよ」
(警官)「そうですか …それは良い事です」
(太卭)「はい」
(警官)「着きました」
警察署に着いた。
(警官)「まずは、指紋検査だよ」
(太卭)「はい」
太卭は地図を持って、鑑識課に向かった。
(警官)「おい、寝るなよ」
(鑑識)「はい」
(警官)「例の遺体の指紋とこいつが持っている地図についている指紋が一致するか、照合してくれ」
(太卭)(大丈夫か、この人)
(鑑識)「わかりました!」
太卭は鑑識の人に地図を渡した。
(鑑識)「じゃあ、照合するね」
(警官)「頼む」
地図と遺体の指紋は見事に一致した。
(鑑識)「間違いありませんね、この地図を描いた人物は遺体で見つかった彼ですね」
(太卭)「…みたいですね」
(警官)「君の仮説が当ったようだね」
(太卭)「はい」
(警官)「如何した?」
(太卭)「あの、遺体を見たいのですが」
(警官)「…そうですね」
太卭は霊安室に警官に連れて行ってもらった。
(太卭)「ここですか」
(警官)「そうだよ」
警官は霊安室の扉を開けた。
(警官)「では、顔の布を取りますよ」
(太卭)「はい」
警官は顔を隠している布を外した。
(太卭)「嘘だろ!」
太卭は遺体の人物に驚愕した。
(警官)「どうかしましたか」
(太卭)「この人の事を知っています」
(警官)「何だって! 名前は?」
(太卭)「名前は喪挨湖 波登男です」
(警官)「どういう関係ですか?」
(太卭)「小学生の時の同級生です」
遺体は小学生の時の同級生の喪挨湖 波登男【もあいこ はとお】だった。
(警官)「わかった、とりあえず、君が通っていた学校は」
(太卭)「信児汰小学校です」
(警官)「わかった、君は帰っていいよ」
(太卭)「すいません」
太卭は警察署から出た。
(太卭)(そう言えば、覇頭が野耶深の顔が違う顔に見えたのって…もしかしてそうだ覇頭に確認しないと)
太卭は覇頭にメールを書いた。
(覇頭が野耶深の顔が違う顔に見えたのって、もしかして、波登男の顔じゃないかな)
(太卭)「これで、送信と」
太卭は覇頭にメールを送信した。
(太卭)「さてと、病院に行かないと」
太卭は病院に行く為に調布駅に向かった。
(太卭)(それにしても、波登男があの地図を描いたとはね、運命のイタズラかねえ)
太卭は調布駅に着いた。
(太卭)「上北沢駅に向かわないと」
(太卭)(早く、この事を野耶深に知らせないと)
太卭は電車を使って上北沢駅に向かった。
(太卭)(騎闘のやつ、自殺とか考えてなきゃいいけど)
電車は上北沢駅に着いた。
(太卭)「さてと、ここからはバスだな」
太卭はバス停に急いだ。
(太卭)「バスは、まだだな」
太卭はバスを待った。
(太卭)「そういえば、覇頭からメール来てないかな」
太卭は携帯の受信メールを確認した。
(太卭)「覇頭からは…来ているな」
太卭はメールの内容を見た。
(件名「無題」 確かに波登男の顔だった)
(太卭)「…やっぱり、波登男の顔だったか」
太卭は悲しみが湧いてきた。
(太卭)(波登男もあの子の犠牲者だったけど、その原因を作ってしまった人間の方が愚かな生き物達だよ)
太卭はそう思った。
(太卭)(そう言えば、騎闘と野耶深の関係が壊れなきゃいいけど)
太卭は二人の関係が壊れないか心配していた。心配しているとバス停にバスが来た。
(太卭)(野耶深が騎闘に言った言葉は少しだけだが分かるきがする)
バスは楽生村に着いた。
(太卭)「確か、苦生病院は高い建物だったな」
太卭は苦生病院に向かった。
(太卭)(騎闘のやつ、たぶん、罪悪感をかんじているだろうな)
太卭は苦生病院に着いた。
(太卭)「さてと、先ずは騎闘の病室に向かうか」
太卭は騎闘がいる病室の前に着いてドアを開けた。
(太卭)「騎闘、大丈夫か」
(騎闘)「太卭か?」
(太卭)「そうだよ」
(騎闘)「なあ、太卭」
(太卭)「ん?」
(騎闘)「野耶深は…生きてるって本当か?」
(太卭)「ああ、でも、あいつ落ちた時の記憶しかないよ お前との出来事は覚えてない」
(騎闘)「そうか」
(太卭)「お前、後悔しているだろ」
(騎闘)「! なんで、わかる!?」
(太卭)「見ればわかるよ」
(騎闘)「そうだよな」
(太卭)「…良いか! 俺から一つ言わせてくれないか」
(騎闘)「なに?」
(太卭)「暴力団に入ろうとも、それは、別にかまわない事だよ」
(騎闘)「でも…」
(太卭)「でも、じゃない! あいつが薬や犯罪に手を染めたらその時に助ければいいじゃないか!」
(騎闘)「…そうだな、自分が間違っていたみたいだ、すまない」
(太卭)「それに後悔より、あいつに謝るのが先だろ!」
(騎闘)「そうだな」
騎闘は立ち直れそうだと太卭は確信した。
(太卭)「じゃあ、俺は野耶深のいる病室に向かうよ」
(騎闘)「わかった」
(太卭)「元気になれよ」
(騎闘)「ああ」
太卭は騎闘の病室を出た。
(太卭)(騎闘は大丈夫だな)
(弓群)「太卭」
(太卭)「ん?」
太卭の右横に畦がいた。
(太卭)「畦か」
(弓群)「俺に用ってなんだよ?」
(太卭)「そうだった、お前さ、なんで高尾山に行く方法を知っていたの?」
(弓群)「ああ、それね、小学生の頃に波登男と騎闘と俺の三人で高尾山への行き方を調べて何回か行った事があるからね」
(太卭)「…そうだったのか」
(弓群)「それを聞きたかったのか?」
(太卭)「ああ」
(弓群)「じゃあ、俺は騎闘の病室に」
(太卭)「ああ」
(弓群)「じゃあな」
太卭は畦と別れて野耶深の病室に向った。
5分後――
太卭は改めて野耶深がいる病室の前に着いてドアを開けた。
(太卭)「野耶深、元気か?」
(野耶深)「太卭」
(太卭)「高尾山でお前に何が遭ったのかを話すよ」
(野耶深)「わかったのか!?」
(太卭)「ああ、わかったよ …それより、志餌歌さんは?」
(野耶深)「ああ、志餌歌さんは今、トイレだよ」
(太卭)「そうか、じゃあ志餌歌さんが来てから話そう」
(野耶深)「……」
太卭達は志餌歌が戻ってくるのを待った。
(志餌歌)「ん?太卭君、来ていたのかい」
(太卭)「はい」
(志餌歌)「…で、如何したの?」
(太卭)「野耶深に何が遭ったのかを話そうと思いまして」
(志餌歌)「野耶深に何が遭ったのか、分かったのかい?」
(太卭)「はい」
(志餌歌)「そうか」
(太卭)「では、話します」
(野耶深)「お願いします」
(志餌歌)「頼むよ」
太卭は野耶深に起こった出来事を詳細に語った。
(野耶深)「…そうだったのか」
(太卭)「まあ、二人とも生きていてよかったよ」
(野耶深)「そうだね」
(志餌歌「ゆるさない」
(太卭)「志餌歌さん?」
志餌歌は怒りの表情のまま病室を出ようとした。
(太卭)「志餌歌さん、やめてください!」
(志餌歌)「止めるな!」
(太卭)「志餌歌さん、騎闘を殺す気ですか!?」
(志餌歌)「ああ そのつもりだ!」
(太卭)「気持ちはわかります!」
(志餌歌)「だったら」
(太卭)「だからこそです!」
(志餌歌)「?」
(太卭)「俺も昔、婆ちゃんを殺しかけた事があります、人を殺せば自分も殺す事になります」
(志餌歌)「うっ!」
(太卭)「人を憎しみで殺せば、相手も悲しみ、復讐をします、そうすれば、傷が大きく広がって行き、そうしたら、誰も止められなくなります、だから、やめてください…いや、抑えてください」
(志餌歌)「……」
志餌歌さんは復讐の気持ちを堪えた。
(志餌歌)「すまない」
(太卭)「いや、いいですよ」
(野耶深)「よかった」
なんとか、その場の空気は落ちついた。
(志餌歌)「太卭君は、どうすんだ、これから」
(太卭)「そうですね、家のお墓に行って来ようかと」
(志餌歌)「そうか」
(太卭)「では、これで」
(志餌歌)「おう」
(太卭)「元気になれよ」
(野耶深)「おう」
(太卭)「…あっ! そうだ、志餌歌さん、ちょっと」
(志餌歌)「ん?」
太卭と志餌歌は病室を出た。
(志餌歌)「何だ?」
(太卭)「志餌歌さんは、どうして高尾山に行く方法を知っていたのですか?」
(志餌歌)「ああ、そのことですか、俺が中学生の頃に覇頭と野耶深と俺の三人で高尾山への行き方を調べて高尾山に何十回も行ったって事だよ」
(太卭)「なるほど」
(志餌歌)「それだけか?」
(太卭)「はい、ありがとうございます」
(志餌歌)「じゃあ、気をつけていけよ」
(太卭)「はい」
太卭は志餌歌と別れた。
(太卭)「さてと、急いで墓に行かなきゃ」
太卭は墓がある駒込駅に向かうために上北沢駅に急いだ。
(太卭)(確か、駒込駅に向かうには、まず、新宿駅に向かい、着いたら、山手線に乗り換えて、駒込駅に着いたら本郷通を南に向えば家の墓がある幸葬寺に着く…急ぐか!)
太卭は、上北沢駅に着いた。
(太卭)(さてと、先ずは新宿駅に行かないと)
太卭は新宿駅に向かうため上り方面に向かった。
(太卭)(そういえば、新宿駅に行くの、十一年ぶりにいくか、ずいぶん、変わっているだろうな)
上り方面の電車が来た。太卭は電車に乗った
(太卭)(それにしても、あの電話やメールは、一体?)
電車は新宿駅に着いた。
(太卭)(ここから、墓に向かうには、山手線で駒込駅に向かわないと)
太卭は山手線の渋谷・上野方面のホームに向かった。
(太卭)(それにしても、新宿駅は変わってないな)
太卭はホームに着いた。
(太卭)(墓は、汚れてないかな)
太卭は墓の事を考えていると電車がホームに着いた。
(太卭)(にしても、今日は、休日なのに混んでいるな)
太卭は電車に乗った。
(太卭)(そういえば、最近よく同級生に会うような…)
電車が駒込駅に着いた。
(太卭)(…確か、ここからは南北線でも行けるけど歩いた方が健康に良いし歩くか…)
太卭は駒込駅から幸葬寺まで歩いた。
(太卭)(墓まで、もうすぐか…そういえば、花を買うのを忘れた。まあ、墓の近くに花屋ぐらいあるだろう、そこで買うか)
太卭は未だに歩き続けていた。
(太卭)(ここも、かなり、混んでいるな)
太卭は途中の信号には人だかりになっていた。
(太卭)(…この辺で花屋を探さないと)
太卭は通り掛かった人に花屋があるか聞いた。
(太卭)「すいません」
(青年)「はい」
(太卭)「…あれ?」
(青年)「うそっ!」
太卭が声を掛けたのは、なんと小学生時代の同級生だった、輿溌 海田【こしはつ うみた】だった。
(太卭)「マジで、海田か?」
(輿溌)「そっちこそ、太卭か?」
(太卭)「いや~、久しぶりだな」
(輿溌)「本当に久しぶりだな、太卭」
(太卭)「お前は今、何をやってるんだ?」
(輿溌)「俺か? 俺は花屋をやってるよ」
(太卭)「グッドタイミング!」
(輿溌)「何?」
(太卭)「ちょっと、花を買いたくてさ」
(輿溌)「そうか、だったら家の花を買っていってくれ」
(太卭)「ああ、そうしよう」
(輿溌)「じゃあ、俺に着いて来て」
(太卭)「すまない」
太卭は海田が経営している花屋に案内してもらった。
(輿溌)「お前、何で、花を買うの?」
(太卭)「ちょっと、墓参りにね」
(輿溌)「お前の墓ってどこ?」
(太卭)「ああ、幸葬寺だよ」
(輿溌)「幸葬寺ってことは、お前の宗教って…」
(太卭)「ああ、鈴導宗だよ」
(輿溌)「そうなんだ」
太卭達は花屋に着いた。
(輿溌)「さあ、選んでくれ!」
(太卭)「おう!」
太卭は花を選んだ。
(太卭)「よし、これだけでいいや」
(輿溌)「ええと、イエローサルチン、金水引、シモツケ、トケイソウ、アヤメ、ペチュニア、ミソハギだね」
(太卭)「ええ、これでいいですよ、いくら?」
(輿溌)「イエローサルチンと金水引とトケイソウが二本ずつで、シモツケとアヤメとペチュニアとミソハギが一本ずつで4260円です」
(太卭)「はい」
太卭は4260円ちょうど払った。
(輿溌)「はい、確かにちょうどです」
(太卭)「これで、墓に供える花は大丈夫だ」
(輿溌)「あのさ、太卭」
(太卭)「何?」
(輿溌)「携帯番号を交換しないか」
(太卭)「そうだな」
(輿溌)「ありがとう」
太卭と海田は携帯番号を交換した。
(太卭)「じゃあな」
(輿溌)「ありがとうございました」
太卭は花屋を出た。
(太卭)(さてと、幸葬寺に行くか)
太卭は幸葬寺に向かった。
(太卭)「まさか、海田に遭うとは、びっくりしたなあ」
太卭は幸葬寺に着いた。
(太卭)「さてと、お線香を四本と掃除道具を持って行ってと」
太卭はお線香と掃除道具のブラシと手桶に水を入れて、墓に向かった。
(太卭)「墓は…あった、ここだ」
太卭は墓に着いた。まず、墓を綺麗にした。
(太卭)「かなり、汚れていたようだな、これじゃ、大変だな、定期的に綺麗にした方がいいな」
太卭は三十分ほど休まずに洗って綺麗にした。
(太卭)「ふぅ、これでよし、後は…」
太卭は水鉢に水を入れて花立てに海田の店で買った花をお供えして香炉にお線香をお供えして手を合わせた。
(太卭)(兄さん達のおかげで、助かったよ…ありがとう)
太卭は墓参りを終えたので家に帰ろうとした時、携帯が鳴った。
(太卭)「誰だ?」
携帯の画面を見たらメールだった。
(太卭)「これって、あの時の…来た、謎のメールを書いた人物だ」
太卭に最初に天失病院と狂流学校に行けとか、野須気の墓を綺麗にしないと不幸が訪れると言っていたやつからのメールだった。
(件名なし さて、私は誰でしょう? 送り方は前と同じだよ …そろそろ、仕舞いにしようと思ってね)
(太卭)「もう、お前の正体は分かったよ」
(件名なし お前は木公家のご先祖の木公 兄平【きこう けいたい】だ そして、この携帯自信が木公 兄平本人だろ!)
太卭はこのメールを送信した。
(太卭)「これで、本当に仕舞いにしよう」
携帯が鳴った。
(太卭)「来た!」
太卭はメールを確認した。
(件名正解 よくぞ見破った。 俺は、ずっとお前を見ていた。だから、お前は優しい男だ! 友達にそして、亡くなった者達にも優しく、そして、熱い気持ちがあるからこそお前は強い。その気持ちを忘れぬように)
(太卭)「やっぱり、ご先祖の木公 兄平だったか」
(太卭)(俺が昔に見た、家系の事を書いてあった巻物を見つけて、そこに性格や特徴などその人の事が全て詳細に記されてあったから、覚えておいて、よかったよ)
(太卭)「さてと、家に戻るか」
太卭は携帯を閉じて家に帰った。
霊憑街談~同級生達と悲しき再会~ 完
霊憑街談~選手の実りと深き感染者~ 続く――
主人公の物の価値観は一癖もある(これは他作品にも言える)! 主人公はもう一人いる! 二つの軌跡が見えなかった真実を見せる!