逃走?
「うっ…ここは?」
見上げると真っ白な天井。
どこかというと、馬車の中。
あれから戦わずに、俺は小屋の柱に亀裂を入れまくって逃げた。穴の中に。
予定通り、穴の外で合流した俺たちはとりあえず南の国境線の外に行こうとしている。
国境線…というものがあるかは知らんが、南には実力主義の新興の国があるらしい。
異世界にはつきものの冒険者やら、魔物やらがうじゃうじゃいる…らしい。
ここにいる誰も行ったことはないんだがな。
ん?ここにいるメンバー?
俺、シキ、ネシア、執事さん。
四人。これが駆け落ちって奴かな。
馬車で駆けてるし。
「ユーマさん、起きました?朝ごはんができてますよー?」
「ありがとう、シキ」
食事係はシキ。四人の中で唯一料理ができたからだ。
他の人のは…食えたもんじゃなかった。
俺の含めて。
「ほう、これは」
朝ごはんは、粥だ。
薄っすらと塩が効いてて美味しい。
始まりの朝にふさわしい。
米はないようで、麦と…あとは何かの粒だが。
米じゃなくてこの味なら。米ならどうなるんだ?想像もつかない。
「うまい」
「美味しいですね」
「うまいねー!ウチの家の料理人よりうまいんじゃない?」
「えへへー」
シキよ、照れると色々とやばい。
可愛さ的な面で。暴走しそうです、朝なのに。
いかんいかん、自重せねば。
そうこうしている内に、食べ終わってしまった。
至福のご飯タイム終了です。
「ユーマ、行くでー」
「あいよー」
当面は南に街道を進む。馬車で。
まあなんていうの?ドライブ?
いいえ違います。亡命です。
あれ?よくわからなくなってきた。
出発しました。
することがなくて暇である。
そういえば、以前ステータス見た時に魔法使えるようになってたような気が。
もう一度見ておくか。
ステータス・オープン
名前:ユーマ
種族:ヒト
職業:世迷人
体力:少なめ
魔力:極 多め
能力:魔力譲渡
言語共通化
上限突破
魅了
魔法:火魔法
土魔法
やっぱり、表示されてるな。
火と土。
試してみるか。移動中は暇だしな。
確か…強く念じるとかなんとか書いてあった気がする。
むむむむむぅ…〈マッチくらいの火よ、でろっ‼︎〉
ボッ
「おおおっ!火が!火魔法が使えるぞ!」
よかった。魔法が使えることがこれで確認された。
「ユーマさん⁉︎火魔法っ…え?なんでです?」
「シキが俺の巻物で覚えた魔法が使えるようになってたからね、試してみた」
「試してみたって…そんな初めてのことをこんなとこでしないでくださいよ。馬車に火がついたりでもしたらどうするつもりだったんですか?」
こってりしぼられました。
反省。次からは周りのことも考えましょう。
「ファイアァァァッ!」
え?ちょっシキちゃん?
ナニヲシテイルノカナー?
「シキ…?」
「うっ…い、いや、これは違うんです。私の 心が叫びたがっているんですっ!」
…わざと?ここさけみてないですけど。
見る前にこっちに来ちゃったからね。
「ユーマにシキ、なんしよん?」
騒ぐ声に反応して、ネシアが来た。
「火魔法っ‼︎使えるん?え?シキは見たけど、ユーマも?」
「なんかねー使えるようになっとったんよね」
「使えるようになっとったって…なんでやねん」
呆れ顔。いいじゃないですか、使えるんだから。
「うおっ」←ユーマ
「きゃっ」←シキ
「うわっ」←ネシア
馬車、急ブレーキ。
「どうしたんですか?」
「なんがあった??」
「さ、山賊が…」
山賊が出たそうです。
新学期が始まっちゃって。
時間がなかなか取れない…
少ないですが…次につなげたかったのでここまでです。
次は…月曜までにはあげようかな、って思っておりますが、まだ一行も書いてないのでどうなることやら…
今話も読んでくださりありがとうございます!