まち?
【ステータスカード】
名前:シキ・アイネイル・ディモア
種族:ヒューマン
職業:大商人の子
体力:少なめ
魔力:少なめ→普通|(New)
能力:値切り
魔法:風魔法
火魔法|(New)
土魔法|(New)
なんか名前が凄いな。
大商人の子?ん?行商じゃなかったのか?
「どうですかどうですか?」
「名前が凄いな。あと、大商人の子って…?行商じゃなかったのか?」
「なっ⁉︎なんで見えるのですか?隠蔽かけてあるのに⁇え?もしかして名前も全部見えてるんですか?」
「名前?3つでいいのか?シキ・アイネ
「うわぁぁぁぁあ!ストップ!ストップしてください」
何かあるのだろうか。まあ詳しく詮索はしないでおこう。この世界の数少ない知り合いの一人だからな、離れられると困る。
「ユーマさん、鑑定スキル持ちなんですか?」
「鑑定スキル?いや、持ってなかったと思うよ」
「あっ、ネシアにも見て貰えばいいですね。ちゃんとかかってるはずなんですけど」
どうやら、ステータスカードの都合の悪いところは隠蔽スキルとやらによって隠されてるらしい。
俺は見えたけどな…もってなかったよな?そんなスキル。
一応自分の見ておくか…
「ステータスオープン」
名前:ユーマ
種族:ヒト
職業:世迷人
体力:少なめ
魔法:極 多め
能力:魔力譲渡
言語共通化
上限突破
魅了
魔法:火魔法|(New)
土魔法|(New)
見た目は異世界に来てすぐ見た時みたいじゃなく、シキのステータスカードと同じ様な表記になってるな。
あと、魔法が使える様になってる。
適正0じゃなかったっけ?
火魔法に土魔法か。
アレで教えた魔法だけ使える様になるのか?
検証してみないとな。
…っと、そろそろ門に着くか。
「ネシア、入るのに金とかいるのか?」
「この馬車に乗っとけば大丈夫」
家紋もついてるし、標準を知らん俺からしても一目で豪華な部類に入るとわかる。
立派な馬車だ。
しかし、同乗者が誰であろうと問題ないとはね。
この街の有力者の家みたいだな。
いや、みたいではなく、有力者なんだろうけど。
そうこう考えているうちに、気づけば門をくぐっていた。
立派な石畳の道を進んでいくが…
正直外の土の道の方が乗り心地が良かった。
石畳はなんというか…振動が凄まじい。
「ネシア様、到着いたしました」
「そう ユーマさん?どうするつもりなのですか?」
とりあえず挨拶しておかないとさ、やっぱダメかなーなんて思うんですが。
「ネシアの両親に挨拶くらいはしておこうかと思ってるんだけど」
「ちょっ!え?待って待ってダメだって。いやーウチはいいんやけど、その。ね?」
「まあいい、いくぞ?」
開かれた門の中は別世界?
ベルサイユ宮殿の庭園もびっくり!とまではいかないが、まあ日本では見ない庭の広さと綺麗さね。
俺は日本庭園派なんだがな。
西洋庭園の良さがいまいちわからん。
おっ、奥に人が並んでるな。
「ネシア、あの奥に並んでいるのは?」
「あれは…まずい、父上までいるって!」
「ちょうどいい、行こうか」
こういったときに無駄に自信が溢れてくる。
今なら。なんだってできる。
そう、ノー勉で迎えた定期テスト直前の根拠のない自信と同じものが込み上げてくる。
シキとネシアの手をとって馬車から降ろし。
まっすぐ奥の屋敷…邸というべきか?
違いはようわからんが、兎に角デカい。
…そして、遠い。
遠近感仕事しろ。
かれこれ5分くらいは歩いてるからな。
見えるのに遠い。
近づくとそれはそれで。
義父様の威圧感ぱないっす。
「なあ、ネシア?いつもこんな感じなのか?」
「いや、今回はたぶん、ウチとユーマとシキちゃんのことも関係しとる。いつもより怖い」
ネシアでも怖いのか。
どうしよう。
あんなこと言っといて、逃げることはもう無理だしなぁ。
そして
「おおおおおおかえりいいいいいい‼︎‼︎ネシアちゃぁぁぁぁぁぁあんんん!!!」
「「…えっ?」」
怖いと言っててあんだけオーラ放ってた義父様?いきなりどうしたよ?
俺でもフリーズするわ。
シキ…ちょっ、倒れるなおい 危ないから。せめて立っとけよ…
ありぇ?俺の視界がナナメに…?
うおっ、あぶねえあぶねえ。倒れるとこだったよ。
想像とは違う意味で危ない人だ。
「…なあ、ネシア?話は出来そうか?」
「…ええ、できますわ。できますよね?おとうさま?」
相変わらずお嬢様モードのネシア。
こうしてみると本物だとよくわかる。
そうして体感で2時間後くらい。
何故こうなった?
大きなテーブル。西洋のお城とかにありそうな長いやつ。
その席について、何故ディナーを楽しんでるんだ?
いや、料理は正直美味いし、シキも満足気だからいいんですけどね?
俺の正面に何故義父様が?
そして。じっと手元を見てくるんだけど。
いや、いくら俺の姿がメイドさんでも…
ちょっ、視線が?胸を見るな胸を。
なってみてわかる。見られててもわかるもんだねコレ。
今まで見てきた女性陣すいませんでしたw
と、こんなこと考えてる場合じゃない。
「で、ですね?ネシアと私がキスをしたからですね?」
「私は、ユーマさんについて行きたく存じます」
当方精一杯の攻勢をかける。
「それは…いいんだが。ユーマさんとやら、なんの神を信仰されておりますか?」
まてまてまてまてまてまて!
神だあ?この世界系の問題が来たよ…
信仰してないとか言えそうにないが。
ネシア?シキ?教えてくれてもいいん…
教えて欲しいんです!はやく!
標準でいいから!
熱い目線でネシアとシキをチラチラ見る。
伝わって欲しいこの気持ち。
《ユーマ、私よ私。神である私の名前を言えばいいのよ》
神の助けが…いや、名前を知らないんだが?
《アマンメル、私はアマンメルよ!》
ありがたい。助けはすぐに使わせていただきます。
「私が信仰してるのは…アマンメル様ですね。ご存知で…え?」
神の名を出した途端、場の空気が固まった。
固まるってこういうことなのね?
って、違う違うなんかやばい。
「ユーマさんとやら…本当にその神を?」
恐る恐る聞いてくるんだが、真面目に答えるとやばいやつだと思うんだ?
でも、裏をかいて当たりとか。
あの神ならやりそうなんだよね?
「まあ。そうですね」
「今すぐ此奴をここから叩き出せ!殺しても構わん!」
ワンツーで殺害予告です。
やばい方だった。
どうしようどうしよう。
選択肢1 逃げる
選択肢2 逃げる
選択肢3 戦う
3は速攻排除ね。手ぶらだし?格闘とかできないし?
1か2のどっちかだよなー…
どうしよう。
「ユーマに手を出すなら!ウチを斬ってからにせえや」
「ユーマさん、逃げましょう」
ありがたい。
シキが手をとって走り出してくれた。
俺?ついていくだけで|(精一杯)。
キスしただけだと思ったんだけどな
こんな大事になるとは。
「兎に角庭に!庭なら少しは稼げる」
ネシアの指示通り、シキ、俺、ネシアの順に庭に駆け込む。
どこをどう通ってるのか?
景色を見る余裕もない。
「ユーマ、ここや、ここからなら街の外に出られるけん。あとは任せや。迎えに行くで」
「ちょっ、ネシア?」
「ネシアさんっ⁉︎」
ネシアは振り返り、走ってきた方向とはまた別の方へ駆けていく。たぶん。
「シキ、とりあえず入るよ?」
コクリとうなずき合い、目の前の小屋に入る。
中は薄ぼんやりとしているが、ハッキリとは見えない。
ん、真ん中に穴がある。
「シキ、あそこからだ。行くぞっ」
「ユーマさんはさきにっ、私は後から続きます」
これフラグだよね?
「シキ、さきに行け。危険がないか調べつつな。頼む」
「えっ…は、はい」
一瞬疑問に思ったようだが、すんなり入ってくれて良かった。
これでシキだけでも逃すことが–––––––––。
俺は遠くから聞こえる喧騒の音をききつつ、ゆっくりと目を閉じ…
ない。
せっかくだもん、生きますよ?
ということで、小屋の中にあった鉈を手にとって、軽く振ってみる。
さあ、来るなら来い。
細切れにしてハンバーグにしてやるよ
なかなかどうするか迷っちゃって、困りました。これからたぶんなんやかんやします。