苦悩
クエストに行く時間も無くなったので、女性陣の要望通り買い物に行くことになった。
で、だ。
「ここなのか?ええと…その、入りにくいんだが」
着いた店は服屋。
ただの服屋ならまだ我慢した。買いたい気持ちもわからんでもないからな。
だが……
「ユーマさん選んでくださいね?」
「ユーマ、どれがいいと思う?」
「ええと…ユーマさんはどちらの方が…好みでしょうか?」
なんで!なんでよりによって女性用下着の店なのだよ…
しかもそれを選べと…
「選ばないといけないか?」
一応断ってみようとしたんですが。
「「「ダメです」」」
無理だった。
こんなんじゃ今夜にでも暴走してしまいそうですが。え?愚息がですよ。
自慢じゃないが暴走する胆力がない。
一軒家持ったらやりたいけどなあ…
「ユーマっ♪」
うおっ、ネシアノリノリで紐を…紐?
そんなものを持ってくるんじゃありません!
「ユーマさん、これはどうでしょうか」
ぐうっ、弱いところを突いてくるような純白の花。
直視できません。
「わかった、もう好きなの買えよ…はぁ」
そんなわずかな希望さえも
「選んでください」
の一言で霧散する。
さて。店員さんからも微笑ましい目で見られだしたし、早く帰りたい。
*********
あれから地獄のような数十分かけて買い物は終わった。
下着を買いたかっただけみたい。
俺の精神の損傷具合は、オーガと初めて対峙した時よりも酷い。なんせもう再起不能ですよ?
ナニはたちますけど。
*********
「はぁ、ようやく一息つける」
宿に帰り着くとすぐ、ベッドに倒れこんでしまう。
今迄一部屋に3人だったけど、ツユナが増えたこともあって二部屋借りるようにした。
なんで、俺以外の3人は隣の部屋だ。
これでようやくゆっくり寝られる。
なんて考えたのがいけなかったのだろう。
ノックもされずに開けられたドア。
そこに立っていたのはシキ。
「ユーマさん、あの、私と寝てくださいっ」
ね、寝てくださいって、え?ちょっ、えぇ?
「シキ、それは…いっしょに寝るってこと?それとも寝るってこと?」
だめだ、混乱してまともな答えが出てこない。
「ユーマさんに、今日はお礼です」
だから真意がわかりづらいって。
「シキ、それはどういう意ーーーー」
全ての言葉を発する前に、俺の唇に柔らかいものがそっと触れていた。
「はむ、んっ、ちゅる…ちゅっん、…はぁ、はぁ」
唐突ーーいや、よく考えれば兆候はあったかもしれないがーーキスをされた。
今までもあったが、そこで終わりだった。
少し深い友達くらいの感じだったのだが、これは3人に対する見方をやっぱり改めないといけないだろう。
「はぁ、…んっ、ユーマさんっっ!好きっ、ちゅっ…んんっ…うひょぁっ⁉︎」
いつまでもされるままになっていると思うなよ?
それにここまで来たってことは、つまりそーゆーことなんだろう。
さあーー反撃開始だ。
エロシーンに突入しそうですが、残念ながらR15。具体的な描写などはありませんので悪しからず。