喧騒
「まずはツユナの登録をしようか。してないだろう?」
俺たちはまた、今日2度めの冒険者ギルドの前に来ている。
ツユナの登録と、一人増えた分のお金を稼がねばならないからな。
「ええと…登録って冒険者のですよね?わたしは鍛冶ギルドには一応登録して…ますけど、できますかね」
うん、会ってまだ一日も経ってないけど、だいぶ話すようになってきた気がする。
と言うかなった。
二重登録にはならないが…聞いてみないとな。
そう考えつつ、ギルドの入り口をくぐる。
*********
「ざわざわ、ざわざわざわざわ」
珍しくギルドの中が混んでる。
…そういや、朝早くか夜遅くしか来たことがなかった。
さして気にしてなかったが、夕方の一番多い時間帯に来てしまったようだ。
初めて登録した時からこれまでは、テンプレとも言えるちょっとやんちゃな冒険者(自称強い)との絡みがなかったから、そーゆーもんだと思ってたが今回はあるかもしれん…
あ、でもいつもの窓口の人いるからなんとかなり…ませんでした。
「おいおいにーちゃん、初顔だな」
「可愛い子三人も連れてどーゆーことだ?あぁん?」
定番のチンピラ。
ごついのとデブとガリの3人組。
そして後ろでざわざわと
「あー、デビル三兄弟に目をつけられて」
「見ない顔だし、なりたてだろう?かわいそうだなw」
デビル三兄弟っていうのか、めちゃくちゃダサい名前だと思う。
想像できる限り、一番酷くてわかりやすい。
「なんだ?無視か?ねーちゃんだちよぅ、俺らとクエスト行こうぜ」
「弱っちいのについて行ってたら死んじまうぜ、げひゃひゃひゃひゃひゃ」
無視しとくのが無難だと思ったんだけど。
予想よりもしつこいなこいつら。
「ユーマさんのこと知らないくせに、弱っちいとか言わないでくださいっ!」
シキがキレた。
意外とネシアは怒りにくい。
…まあ、怒ったらその分怖いんだけどね?
「お嬢ちゃんwそいつに騙されてるぜww田舎の方の人がいないとこでは強かったかもしれんがここじゃあなあw雑魚だぜwww」
「じゃあユーマさんと勝負してくださいっ!」
ん?なんで俺が戦う羽目に…え?
ネシアは傍観、いや、面白がってるな。
ツユナは…こころが読めるからなんかもう…かわいそうというか?まあ心の読めない俺でもこいつらの考えてることがわかる。
だって顔に出てるもん。
「しゃーねえなぁ、俺がやってやろう。もしそいつが負けたら、お前らは俺らときてもらうからな?言っとくけど、俺らはみんなランクCになったばっかだぜ?簡単に勝てると思うなよ?パーティーでオーガだって狩ったことあるんだ」
んん?なんだ?俺の女にそんな口ききやがって…なんてね。
まあ、負ける気がしない。
オーガソロで勝ちましたがなにか?
「そうなんだ。まあいい、どうせ俺が勝つからな」
「え?ユーマさんやるんですか?」
そりゃなあ、これでも一緒に旅してきて、キスまでした仲だ。
今更そんなことさせてたまるかってんだ。
「ほら、早く戦わないのか?」
「いいんだな?よし、こ…」
「はいはーい、戦うなら闘技場言ってね?ニッコリ」
受付のおねえさん。顔が笑ってないですよ?
「はい」
「わかった」
チンピラがはいって返事をしてて面白い。
ネシアが笑いを必死で堪えてて震えてる。
*********
「さて、準備はできたか?ルールは簡単。相手を殺したらダメ、魔法の使用もなし。いいかな?」
「ああ、早く始めよう」(チンピラ)
「くっくっく…私に勝てるとでも?」
当然煽ります。アオリイカよりも煽ります。
逆上して突っ込んできてくれれば楽だもん。
「じゃあ始めますよー。始めっ!」