別れ
ツユナが荷物を取りに行って数分後。
「や、わ、わたしはっ!ユーマさんと行くのっ」
「誰だね、ユーマさんって。それに勝手に行かれちゃお前をじいさんから預かった俺の立場がなくなるじゃないか!」
「どうせわたしのこと怖いって思ってる癖に」
「何を言う!俺はツユナのためを思ってここの倉庫を貸してるんだぞ⁈わかっているのか⁉︎」
うぉう…かなり激しい言い争いが聞こえてくる。
多分、言ってた叔父さんが来たのだろう。
ネシアはまあ興味なさげだな。
シキはーーうん。怒声が聞こえるたびにビクビクしてる、、
俺もだが。
「じゃあどうすればいいの!わたしはもう行きたいのっ!」
「だからーー」
うーん。次第にヒートアップしてきてるな。
かといって退散するわけにもいかんしなあ。
「わたしはユーマさんと結婚するから!」
「はぁ⁉︎何を言ってるんだツユナ!この店はどうするんだ!」
「またお店のことばっかり。どうせ叔父さんが今まで通り好きにするんでしょ!ユーマさんと駆け落ちする」
駆け落ちって宣言してからするもんだっけ。
いやそこじゃない!結婚…しかも俺と?
シキとネシアもぽかーんとしてる。
・・・バタバタと奥から音が聞こえてきて、ツユナが飛び出してきた。
そしてーー
「ユーマさん!結婚しよ!」
「ええと……いきなりだね?」
「貴様がユーマとやらか!ツユナはやらんぞ!」
あらー。叔父さんも出てきました。
ツユナから初めに話を聞いたときは、まあしょうがない部分もあるなーとか思っちゃったけど。
一目でわかる悪人だなこりゃ。
でっぷりと太って、ドワーフだから背が低い。で、明らかに鍛冶師じゃない。
筋肉の存在が確認できないしキラキラしてるし高そうな服着てるし。
話し方イラっとするやつだし。
俗に言う生理的に無理ってやつだ。
「ええ、俺がユーマですけど?なにか?」
「貴様っ、ツユナをたぶらかしおって!この店の権利をツユナが持っているからって、そんな手で乗っ取るつもりか!」
勝手に事情を説明し始めた。
要約すると、
・おじいさんはツユナに継がせたかった
・ツユナが幼かったので、叔父が代理人に
・叔父の息子とツユナを結婚させて、この店を叔父が自分のものにしたい
てなわけで、ツユナを貰われると困るそうだ。
俺は全く知らんがな。どうなろうと。
「んっ、ちゅ…」
勝手に始めた説明を聞いてると、右頬に暖かい感触が。
みると、朱くなったツユナが俯いている。
「ツユナぁ!貴様、ツユナになにをしたぁ!」
ん?ええと。このおじさんなにを言っている?
あたまおかしいんじゃないか?
今、ツユナが俺にキスを…キス⁉︎
結婚するとか言ってたけど。
本気なのか!いやまあ嬉しいけども。
「ユーマさん、わたしにも!」
「ウチはあとでな」
何故かシキとネシアも便乗してせがんでくる。
と言うか…ネシアとはしたことないよな?
そんな関係でも…あるわ。
一応婚約者だった気が。
てことは俺やらかしたかもなぁ。
ハーレムルートならいいんだけど。
女同士の戦いとか仁義ない戦いと同等だと思うんだ。
近づくと殺られそう。
「あ、あとでな」
「ユーマさん!連れてって!」
叔父さんがキレたのを見て、ここぞとばかりにツユナが抱きついてくる。
シキ?ネシア?目が怖いですよ?
「ふん、そこまで言うなら、ツユナは連れてけ!その代わりここは貰うからなぁ!」
「ふーんだ。言われなくても出て行きますー!叔父さんこそ店に帰ったら?倉庫なんでしょ?ここ」
売り言葉に買い言葉、スピードが速くなっていく。
「じゃあねー」
「シキ、ネシア、とりあえず行こう」
「ユーマさん、あとでお話があります」
「ユーマ、ウチからも」
それお話の意味が違う気が…
いえ、逆らえませんけどね?
すみません、高校の最後の試合だったもので全力尽くして寝落ちしてまして。
今日から戻る感じですので!
これからもよろしくお願いします




