斬・斬・斬・斬
「ギャギャキャギャッ」
「ギャッギャッ」
森に入ってしばらく進むと、明らかにゴブリンだとわかるような鳴き声が聞こえてきた。
「シキ、ネシア、そろそろだな」
「せやなぁ、行くで」
「ですね〜。殲滅してやりましょうっ!」
さりげなく物騒な発言をするシキさんや、こないだから思ってたけど中2病ですか?
ゴブリンは少し開けた場所に、5匹が円状に並んで座っている。
「ネシアは一番右、シキは左からな。」
「任せてくれ」
「はいです」
「てゃぁぁぁぁぁああ!」
可愛らしい叫び声とともに、シキが突っ込んでいく。
「せやっ!やぁっ」
ネシアも短剣を構えて突撃する。
おれ?おれは木の上で観戦…逃げる奴がいないか見張ってるんだ。
仲間を呼ばれても大変だからな。
「てゃぁぁぁぁぁああ!」
ーーーーーざくざくとシキの剣によって斬られていくゴブリン。
「はぁっ!せやぁ」
ーーーーー的確に短剣を首筋、関節に打ち込まれて絶命するゴブリン。
「よし、終わったか」
「ユーマさん…どこにいたんですか?」
「せや、ユーマなんであんなとこに」
ネシアにはばれてたか…
「だって俺だと死ぬからな。ほら、早く魔石取らないと」
魔物には身体の中に魔石が生じるらしい。
で、魔物毎に色が違ったり大きさが違うのでなにを討伐したのかわかるという。
「ユーマさん、魔石取らないんですか?」
「俺がやってない魔物から魔石は取れないな。それは二人の手柄だから」
…なぜだ。二人の視線が冷たい気がする。
「ユーマ、今度から戦闘の練習するで」
「私からもですからね」
「まじかよ…高校の授業で剣道したくらいだよ、俺」
「ケンドウ…が何かはわかりませんが、やりますよね?ユーマさん」
シキ、その上目遣いは反則…。
わかった、やるから。やりますからそんな顔しないで。
「わかったよ、明日から頑張る。とりあえずノルマは達成したから、帰ろうか」
「ユーマ、まだ狩り足りへん」
「ユーマさん、まだですよ?」
まじですか…俺の体力が限界なんですがそれは。
まったく…しょうがないなぁ。