3話にして、はじめての街
3話です。はい、なかなか難しいものです。
簡単そうに見えて、とても難しい。
まるで…《思いつかなかったので略》みたいですね。
というわけで、3話も楽しく読んでいただけると嬉しいです。
「ファイアァァァァァァァッ‼︎」
ズドンッ…鈍く響く音がして、少し先の草むらに火がついた。
「よっしゃ、シキちゃん!成功した!」
「ユーマさん!成功しましたぁ!火魔法が!やったぁぁ!」
とても嬉しそうでなによりです。
「よかったな。これで2属性か?」
「はいっ!ユーマさんのおかげです!」
いやーよかった。これで俺も口紅の使い方が少しわかったしな。
他人に使えるってのも便利だ。
「それじゃ、とりあえずあったまろうか。火もついたし」
「ですねー。…っと、何かくる音がします」
魔物だろうか?そいつはあぶねえ。
ってか耳がいいのかな?シキは。
[ドドドドドドドドドドドド…]
何かの足音。やっと聞こえ出した。
「シキちゃんは耳がいいんだな。俺は今やっと聞こえてきたよ」
「はい、だって私ハーフエルフですし」(どやぁ)
…ハーフエルフかい。エルフもいるんだな。
こいつは益々楽しみが増えて…ゲフンゲフン。
いいじゃないか、異世界らしくて。
[ドドドド…]
次第に足音が近づいてくる。
「近づいてくるぞ⁉︎シキ、どうしよう」
「ユーマさんのおかげで魔力が8割残ってますので…ここら辺のはたぶんイケますすよ」
「わかった。じゃあ…任せるからな。切れたら補充してやる」
補充できれば…なんだけどね。
シキに倒せなかったらたぶん俺も死ぬから。
「…おーい」
ん?空耳かな。魔物から声が聞こえる。
「シキ、魔物が叫んでないか?」
「たぶんあれ…人でしょうか?何か…馬?馬ですね。馬に乗った人が来ます」
人か…なら安心…できない。
ここら辺を夜にうろつくとか何者だよ。
シキから聞く限りだとたぶん一般人じゃない。
「おーい、うちは無害やけん、攻撃はやめてやー」
気づくと、いつの間にかシキがファイアボールっぽいのを出しててびっくりした。
ファイアボールとか教えてないよ?俺。
ってか自分で無害とか…怪しいですよって言ってるようなもんじゃん。
「無害なんですねー。ならいいです」
ちょっ⁉︎おいおいシキちゃんナニヲイッテルノカナー。
「待て、名を名乗れ‼︎後、シキはファイアボールを続けろ」
「人やー、助かったわ〜。ウチはネシアっちゅーもんや。街に住んどんやけど、遊んでたら日が暮れてな。火ぃ見つけたけんきてみたんや。火は人しか使わんけなー」
なんにせよ、人でしかも女の子ならよかったよ。
「えっと、ネシア…さんですっけ?一人で迷ったとはいえこのような場所に…?遊んでたっていったい?」
シキがちゃんと聞いてる。
俺?絶賛人見知り中だよ。
シキは倒れてたから話せたようなもんだし。
今はシキの後ろに小さくなってる…隠れられてないがな。
「ウチはコマ村…ああ、ここの近くの小さい村なんやけど、そこで冒険者やっとんよ。んで、ゴブリンの群れが出たって聞いて倒しに行ったんやけど、思ったより多くてなー。手間取って時間がな、こんなんなって馬での移動もままらんっちゅー訳よ」
なるほど、ネシアさんは困ってて、ゴブリンの群れ程度は倒せると。
交渉の余地ありだな。
「あー、ネシアさん、はじめまして。私はユーマというのですが、私たちはここで野営するつもりだったんですが、ネシアさんもどうですか?」
誘う。だってゴブリンいけるなら少しは安全になるからね。
あと、野営って言ったのはカッコつけた。
野宿よりいい感じじゃん。
「ええなー。けど、見た感じテントとか持ってないみたいやしどうするん?」
「シキ、魔法使えるよな?」
「使えますけど…野営には使えないかと…すいません」
そういやそうだった。口紅でなんとかなるかな…
なんとかなれっ!
念じつつフタを開ける。
キュポっ
中からまた紙が出てきた。
《土魔法:初級編》
土魔法かー。中々また面白そうなものを。
「シキ、魔法覚えてみて。次は土魔法だよ」
「土魔法ですか〜。やってみます。どうやればいいですか?」
前回火魔法覚えさせた時と同じようにして、覚えさせる。
…よくよく考えると、俺ってただ魔法教えてるだけだよな。
服従だの配下だのにしてない気が…
覚えさせ損かな?
「ユーマさん、たぶん覚えられました。やってみますねー」
シキが覚えたみたい。
「どんな風に使うつもり?」
「ええと…壁をぐるりと作ろうかなって思います」
「ちょっ、覚えたってどういうことよ⁉︎」
あっ…ネシアさんいたんだった。
「シマッタナーネシアさんいたんだなーどうしようかなー秘密知っちゃったしなー」
棒読みだけどとりあえず脅してみよう。
意外なことがおこるかもしれん。
「えっ…いや、ウチはなんもみとらんよ。うん。なんもみとらん」
「そうですか。でも秘密を知ったからには…ね?」
「わかった。なんでもするから殺すのだけはやめてくれや」
今なんでもするって言ったよね。
殺すつもりどころか、喋らないよう説得しようとしただけなんだが。
脅してみるもんだな。
「わかりましたよ。ネシアさん、殺しませんから。なんでもするんですよね?ね?」
「うっ…まあうん。ウチだって一端の冒険者や、言った言葉には責任を持つ。奴隷にでもなんでもしろ」
まじかよ。
冗談と言うか、いつものノリで言ったんだけど…
奴隷にでもってことはイコール奴隷制があるんだな。
「ユーマさん、行きますよ」
俺とネシアさんの話をガン無視してシキが魔法を始めた。
「いっけー!クレイイイィィィィ!」
クレイって…そのまま感がすごい。
まあ叫ぶ言葉自体は俺が教えたんだがな。
日本語っていうか、英語っていうか…そーゆー感じで叫ぶと使えるみたいなんだよね。
俺使えないけど…
ボコッ…ボコボコッ
焚き火を中心に半径2メートルくらいの土壁が出来た。
高さ約1メートル…乗り越えられるだろこれ。
目が点になってるネシアさんはほっておこう。
「シキ、魔力切れになってないか?」
ただキスしたいだけです、はい。
「えっと…少し」
そう言いつつも俺の方に倒れこんでくる。
そんなにキスが嫌なのかなー
でもするけどね。
「シキ、魔力補充するよ?」
返事は(聞か)ない。
**********
濃密なキスタイムの後、ネシアさんを放置していたのに気づいた。
ネシアさん…何が起きたのかついていけず、ぽかーんとしてる。
「あやー、そーゆー関係やったんか。すまんな、邪魔して」
…やはり、誤解と言うかこれを見るとそうなるよなー。
「いや、俺の能力にな?キスで魔力譲渡できるってのがあってだな。それを実践しただけだ」
「ホンマか?聞いたことないけどなー。あ、ならウチにもしてくれん?」
ほう。てかネシアさんも魔法使えるんだな。
「ネシアさんも魔法使えるんやな?」
「水魔法の中級までやけどな。まあ今日は昼間に使うとるけん、今は使えんけどな」
水魔法か。シキが風、火、土魔法使えるようになったから、パーティーがあるとすればバランスが取れる気がする。
てか、中級とかあるのか。
「じゃあ、やりますよ?」
「わかった。一応言っとくと、ウチ初めてやけん、優しくして欲しいな」
くそっ、可愛いじゃねえかよ。
まだ少し子供らしさが残るあどけない表情の上目遣いなんて反則だと思う。
そもそも、ネシアさんは何歳なんだろう?
疑問は尽きないが…
許可が出たんだ。ここはしないと男がすたる。
んっ…
唇を軽く触れ合わせる。シキとはまた違う感触と匂い。
名残惜しくはあるが、長くはしないようにする。
俺自身が止められなくなってしまいそうだから。
「んっ…ほんまなんやな、魔力が戻っとるわ。これで水が飲めるな」
ネシアさんはどこから出したのか、3つコップを手に持っている。
「はい、ユーマ。あーあと、ウチはネシアって呼び捨てでいいさかい、変にさん付けせんどいてや」
「ああ、ありがとな、…ネシア」
名前を呼んだだけなんだが、嬉しそうに髪が揺れている。
*************
『ピィィィィィイ』
不意に甲高い鳴き声が聞こえてきた。
「なんだっ!魔物か⁉︎」
「あー、あれは…」
途中から文章の書き方を変えてみました。
読みやすくなったでしょうか?
これからは変更後の文章の感じで行こうかなと思ってます。
では、次はーいつになるかはわかりませんが、一週間以内には必ず、必ず出します。
よろしくです