出会い〜なぜかメイドさん〜
まだまだ下手ですが、頑張っていきます
.....んんっ…ここは。
「知らない天井だ。ここは…?」
言ってみたかった台詞を呟き、起き上がる。
天井?そんなものはない。
見渡す限り青空と草原と森。ちょうど草原と森の境目あたりに出てきたみたい。
まずすべきことは…
身の回りの確認だな。
服は…何故だ?何故俺はメイド服を着ているんだ?しかも正統派の裾も長いしっかりしたやつ。
…まてよ、髪も長くなってるし、身体も少し細くなったような気が。
まさかの女体化パターン⁉︎確かに昔から背も低く、華奢で女の子に間違われてたけど…だから一人称俺って使ってるんだけどさ。
神様ぁぁぁぁぁ!完璧勘違いしてるじゃん!
だけど…それならこっちはもしかして、
「自分の身体だからな。確認しとかないとな」
わざとらしく呟きつつ、恐る恐る股下に手を伸ばし。うん、ない。女の子だね、この身体。
とすると…胸がない気がするんだけど。
少し膨らんで…ない。男の時の胸筋程もないとは。泣いていいですか?
っと、こんなことをしてる場合じゃない。
次に…
人を探す。ここがどこか、これからどうするか決めないといけないからね。
いい具合に、丘の下あたりの草がなく、道になってる。
これを街道だと信じよう。
街道(仮称)の方にまずは行こう。
「おっ?あの箱は?」
少し後ろの草に半ば埋もれるように、立派な箱が落ちて…置いてある。
この中に武器とかあるのかな。
期待で胸を、ない胸を躍らせつつ、箱に手をかける。
プシューーーーーー
うわっ、白い煙が出てきた。
中には、小さなナイフ?それと紙が入ってる。
なになに…
《ごめん、ユーマくん。間違って女の子にしちゃったwまあかわいいから許してwこのナイフは、手に取ると君にぴったりの武器に変わる神器だからね。じゃあがんばー》
まあなってしまったものはしょうがないとして、折角手に入れた異世界LIFE、楽しまないと。
あ、ナイフは変わるのか。
よーし、大剣がいいなぁ、希望としては。
ガシッとナイフを掴むと、光を放ち…形が変わ…眩しくて見ていられず、目を閉じた。
目を開けると、箱と紙は消えて手の中に…口紅?金に輝く口紅のケース、であってるかな。とにかく武器じゃない。
まあなんか役立つでしょ、とりあえず人だ人。夜になる前に人を見つけたい。
なんて考えてると、何か忘れてる気がする。
ああ、そういや"ステータス"
すると、手の甲から半透明の板が出てきた。
なになに…
ユーマ(人) 17歳 女
体力:80
魔力:9999
攻撃:210
防御:230
魔法適正:0
ジョブ:世迷人
アビリティ:魔力譲渡
言語共通化
上限突破
魅了(対女)
体力とかは平均がわからんけど、魔力が高いのはわかった。
が、魔法適正0ってどういうこと?
魔法使えないやつかな…
他にも色々と気になるけど…
だいたいどういうものか予想はつくな。
これじゃ戦闘は無理なんじゃ…って気がするけど、元々あの安全な日本育ちで人を殺したり、動物を殺したり出来るかと言うと自信がない。
唯一経験としてあるのは、中学の時の田舎の農家に何泊かホームステイみたいなのする行事で鶏を捌いたくらいだ。
その時は平気だったが…人なんて想像もできない。
とりあえず人を探そう。
この世界がどの程度の文化か知りたいし。
知らない場所に1人ってのも中々寂しい。
*************
あてもなく街道(仮称)を彷徨うこと体感時間で1時間くらい。実際20分だけど。
街道のそばの草むらで、倒れている人を見つけた。
「おーい、大丈夫ですかー?」
とりあえず離れて声だけかけてみる。
…腕がピクリと動いた。
が、返答はなし。
もっとよく見ようと近づくと、倒れているのが女の子だとわかった。
女の子ならたとえ悪人でも助けるわ。
ダッシュで駆け寄る。
「大丈夫?」
身体を起こしてみると、軽い。見た目12歳くらいかな。
顔が異常に蒼白になっている。
と、口が開き、
「…ま、まりょ…くが…切れ…。て、…助けて…」
魔力切れらしい。
けど、どうすれば。
はっ、そういやステータスに魔力譲渡ってあったよな。
「魔力譲渡っ!」
女の子に手を向けて、大きい声で叫んでみる。
…何も起こらない。くっ、どうやったら発動するのか。
次々と、手をおでこに触れたり、小声で言ってみたり、手を天に向けてみたりしていると、空から紙が落ちてきた。
《さっきからなにしてんのw面白すぎw魔力譲渡するときはキスするのよw言ってなかったけどwwww》
神様からだが…相変わらずイラっとくる手紙だよ。
よし、キスをすれば…。
っ⁉︎キス⁉︎え?まじか、キスできるのか。
よし、これは治療行為だ。やましいことはない。
それに今の俺は女の子になってるし大丈夫だよね。
そう思っても、前世も含めてのファーストキス。この可愛い女の子に捧げるか。
よ、よし。覚悟を決めて、唇を近づけ…
んっ、ちゅっ…
うおっ。こんなに柔らかいものなのか…
初めてのキスがこんな場所になろうとは思ってもなかったが、満足。
軽いキスをしたら、女の子の目が開いた。
どうやら成功したみたいだ。
よかった。
「ここは…一体。あなたは?」
「俺はユーマ。悪いけど今はそれしか言えない」
「あなたが魔力を…?」
「どうやらキスをすると魔力を譲渡できるみたいなんだ。すまんな、勝手にしてしまって」
「いえ…あっ、あの、まだ魔力ありますか?今の私の魔力だと動けなくて…その、すみません」
ってことは、またキスをしていいと!
許可でたし!やるしかないよね!
が、喜びの表情を見せないように真面目な顔を装っておかないとな。下心が…
「じ、じゃあ…いくよ。目をつぶってくれる?」
キスする相手でも、見られているとどこか恥ずかしいというか…なんというか。
むずむずする感じだからな、目をつぶってもらう。
んっ、んむっ.ちゅっ、つっ、んんっ…
今度は許可があるから、長めの深いやつにしよう。
んんっ…ちゅっ、んむっ…んむ!
女の子の舌が俺の口内に入ってきた。
無意識に魔力を求めて侵入してきたようだ。
当然応える。決して上手いとは言えないが…俺も女の子も。
んむっ、んんっ。つっ、はぁ、はあ…
つうと、2人の唇の間に白銀の橋が架かる。
「ふわぁ…どうですか?魔力は…大丈夫ですか?」
「ふぁ…なにこれ、初めて…しゅごいです。魔力が溢れそう」
満足してくれたみたい。
「ところで、あなたは…?」そういや名前を聞いてなかったな。
「私は、シキです」
「俺はユーマ。よろしくね。で、シキちゃんはどうしてここに倒れてたの?」
「私は––––––––。」
シキが話したところによると、家族で行商をやっていたがつい先日、不幸にも賊に襲われたそうだ。
もちろん抵抗していたのだが、父母は賊に殺されてしまい、シキは全力の風魔法で抵抗したがあっさり躱されて魔力切れで倒れたらしい。
賊は商品や金品を奪った後、シキを馬車に乗せてしばらく走り、夜になると魔物が出る森の近くに捨てていったと言う。
賊もそうだが、魔物もいるのか。気をつけておこう。
「それは…残念だったね。それでシキはこれからどうするつもりんだ?」
「えっ…考えてませんでした。でも、父母の敵討はするつもりです」
だが、見た感じ12歳。今すぐにーと言うのは難しいだろう。
できるなら手伝ってあげたい。
ふと、空を見上げる。
綺麗な夕焼け…ん?さっきの話だと夜にこの辺魔物が出るって…言ってたよな。
「そうか。とりあえずもうすぐ日が暮れそうだし、夜はこの辺危ないんだよな」
「そ、そうでした。魔物が出るそうですし…どうしましょう、ユーマさん」
うおおぉぉぉ!やべえその角度。狙ってしてるのかってくらいの首のかしげぐあい!
「そっ、そうだね。街はここから遠いのか?」
「街ですか〜…たぶんそんなに遠く離れてはないと思いますが、今からだと確実に間に合わないと思います」
「しょうがない、野営するしかないか。ちょうどあそこの丘の所に川があったから、そこらへんにしよう」
少し歩いて、川の側につく頃には日もかなり落ちてあたりは黄昏につつまれていた。
「火を焚いておこうか。魔物はたぶん火を怖がるから」
そうは言ったものの、燃やすものもないし火元もない。どうしよう…
そういえば、さっき神様が俺にくれた口紅はどんなやつだったっけな。
「っとー、この辺に確か……あったあった」
明るいうちに、一応確認しておこう。
もしかしたらこう、ブゥンって光が出てくるかもしれないからな。
「何をしてるのですか?…それは…口紅?」
確かに、火をつけると言って口紅を出したんだ、不思議に思うだろう。
「ちょっとな、確認したくてさ」
神様がくれたものだから、一応曖昧にしておく。なんかあると嫌だから。
……ポンッ。フタが開いた。
中は…紙?丸まった紙が入ってる。
口紅じゃねーのかよ…
ええと…なんか大量の記号と、日本語が書いてある。
《火魔法の使い方 初級編》
うぉい、まじか!火魔法…使えるのかな、俺。どれどれ…
・魔法の使い方
1)イメージが大事です。出したい大きさの火をイメージしましょう。
2)呪文を唱えます。なんでもいいので、声を出してください。
こんな簡単でいいのか?もっとこう、複雑な呪文とか魔法陣とかあるかなーって思ったんだけど。
まあ試してみよう、火はいるしな。
まずはイメージ。ガスコンロの火をイメージして
んー。「ファイアっ!」
…………。気まずいだけの空気。
火は起きない。なんでだ!この通りにしたのに!
「…あ、あの、先ほどから何をしてるのですか?何か叫んでましたけど…?」
そうだ、シキがいるじゃないか。
彼女なら魔法は使えるって言ってたからな。
「あのさ、シキちゃん、火魔法は使える?」
「いいえ〜使えませんよ?生まれ持った属性一つだけですよ、使えるのは。私は風。もーなんの冗談なんですか?」
この世界、魔法は生まれ持った属性一つのみ使えるのが一般常識なんだな。
だけど、試してみる価値はあるだろう。
兎に角今、火が欲しいからな。
「シキちゃん、この紙を読んで欲しいんだけど…読める?」
シキちゃんに紙を手渡す。あったかい。
「私は商人の娘ですよ?読めない文字なんてないで………。どこの文字ですか?これ」
「これねー、俺が昔住んでいたとこの文字。火魔法の使い方が書いてあるんだけど、その通りにやってみると出来るかもしれないから試してみて」
「ええ…属性は1人に一つなのが常識ですよ?やったって無駄です。何人もの賢者様方が試されてできないのにできませんよ?」
「常識?それがなんだ。常識ってのはな、どこでも常に変わるものなんだ。
例えば、伝説だと思われていたことが本当にあったりとかな。よくあるんだよ、そーゆーのは。だから試してみればいい」
「じょ、じゃあ…そこまで言うならやってみますけど。文字が読めません。なんで書いてあるんですか?」
内容を説明し、実行させる。
「ファイアァァァァッ‼︎」
可愛い声で一生懸命叫んでて可愛い。
さて、火は出たのか…
読んでくださりありがとうございます。
この時点では3話さえできてないですが…
来週、いや、春休みなんで水曜くらいまでにはあげたいと思ってます。思ってます。
(大事なので二回言いました)
誤字やその他諸々については絶賛受付中です。見つけだ場合は指摘していただけると嬉しいです。