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どうしてこうなった
坂を登りきったところで、シキが叫んだ。
「ユーマさん!あの塔はっ!」
指さした先には、確かに尖塔のようなものが見える。
「ネシア、あれが?」
「せや、あれが冒険者の国の首都、アベンダルや」
「お風呂が待ってますね」
シキよ…そんなにお風呂に入りたかったのか…
いや、俺もそうだから気持ちはわかるんだがな。
「やけどな…ここからがとおいねん」
「「え?」」
「ずーっと塔は見えとるんやけど、あれめっちゃ距離あるんや。やけな、あと…2日ってとこやな」
見るからにシキが落ち込んだ。
…正直俺も萎えた。
「まあ、みえるんだ、終わりが見えてるぞ。がんばろうシキ」