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小さな輪廻

作者: 卯月造謙

 ゆらゆら、ゆらゆら


 ゆらゆら、ゆらゆら


 静止した小さな世界に、一枚の枯れ葉が上空から訪れた


 ざあざあ、ざあざあ


 ざあざあ、ざあざあ


 乾いた落ち葉たちは、降り注ぐ潤いに次の萌木を夢見た


 とくん、とくん


 とくん、とくん


 首を縮めて浅く吸い、深く吐いた

 全身の毛が逆立つような寒さのなかで、鈍色の空が優しく見えた


 とくん、とくん


 ゆっくりと腰を下ろし、朧な明かりが漏れる団欒を慈しむ

 生まれてこの方、孤独とは無縁だったこのぬくもりの中で全てが解き放たれた


 とくん


 彼らに思いを伝える術はない

 ただこの頭を垂れ、重い瞼をそっと閉じた


 ポタリ、ポタリ


 ポタリ、ポタリ


 夢のような時間は終わり

 少年は悲しみの中でも感謝を繰り返し、愛犬の亡骸を抱きしめた


 ワンワン、ワンワン


 ワンワン、ワンワン


 彼女が遺した、次の命の迸る輝きに寄り添いながら

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