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21(後)-7


 戴冠式の当日は、長い雨も晴れた。乾燥した荒地に長雨が降ったら土砂災害とか大変だろうとか余計なことを考えたけど、天才太政大臣がそこのところはきっちりカバーしたようだ。

 本来は〝聖地から帰還した〟ルイスとタクが主役なのだけど、凱旋パレードがあるわけでもない。あたしたちがお披露目をした大広間で貴族たちを集め、正装をして王様に形ばかりの報告をするという段取り。メインはやっぱり、百五十年ぶりに復活する王后陛下の戴冠式だ。

 で、偽物のティアラを使ってシャルルさんが仕掛けた罠は――というと。

 まずツークス領主に命じ、戴冠式前日に準備のため宝物庫から王后の宝冠が運び出されるという噂を流させた。その機会を狙って、フージェ・ハラン側が宝冠を盗むかすり替えるはずなので、一度見逃し、所在だけを突き止めて逃げられないように見張る。

 そして戴冠式当日に、宝冠がなくて真っ青になるはずの王様を見にフージェ一族が押しかける場で、ルイスが聖地から実際に持ち帰った本物を〝神からお返し頂いた賜り物〟として差し出すという、単純だがキツイ一撃だった。

 ルイスが懐から白い布に包んだ宝冠を取り出し、神官長のヘクターさんに渡した瞬間、堪りかねたように一人の高貴そうな男が怒鳴り声をあげる。

『それが本物だという証拠がどこにある! 一介の魔法士や騎士ごときに神が王后の宝冠を返還されるなど、そんな茶番があってなるものかっ!』

『では、ここへきて宝冠が本物かどうか、その目で確かめられるがよかろう。クロヴィスどの』

 自分の座を奪った男に促され、クロヴィス・フージェ・ハランの顔面がみるみる紅潮する。

 あたしたちをさんざんかき回してきた張本人のクロヴィスは、まるで役者のような堂々たる風格のナイスミドルだった。クガイの化粧をしていないので、ちょっと濃い目の端正な顔立ちが侍女の並ぶ末席からでもよく見える。

 理緒子曰く、その整い方が胡散臭くて厭なのだけど、髑髏のステッキが似合いそうなシャルルさんに比べると、大衆的な好感度は間違いなく彼のほうが上だ。

 だけど今は、その好感度の皮がうすっぺらく剥がれかけ、醜さを露呈していた。その彼を、絶対的な真実を握るシャルルさんが追い詰める。

『あなたは随分、この宝冠が偽物だという確証をもっていらっしゃるようだ。その根拠となるものをここで示していただくというのも、良い考えだと思われるが?』

『く……っ』

――いや、ここで証拠なんて見せたら窃盗ばれるよねー。しかも盗んだの偽物だし。

 そのうえ偽物なんて見せたら、それ作って宝物庫に納めてたのもおまえだ!なんて罪状まで加えられてしまいそうな雰囲気が大臣から漂ってきている。

 無言の王様と神官長の態度からも罠に嵌められたことを悟ったのか、クロヴィスは舌打ちをするとその場で踵(きびす)を返した。彼を取り巻いていた化粧メンバーは誰も引き止めることなく、フォローの言葉すらない。所詮その程度の繋がりということなんだろう。

 後で聞いた話によると、クロヴィスは特に罰を受けたわけではないらしい。ま、盗んだのは偽物だったし、窃盗犯は外部から雇ったプロで、雇用主は一族の下位にあたる別の人間。彼に辿り着く糸は、残念ながら上手く繋がらなかったようだ。

『――それに、やつらを全て掃討することは考えておらぬしな』

 王様は平然とそう言った。クロヴィスが望めば、そのまま貴族院議長の座も与えておくつもりだったという。実際は体調不良を理由に彼はフージェ・ハラン家の当主を降り、議長からも退くことになった。シャルルさんの予言どおりといえる。

『おぬしらの命を狙ってきた相手に甘い処遇だと思うだろうが、これで許してやって欲しい。彼ら一族の功績は、我が国と王家にとって重要なものであることは確かなのだ。多少行き過ぎていたとしてもな。

 それに王のやること為すことに全員が賛成するのでは、議会や大臣の意味がなかろう? 百人いれば百通りの立場と意見がある。それを均等に均すのではなく、話し合って互いに譲り合い高め合う……政治とはそうあるべきなのだ』

とのことだ。

 そう言われると、すっきりはしないけど、これで良いんだと思えた。王様は、見かけによらず人の意見をよく聞く。最初はあの無表情と口数の少なさに腹が立ったけど、すごく聞き上手なのだ。抑えた感情表現は、おそらく王としての威厳と皆に平等であるための配慮なのだと思う。まあ、その表情も王后様といらっしゃるとまるで違うんだけど。

 戴冠式終了後も、王様たちとの会談は続けられた。内容は、国のこの先とあたしたちの今後や聖地の調査などだ。第一妃の戴冠に伴い、あたしたちも内宮に移動したので、わりと集まりやすいのが助かる。

 ところで、その席であたしたちが、

『お后様って、やっぱり慰問とかに行くんですか?』

なんていう興味本位の質問をふったために、ミア=コラーユ陛下は本当に飛行船をフル活用して地方へ慰問に向かうことになってしまった。一抹の責任を感じなくもない。

 王太子を退いたアルは、初の公式行事参加にしばらく打ちのめされていた。無表情の王様と笑顔でかわすお后様が偉大に見えるくらい、衆人環視に晒されるのが苦痛だったらしい。だけどこれまでの評判が悪かっただけに、貴族たちの反応は好意的なものばかりで、なかなかよい王太子への布石になったというのがシャルルさんの見解だ。

 ルイスはシャルルさんやオズと協議して、人選しながら聖地と天都の往復。レインとの訓練のおかげで、空間転移術なんていう怪しいスキルを身につけてしまったらしい。

 タクは天都の近衛隊に請われて訓練三昧の日々だ。イェドに戻りたいけど、肝心の王子が天都にいついているので近衛だけ帰るわけにもいかないから仕方ない。

 姿を見せたイジーは、相変わらず変装と隠密を嬉々としてこなし、ジャムは――魔法士長のオズから逃げ回っている。猛烈な勧誘を受けているそうだ。

『すまんな、嬢ちゃん。パンを迎えに行くのはもうちょっと遅くなりそうだ。あの親父、千里眼とか持っててしつこくてしょうがない』

 会談終了後、ふらりと現われた男が困惑した顔で赤い髪をかく。あたしの肩のミヤウを惜しそうに指先で撫でた。

『おとなしく訓練受けておけばいいじゃないの』

 口を挟んできたのは、あたしたちの護衛役を買って出たアマラさん。旅のときと違い、タイトな白いドレスを纏ったお姐さまは、天都にいても最強だ。

『オレなんかが魔法士になったら、余計に面倒だろうが』

『別に魔法士になれって言ってるわけじゃないのよ。基礎的な訓練を受けて過不足なく魔法をこなせるようになったほうが、あんたの任務的にもいいんじゃないの?』

『今でも困ってねえし』

『聖地で真っ青になってたくせに、なに言ってるの。オズはね、あんたみたいに強いマーレインが訓練も受けずに放置されているって状態に我慢がならないのよ。それだけ。縛ろうなんて思ってないわ』

『あんたも他人のこと言えるのかよ。……おっとヤバい。じゃ、またな!』

 気配を察し、ジャムがいち早く天井に飛び上がった。正確には天井に繋がる石の柱の梁の部分に駆け上がり、梁を伝ってバルコニーまで音もなく走り去る。忍者並みだ。

 やや遅れて、息をはずませたオズが、魔法士の膝丈のマントを翻してやってくる。

『今ここに赤い髪の男がいただろう?』

『気のせいですわ。あんまりしつこく言い寄ると嫌われますわよ、オズ』

 しれっとアマラさんが言ってのける。オズが濃い眉をおどけたように持ち上げた。

『どこの貴婦人かと思えば、うちの跳ね返り娘じゃないか。そろそろツークスから戻る気になったか?』

『戻りません。一時的にここにいるだけです』

『意地を張るな。みんな待ってる』

『今さらルイスの部下なんてお断りですわ』

『なんだ、レスから聞いてないのか?』

『なにをです?』

『あいつら、私の世話に手を焼いているらしくてな。団全体の業務が滞るから、いい加減に他の人間を雇えと言ってきた。魔法士長補佐……悪くない肩書きだろう?』

 にやりと笑みを含ませて、オズがルイスにしたときよりもやさしく、アマラさんの髪をくしゃりと撫でる。

『考えておけ。では、お嬢様がた、失礼いたします』

 あたしたちに一礼して、軽快にオズが走り去――らずに、石の柱を蹴って登っていく。もうなんか、オズは魔法士のレベルを軽く超えてる。チートすぎて話にならない。

 ちらりと目を向けると、いなくなった先を見つめるアマラさんの頬がわずかに赤くなっているのが分かった。同い年くらいの女の子に見えて、なんだかかわいらしい。

『……笑わないでよ』

『笑ってないよ』

――〝自分より強い男じゃないと好きにならない〟って……これ、かあ。

『なんで世の中の男って、だらしないやつばかりなのかしら』

『オズが出来すぎなんだと思うよ?』

『魔法力だったらルイスが一番なんだけど、筋肉が足りないのよねえ』

『ジャムはイイ線いってるっぽくない?』

『あいつは力が偏りすぎ。技術だけだったら、イジーのほうがまだ上手いわ。先は分からないけれどね』

『……じゃあ、もうオズでいいんじゃない?』

 理緒子の言葉に、ぴきんとアマラさんが固まる。みるみる耳の先からうなじまでピンク色に染まってしまったお姐さまに、あたしの心は鷲掴みだ。

――あり。二十歳差ありだわ、これ。

 理緒子と二人、両側からアマラさんの腕をホールドする。

「女子会しよ、アマラさん!」

『なに言ってるのよ、ちゃんと指環しなさいよ。わたしはあんたたちの警護に来たのよ!』

「まあまあ、部屋でゆっくり聞くから。ね?」

 なんたって女同士が集まれば男の話、なんてのを教えたのはアマラさんなのだ。責任はとってもらわねば。

『やぁだぁ~。もーはなせえええぇ~!』

 送心術で絶叫が響く中、あたしたちは周囲の怪訝な目など気にもせず、拉致を敢行した。


 アルも言っていたけど、会議ってわりと面白い。適当に話した意見が、どんどん現実味を帯びて形を作り、実行され、結果として目の前に打ち出されるさまは、イベントをこなしていってる感覚に近い。

 中学の生徒会で文化祭とか体育祭とかの企画しかしたことがないけど、なんたって国家レベルだ。規模が違う。

『ね、炊き出しって政府からの供給品じゃ限度があるから、貴族やお金持ちの商家から寄附を募るってどう?』

『寄附してくれるかな? ボランティアって感覚は、こっちの人たち持ってないと思う。それより政府から感謝状とか〝王様認定〟みたいな証書とか、お金を払った事実が分かるものと交換のほうがいいかもしれない』

『それじゃあ……井戸掘るのにお金を集めて、その井戸に出資者の名前彫るとか?』

『どうせ掘るなら水路まで作って、働けない人を大々的に雇用すればいいんだよ。賃金出るし村は潤うし、税収があがるのは先の話だけど損はないと思う』

『そういえば後宮って閉じちゃうんだよね? いらなくなったドレスとか宝石とか家具とか、貴族の間でオークションにかけてお金を集めるってどうかな?』

『王様からもらったものは売りにくいけど……きっと欲しいよね。ひとつあると箔付けになるし。あー、でも匿名じゃなくなっちゃうか』

 レスの淹れてくれた香り高いお茶を飲みながら、井戸端会議のおばちゃんも真っ青な勢いでどんどんアイディアを出していく。歴史好きだという理緒子は、あたしのもっていない引き出しを開けてくれるからすごく愉しい。

 ツークス領主がそれを[まほら]から持ってきた透明なボードに書きとり、ルイスとシャルルさんが突っ込み、オズやヘクターさんが肉付けをして案が練られていく。

『貴族の中でもっと、ボランティアがステイタスになればいいのに』

『それは王后陛下が実践してくださっていることで、少しずつ浸透してきている気がしますが』

『概念の定着というのは、なかなか難しい。一過性の流行に終わらぬよう、工夫をする必要があるな』

 ヘクターさんとレスが言い合う。

『例えば、縮小した後宮を王后様のサロンみたいにして、定期的なお勉強会を開くとかは?』

『貴族の女性限定で、とかありかもね。旦那様より奥様のほうが、こういう話に乗ると思う』

『あとお金を集めるっていったら、チャリティかな?』

『宝くじもあるけど、準備が大変だよね。チャリティだったら音楽とかスポーツ、賭け事?』

『舞踏会は? 入場料を集めて、それで公共事業するの』

『総額発表して、進み具合を逐一報告とかね。メディアが問題だなあ。新聞ってあるの?』

 ルイスに向けて首を傾ければ、数拍のちに苦笑された。

『ああ、定期的ではないが市街で配る印刷物ならある。……しかし二人とも、一言振っただけなのに止まらないな』

『だ、だって、いろいろ出てくるんだもん』

『力に、なりたいし』

 理緒子と二人で、顔を赤くしてうなだれる。夢中になりすぎたらしい。

『私は大変興味深くて面白いですがね。[まほら]の解読を待たずに異文明が知れるのですから』

 左側だけ嵌めた丸眼鏡をきらりと輝かせ、シャルルさんが口元で微笑む。

『叶うのならば、あなたがた二人を秘書にでも雇いたいところです』

『ご冗談でしょう、太政大臣閣下』

『本気だが?』

 ルイスとシャルルさんの間で見えない火花がぱちりと散る。先に逸らしたのは太政大臣だ――しかも笑いを堪えた表情で。

『彼女たちの処遇が決まらないからといって、私に当たるのは止したまえ』

『まったく、さっさとアクィナスへ連れて帰るべきでしたよ。イェドもリオコを喜んで引き取ると言っているというのに』

『仕方あるまい。安易なところへ身柄を預けるわけにはいかぬ』

 あたしはルイスの家、理緒子はタクのところへ収まるものだとばかり考えていて、実際に双方の当主はすぐにでも天都にやって来て引き取ろうという勢いだったようなのだ。

 だけど、意外なことにルイスとタクが猛反対した。理由は、

『――養女でも兄妹間の婚姻は認められていないからだめだ』

という非常に分かり易いもので。そのうえ、カーヅォクラスの貴族にはあたしたちを預けるわけにいかないとヘクターさんが言い出し、現在どん詰まりの状況だったりする。

――あたしはルイスといられるなら、どこだっていいんだけどな。

 貴族の事情が分からないあたしたちには、賛成も反対も仕様がない。ちなみにユリアさんが養女になったタチアナはクガイで、しかも四門という最古の一族のひとつだ。四門とは、北のフージェ・ハラン、南のタチアナ、東のミネアモード、西のトゥーラの四つのクガイのこと。平たく言うと、すべてのクガイはこの四つの家から分岐したものなのだ。

 代々政務に携わっていたフージェ・ハランに対し、最古の神官といわれるタチアナは王家の祖とも通じ、この血脈はヘクターさんのヤーマトゥーロ家、レスのカシュゲート家にも流れている一族だ。もちろんヘクターさんはあたしたちをここの養女にしたかったようだが、四門の一派のみに計三名の異界の乙女を預けるという状況に、王様が反対の意を唱える。

『養女にするとなると、ある程度の秘密を打ち明けねばならぬ。知っている人間は少ないほうがいいが、といってタチアナだけに特権を与えるわけにはいかぬだろう。それに、鍵のこともある。万が一を考え、二人は別々のほうがよい』

『では……ミネアモードとトゥーラ、ですか』

 二つとも、かつてこの国を手中に入れかけた騎士の一族だ。特に東のミネアモードは、イェドが天都だった頃に天下を握っており、フージェ・ハランに権力の座を奪われたとき北へ追放されたらしい。質実剛健を絵に描いたような一族だそうだ。

 トゥーラはキヨウを狙ったけど寸前で阻まれ、離国へ追放。策略をめぐらすのが得意の智の一族で、今は商人に出資してたんまり稼いでいるようだ。

『ムシャザならば、ミネアモードとも親しいだろう。トゥーラは手広く商売をしておるゆえ、そのあたりで適当に工作すればなんとかなる。この辺りが一番妥当だろう』

『しかし、それでは私とあまりに格が違いすぎます。もちろん異界の乙女である彼女らは、元より手の届く存在ではないと分かっていますが……それでも今回のことで頂ける褒賞は、彼女以外にいらないのです』

 タクが控えめに、だがきっぱりと言う。理緒子が嬉しそうに頬を赤らめた。そこで口を開いたのはアルだ。

『そのことなら問題ない。タキトゥス、おまえにイェドをやる』

『……は?』

 タクが間抜けな声をあげる。お菓子をあげる的な軽さで言われたのは、アルの治める一大都市の名前だ。

『王子、もうじきイェドに戻るとおっしゃられた気がしますが?』

『戻るが、必要なものを取りに行くだけだぞ? 恒久的というのが厭ならば俺が戻るまでの仮の領主でもいい。が、もし俺が即位したら、おまえも確定だからな?』

『即位されるときは、弟君か妹君に領地を差し上げればいいでしょう』

 新たな王が即位するとき、継承争いを減らすために同腹異腹を問わず王の兄妹は強制的に継承権を放棄させられる。今回フージェ・ハランが王様の兄弟を立太子しようとしなかったのもそのためだ。

『なぜ俺が』

『どうせムシャズは継がぬのだからいいだろう。領主もなかなか愉しいぞ? アクィナスは名誉祭司と王室補佐官の称号を与えるから、カーヅォとしては最上位になるはずだ。これで釣り合いがとれる』

『……なんですか、その補佐官というのは。神殿側からの名誉職は分かりますが、王室と係わりをもたせてどうしようというんです?』

 王子様の発言に、今度はルイスが盛大に眉間に皺を寄せた。

『おまえに[まほら]の調査の指揮をとらせるのに、最初は人務省(政官人事、教育機関の司)の下に置こうかという話も出たのだが、魔法庁、神祇庁(神殿)とも絡むことだし、八省大臣の決裁をいちいち待つのも面倒。というわけで、王室付きの調査団としたのだ。報告は王か太政大臣に直接すればいい。今と変わらんだろう?』

『職名が与えられると重いんですよ』

 溜息を落としたルイスに、

『じゃあ、僕が――』

『『おまえは黙れ』』

 言い出したツークス領主に対し、オズとレス師弟の声が見事にハモる。『えー』と不満を洩らしているが、わりといじられてるのに懲りないのはいつものことで、みんなにはいはいと聞き流された。

 こういう会談を繰り返し――ゆっくりと確実に月日は流れていった。



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