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青年  作者: すだちポン酢
4/9

祖母様の言う通り

 「ただいま〜。」

学校が終わり、帰宅する。

時刻は18時15分。

「お帰りなさい。夕飯は作ってあるからそれ食べなさい。」

祖母の出迎え。

これは2パターン存在していて、

パターン1:「夕飯は好きなもん作りなさい。」

パターン2:「夕飯は作ってあるからそれ食べなさい。」

今日はパターン2だったな。

「うぇ〜い。」

靴を脱ぎながら言う。

「そうだ誠志朗。」

いつもならこれで会話は終わりだったが、珍しく続けるらしい。

「ん?」

振り向きながら聞き返すと、

「あんた、バイトしなさい。」

と祖母は言った。

「え、やだよ。」

突然なんだ。

日々はこんだけ出来上がっているのに。

「日曜は暇でしょう。そこで社会経験を積みな。」

この婆さんは俺をどうしたいんだ…。

「いやいいけどさ、ば先は?家のことはどうすんの?」

まぁ、日曜日は基本暇ですよ。ボッチですから。

「知らないよ。自分で考えな。」

「えぇ〜、厳しい〜。」

祖母は聞こえていないふりを決め込んで自室へ入って行った。

バイトねぇ…。


 祖母の言った通りにして後悔したことはそんなに無い。

料理は早いうちからしとけとか、

お小遣いの使い方は考えろとか、

サブスクもお小遣いのうちから払わないといけない。

月3000円のお小遣いのうち1000円は必ずそれで消える。

将来の貯蓄もそこから捻出しろという命令のまま月500円は貯蓄に回している。

1500円で1ヶ月。

ボウリングに行くにも2ヶ月分くらいは貯めなくちゃいけない。

高校生にそれではあまりに足らない。

夕飯を食べながら考える。

バイトかぁ…。


 『お電話ありがとうございます。イタリアンレストランフェリシタフォレストウォーク木野店でございます。』

「あ、お忙しい所失礼します。そちらの店舗でアルバイトの募集をしていると聞きまして、高校生なんですけど。」

あ〜あ…。

祖母の言うことにはなぜか反抗する気が起きない。

とりあえず近くのイタリアンレストランに電話をかけてみたが…。

『アルバイト希望ですね、少々お待ちください。』


 なんやかんやで、面接の日時を決めてしまった。

学校終わりのため制服だが、バイトの面接のために制服を着てきたなんて思われないよな。

「いらっしゃいませ。」

店に入ると店員さんがきた。

席に案内する係の人に言えばいいのか?

「あ、アルバイトの面接に来た祭です。」

すると店員さんはあぁ。と言って僕をクルールームへ通してくれた。

そのまま席に着くと、

「どうぞ、座ってください。」

あれ?店長さんだったのか。

「失礼します。」

バイトの面接ってなに聞かれるんだろう。

対策したほうが良かったかな。

「それ制服?かっこいいね。」

店長は意外と気さくな人らしい。

「あぁ、ありがとうございます。」

ちょっと待ってねぇ〜。と言いながら、店長は書類をごそごそしている。

「とりあえず、これ書いてね。」

と渡されたのは紙とペン。

どうやら勤務できる曜日と時間を書くらしい。

この店舗はショッピングモールの中にある店舗で営業時間もショッピングモールと同じ。

日曜は朝から入るか。

土曜はなぁ、学校あるし、18時からとかでいいか。

「書けました。」

と言い、店長に紙を渡す。

「おお、日曜は朝から行ける?ありがたいねぇ。」

うんうん。と店長は紙をおいてこちらに向き直った。

「まぁ、とりあえずこっからは面接に入るんだけど、まず何でバイトをしようと思ったのか教えてもらってもいい?」

バイトの面接もこんな感じか。

「はい。まぁ、端的に言ってしまえばお金が欲しかったから、ですね。」

「あはは、そうだよね。じゃあなんでうちの店に来てくれたの?」

正直すぎたかと不安になったが、店長はにこやかに次の質問へ移った。

「そうですね。単純にイタリアン食べるのが好きっていうのと、家から近かったからですね。」

「なるほどお。趣味は何かある?」

「趣味というか日課的に料理はしています。」

「へぇすごい。得意料理は?」

困ったなぁ〜、得意料理とか特に考えてなかった。昨日何食ったっけ…。

「そうですね…。生姜焼き、ですね。」

ラッキー、嘘でもないからセーフ。

「いいねぇ。ちょっと踏み込んで、なんでお金欲しいの?料理だったらあんまりお金使わないと思うんだけど。」

確かになぁ。祖母が変わってるからなぁ〜。

「僕の祖母がですね、結構厳しい人で、自分が将来使うお金は自分で稼げっていうスタイルでして。」

「へぇ〜。えぇと、もしかしておばあさんと2人暮らし?」

そこ触れるか…。

「はい。色々とありまして。」

本当はもう少しゴタゴタしてるけど。

「あぁ、ごめんね。」

「いえ、全然。」

こういう話は友人にはできない。

「よし、ありがとう。合否はまたおいおい連絡するね。って言っても、もうほぼ合格だから、そのつもりでよろしくね。」

ほぼ?

「あぁ、はい。ありがとうございます。」

こっから先の態度も見るってことか…?

高校入試の時の面接ばりにキビキビ動いて退室した。


 『あ、祭くん?合格です。』

その連絡は翌日の昼に来た。

…。早いな。

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