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五十一話 ──夜明けに重なる桜色の誓い

夜明け前の空は、淡い桜色と紺色が入り混じり、街を静かに染め上げていた。福田朋広は団地の屋上に立ち、微かに香る夜桜の匂いを胸いっぱいに吸い込む。手足は自由に動かんけど、心は軽やかで、ほんの少し胸が高鳴っとった。


「せやな…今日も、ええ一日になるやろか」

独り言をつぶやきながら、スマホを手に取る。画面には淡く桜色の光が揺れる。原付も微かに光を帯び、善意や人助けによる力の蓄積が確かに進んでいることを示していた。


屋上の端には、昨日も見かけた少女――桐生さくらの姿がある。視線が自然に合い、互いに言葉はなくとも、何かを伝え合っているようや。

「…そやな、わしも選ばなあかんな」

朋広は静かに頷く。善意の力と、目の前の少女との関わりを意識的に受け止める決意が、胸に生まれていた。


桜の花びらが風に舞い、光に反射して屋上に落ちる。その微かな光が、二人の距離をそっと近づける。読者だけに、監視者の視線が二人の関係を見守っていることがほのめかされる。


少女は静かに笑みを浮かべ、花びらを手に取る。その指先が微かに光る瞬間、朋広は胸の奥で何かが弾む感覚を覚えた。言葉はなくとも、確かな繋がりと微かな誓いが、夜明けの空に重なっていく。


「また、明日も…」

朋広は小さく呟き、少女に向かって手を挙げる。桜色に染まる街と空が、二人の善意・好意・未来への橋を静かに照らしていた。


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