第五話 ――小さな事件と初めての力
朝の雨が上がり、街に光が戻る。
59才姿の朋広は桜原付にまたがり、街の小さな困りごとを自然に助けて回る。
> 「おっと、こら危ないやんけ……」
倒れかけた自転車を支え、傘を忘れた子に自分のレインコートを貸す。
体の自由は完全ではないが、行動には迷いがない。
見守る人々は、ふとした好意にほのかな安堵と微笑みを見せる。
原付の桜模様が微かに揺れ、胸の蕾もかすかに色づく。
朋広は気づかず、天然に笑う。
> 「なんや知らんけど、よかったな」
街の遠くで、静かに見守る存在が息を潜める。
> 「この者の行いが、力を呼ぶ……」
その微かな力は原付やスマホ、街の灯りに溶け込み、読者だけに「変化の兆し」として映る。
午後、少し大きめの事故現場に到着。
車に轢かれそうな猫を助けると、原付が光を帯びて桜模様が鮮やかに揺れる。
朋広は自然に助け、周囲の人々は感謝の笑顔。
> 「ええ人や……」
そんなささやかな感情の波が、力の蓄積に寄与する。
夕暮れ、街の灯りに照らされる桜模様は、初めて見る人にはただの光の反射にしか見えない。
しかし、読者にはこの光が後の大きな変身や奇跡に繋がる伏線であることが示される。




