二百二十九話 — 月待庵・夜の波紋と冥の浄化
夜の《月待庵》。
閉店間際、ランプの柔らかい光がテーブルを包む。
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朋広はいつもの隅の席に座り、ノートを開いて文章をまとめる。
「さて……今日もぼちぼち書こか」
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カウンターでは 天音ルカ がグラスを磨き、胸元のタイバーが微かに揺れる。
光の反応を理解して静かに見守るルカ。
朋広は気づかず、
「なんや、この光、グラスのせいやろか?」
と独り言。
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奥のテーブルでは 伏見美琴 が資料を整理。
和服の帯飾りが淡く光り、桜核の波動が静かに漂う。
美琴も光の反応を察して穏やかに作業。
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入り口付近には 九条つばめ が座り、イヤーカフのダークな桜が微かに揺れる。
冥の影が店内にわずかに陰鬱な波紋を落とすが、朋広の行動や人助けによって徐々に光を帯びていく。
朋広は気づかず、
「なんや、今日はちょっと重たい空気やな」と呟く。
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奥の薄暗い席では 朝霧こはる が座り、スマホケースの桜チャームが微かに脈打つ。
こはるも装具の反応を理解して静かに微笑む。
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店内の光と影は桜と冥の波紋として静かに揺れ、
朋広の行動が冥の影を少しずつ浄化していく。
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朋広はノートを閉じ、
「今日も一日、まあまあやったか」と呟く。
夜の静寂の中、桜核は満開へ向けて波紋を広げ、
冥の影は微かに薄れつつあった。




