二百二十二話 — 図書館・夜の微光と冥の残響
閉館間際の図書館。
創作ラウンジには朋広と数名の利用者だけが残っている。
朋広はいつもの席に座り、ノートを開いて文章をまとめる。
「さて……今日も書き終わったか」
---
隣の席には 如月ほのか。
眼鏡越しに資料を読みつつ、髪留めの桜装飾が微かに光る。
ほのかはその反応を理解し、静かに微笑む。
朋広は気づかず、
「……なんや、光っとるな。新種の花粉か?」
と独り言で処理。
---
奥のテーブルでは 白鳥つむぎ がページをめくるたび、ヘッドホン型アクセサリーが揺れ、淡い光を返す。
つむぎも装具の反応を理解して静かに作業を続ける。
---
窓際の席には 九条つばめ が座る。
イヤーカフのダークな桜が微かに揺れ、周囲に陰鬱な空気が漂う。
朋広は気づかず、
「……なんや、今日はちょっと重たい空気やな」と呟く。
---
ラウンジの奥、薄暗い席では名前も装具も不明の影。
微かに揺れる光は冥の残響であり、周囲の空気に影響を与えている。
しかし朋広の人助けや善意の行動が、その影を少しずつ浄化していく。
---
朋広はノートを閉じ、
「今日も一日、まあまあやったか」と呟く。
静寂の中、桜核は微かに波紋を広げ、
冥の影は徐々に薄れて、満開へ向かう兆しを見せていた。




