第十九話 ─微光の兆し─
朝の光が差し込む京都市伏見区の団地。雨上がりの道路に光る水滴を眺めながら、朋広は原付を押して歩いていた。体の痛みはまだ残るものの、今日も自然と人助けのことを考えてしまう。
「……ほんま、いろいろあったな……」
ふと、遠くに倒れそうな影を見つけ、反射的に駆け寄る。
「大丈夫かいな!」
影の少女は制服姿で、緊張した顔をしてこちらを見上げる。雨に濡れた髪が少し光るだけで、年齢や名前はまだ分からない。朋広は自然に手を差し伸べる。
「えっと……ありがとうございます……」
声は小さく震えているが、どこか覚えのある響き。読者だけが気づく、その声の微かな記憶の残り香。
横から遠くで、気配だけを漂わせる監視者が一瞬光を放ち、少女に核を与えようとする。その力の一部はなぜか主人公の方へ流れ込み、原付とスマホに微かな変化が起きる。しかし、朋広は気づかず。
「よしよし、大丈夫や。ほな、ちょっと支えてあげるわ」
少女は頷き、ふらつく足を朋広に委ねる。その瞬間、首元のリボン型チョーカーが揺れ、ほんの一瞬桜色に光った。読者だけが見て、昨日の夜に助けた少女と同一人物かもしれないと匂わせられる。




