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百八十二話 — 月待庵・早朝の執筆 —

早朝、月待庵はまだ静寂に包まれていた。

外の街灯が雨上がりの路面に柔らかく反射する。

朋広はノートPCを開き、執筆の続きを始める。


「さて…今日はどこまで書こか」


背後で小さな光が揺れた。

桐生さくらの首元の桜装飾が淡桜色で、ふわりと弾む。


朋広が椅子を少し動かすと、光が小さく跳ねた。

さくらは軽く会釈して、静かに奥の棚へ歩いていく。



窓際の席では、朝霧こはるが資料を整理している。

スマホチャームの桜が薄桃色に光り、微かに脈打つ。


朋広が資料を手渡すと、光が小さく揺れ、こはるは視線を資料に戻す。



カウンター奥では、鴉谷りつがカップを手に座る。

首元のピック型ペンダントが濃桃桜色に光り、微かに揺れた。


朋広が椅子を戻すと、光がふわりと弾む。



三色の桜の光——淡桜、薄桃、濃桃桜——が店内に漂い、

互いに微かに重なり合いながら揺れ続ける。


朋広は文字に集中し、独り言をつぶやく。


「……なんや、今日は身体が軽い気ぃするなぁ」


誰も気づかない。

ただ桜の光と揺らぎだけが、静かな早朝の店内に残った。


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