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百七十八話 — 月待庵・閉店後の静寂 —

閉店作業が終わった月待庵、店内はほのかな灯りだけが残る。

朋広は資料をまとめ、椅子を整える。


「ふぅ…今日はここまでか」


背後で小さな光が揺れた。

桐生さくらの首元の桜装飾が淡桜色でふわりと弾む。


朋広が椅子を少し動かすと、光が小さく跳ねた。

さくらは会釈だけして、静かに奥へ歩いていく。



窓際の席では、朝霧こはるが資料を整理している。

スマホチャームの桜が薄桃色に光り、微かに脈打つ。


朋広が書類を手渡すと、光が小さく揺れる。

こはるはすぐに資料に視線を戻す。



カウンター奥では、鴉谷りつがカップを手に座る。

首元のピック型ペンダントが濃桃桜色に光り、微かに揺れる。


朋広が椅子を戻すと、光がふわりと弾む。



三色の桜の光——淡桜、薄桃、濃桃桜——が店内に漂い、

互いに微かに重なり合いながら揺れ続ける。


朋広は文字に集中し、独り言をつぶやく。


「……なんや、今日は身体が軽い気ぃするなぁ」


誰も気づかない。

ただ桜の光と揺らぎだけが、閉店後の店内に静かに残った。


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