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百七十二話 — 月待庵・深夜の棚整理 —

閉店間際、月待庵の店内は静まり返り、外の街灯の光が窓から差し込む。

朋広は資料をまとめ、椅子を整えながら深呼吸した。


「ふぅ…今日はここまでか」


背後で光が揺れた。

桐生さくらの首元の桜装飾が淡桜色で、わずかに弾む。


朋広が椅子を少し動かすと、光が小さく跳ねた。

さくらは微かに会釈し、そのまま奥へ歩いていく。



窓際では、朝霧こはるが資料を整理している。

スマホチャームの桜が薄桃色に光り、わずかに脈打った。


朋広が書類を手渡すと、光は小さく揺れ、こはるはすぐに資料に視線を戻す。



奥のカウンターには、鴉谷りつが座り、カップを手にしている。

首元のピック型ペンダントが濃桃桜色に光り、微かに揺れた。


朋広が椅子を戻すと、光がふわりと弾む。



三色の桜の光——淡桜、薄桃、濃桃桜——が店内に漂い、

互いに微かに重なり合いながら揺れ続ける。


朋広は手元の文字に集中し、独り言をつぶやく。


「……なんや、今日は身体が軽い気ぃするなぁ」


誰も気づかない。

ただ桜の光と揺らぎだけが、深夜の月待庵に静かに残った。


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