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第十七話 ─雨上がりの小さな奇跡─

朝、団地の窓から見える向島の街は、昨夜の雨で舗道が濡れて光っている。福田朋広は軽くストレッチをしながら、まだ鈍く残る体の痛みに眉をひそめる。


「……今日はちょっと体、調子ええんちゃうか」

天然の感覚で呟く朋広。59才の身体に見えるが、行動は自然で機敏。今日も何か起きそうな予感が漂う。


団地前の通りを歩いていると、向こうから賑やかな声が聞こえる。桜色のリボンを付けた少女、桐生さくらが誰かに声をかけている。


「お、お姉さん、これ落としました……」

「おお、ありがとうなぁ」

さくらが差し出したのは落ちていた手帳。

朋広は何気なく受け取りながら、内心で微かな違和感を覚える。


「……なんやろ、この子……どこかで……」

だが、記憶は霧のように流れ、すぐに消える。読者だけが察知する、小さな伏線。


そこへ、向島のコンビニ店員・高瀬みのりもやって来る。

「福田はん、今日はまた色々あるみたいやな」

「せやな、まぁ無事に済むこと祈るわ」

二人が微笑み合う瞬間、桜光が原付やスマホの端で揺れる。主人公は気づかないが、読者には「蓄積されている力」の象徴として描かれる。


その日の午後、団地近くの公園で小さな子どもが川に落ちそうになる騒ぎが発生。

朋広は自然に駆け寄り、片手で子どもを支える。

「おお、危なかったなぁ!」

子どもを無事救い出すと、母親は深く礼を言い、朋広は「いやいや、当たり前やん」と軽く応じる。


この一連の善意の行動が、桜光の蓄積に影響を与え、次回の変身や桜模様羽織・着物の登場につながる伏線となる。

雨上がりの街に、微かな光が漂う。

読者だけが感じる、不思議な温かさと未来への期待感。


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