表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

168/431

百六十八話 — 月待庵・閉店後の静けさ —

月待庵の閉店作業が終わり、店内は静寂に包まれていた。

朋広はノートPCを片付け、椅子を整える。


「さて…今日はこれで終わりやな」


そのとき、背後で小さく光が揺れた。

桐生さくらの首元の桜装飾が淡桜色でふわりと揺れる。


朋広が椅子を戻す際に少しぶつかると、装飾の光が小さく跳ねた。

さくらは静かに頭を下げ、そのまま厨房の奥へ歩いていく。



窓際の席には朝霧こはるが資料を整理している。

スマホチャームの桜が薄桃色に光り、わずかに脈打つ。


朋広が書類を手渡すと、チャームの光が一瞬弾む。

こはるはすぐに資料に視線を戻す。



奥のカウンターには鴉谷りつが座り、カップを手にしている。

首元のピック型ペンダントが濃桃桜色に光り、微かに揺れた。


朋広が椅子を戻す音に、ペンダントの光がふわりと弾む。

りつは無言で視線を戻す。



店内に漂う三色の桜の光——淡桜、薄桃、濃桃桜——

光は微かに重なり合い、中心に沿って揺れる。


朋広は手元の文字に目を落とし、独り言をつぶやく。


「……なんや、今日は身体が軽い気ぃするなぁ」


誰も気づかない。

ただ桜の光と揺らぎだけが、深夜の店内に静かに残った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ