148/472
百四十八話 月待庵の夜と柔らかな光
夜の月待庵。
ランプが柔らかく灯り、静かなバー風に変わった店内。
朋広はいつもの席でノートを広げ、静かに執筆を続けていた。
カウンターでは、桐生さくらがグラスを手に何気なく手元を整えている。
桜片の光が舞い、周囲の空気を柔らかく染める。
奥の席では、如月ほのかが資料を整理している。
桜舞いがわずかに反応し、光が静かに揺れる。
さらに別の席では、高瀬みのりがノートを開いて作業していた。
桜片の光が舞い、短時間20才姿の体感と重なって、店内は温かく柔らかな雰囲気に包まれる。
その時、隣のテーブルでグラスが倒れそうになる。
朋広が自然に手を差し伸べると――
桜核が反応し、短時間20才姿が発動。
手足が軽やかに動き、倒れかけたグラスを支えることができた。
体感の軽さを感じながら、「よかったな……」と呟く。
店内は桜舞いと光の揺らぎに満たされ、静かな夜のひとときが柔らかく流れていた。
