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百四十六話 団地廊下の午後
午後の団地廊下。
朋広は10階の自室へ向かってゆっくり歩いていた。
廊下の角で、荷物を運ぶ朝霧みくがバランスを崩す。
朋広がさっと手を差し伸べると――
桜核が反応し、短時間20才姿が発動。
手足が滑らかに動き、荷物を支え、転倒を防ぐことができた。
体感の軽さだけを感じながら、「よかった……」と呟く。
さらに廊下の奥では、香椎天音が郵便物を整理している。
桜舞いがわずかに反応し、光が揺れる。
階段の端には、鹿島りんが小物を並べていた。
桜片の光が舞い、柔らかな揺らぎが広がる。
廊下全体に桜舞いが漂い、短時間20才姿の体感と重なって、午後の静かなひとときは温かく包まれていた。




