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百三十四話 アパートの窓辺と揺れる桜
向島の14階建てアパート10階、朋広の部屋。
午後の日差しが窓から差し込み、部屋の空気を柔らかく温める。
朋広は机に向かい、ノートパソコンを開いて執筆を始める。
「今日も手がよく動くな……」
20才姿の軽快さが自然に広がり、手足の動きが滑らかになる。
部屋の隣のベランダでは、鴉谷りつが楽器の練習をしている。
桜片の光が淡く揺れ、ふわりと舞う。
朋広は特に意識せず、「助かるわ」と軽く頷く。
少し離れた階段踊り場には、朝霧みくが何気なく掃除をしていた。
桜片の舞いが柔らかく揺れ、光が穏やかに変化する。
朋広は体感で滑らかさを感じながら、「今日もええ感じやな」と呟いた。
部屋の窓の外、アパート全体の桜も、濃く揺れていた光が徐々に柔らかく揺れ、周囲の空気は落ち着いた空間に変化している。
枯れた枝も目立つが、主人公の自然な善意行動で光や桜舞いは回復していた。
朋広はただ執筆に集中し、アパートの窓辺の静かな桜舞いに身を委ねる。
何が原因で桜の光や舞いが変わったのか、彼にはわからなかった。




