〔暁桜ルート〕 第3話「街角の桜色、無自覚の旋律」
退院した翌日。
京都市伏見区の団地前、14階建ての10階から外に出る朋広。
胸ポケットのスマホ型装具は微かに光る。本人は「スマホ、最近なんか反応早いな」としか思わない。
原付に跨り、職場の名古屋まで向かう。
原付は核の力で改善され、少し派手な桜色の原付になっている
着ている服は桜模様の羽織と桜色の着物だが、本人は違和感なし
雨上がりの路地、街中の人々のシルエットがちらちらと映る。
コンビニ前に、花房るりが立っている
道を渡る途中、九条つばめが小さく躊躇する
誰かがガソリンスタンドで荷物を拾う手伝いをしている
朋広(心の声)
「……ちょっと手助けするだけや。礼はええ」
自然な動作で立ち寄り、困っている人を助ける。
胸ポケットの光は微かに揺れる。
誰の想いかは不明
読者には「光が何かの信号かも」と分かる程度
道の隅で、一人のシルエットが急にこちらを見ている。
女性か男性かは不明
胸ポケットの光が少し濃く揺れた
朋広(心の声)
「……なんや、変な気配……まあええか」
原付で先に進むと、街路樹の下で落ちそうになった小物を支える。
光は少し桜色に濃くなり、微かに温かい感覚が胸に広がる。
本人は気にせず、ノリツッコミ混じりに「おっとっと」と声を出すだけ
街を進む間に助けた人々の顔や名前は見えず、礼も受けずにその場を去る。
それでも胸ポケットの光は少しずつ揺れる
読者は「誰かの想いが主人公に届いている」と感じる
午後の光が街を包む。
雨上がりの水たまりに映る桜模様の羽織と着物。
20才姿に変身した体感で身体は楽だが、本人はまだ自覚なし。




