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第七話  確率0.0000000000001%の恋

その夜、アーカシ姫さまとオリビアは、いつものように同じベッドで手をつないで眠ろうとしていた。実際眠りに入ってしまうと指は自然にはがれ、オリビアはアーカシ姫さまのイビキにうなされてしまうのだが、せめて今だけはロマンチックを繕いたいのだ。



「おい、オリビア、そっち向け」



アーカシ姫さまがオリビアを反対向きに転がした。これではオリビアがアーカシ姫さまの寝顔を見ることが出来ない。ずりずりとオリビアの背中に近寄ったアーカシ姫さま、いや、アーカシ・ウォンターナは、オリビアの背中に抱き着いた。



「…………へへへ。」



アーカシのいたずらな笑い声。彼女がオリビアに甘えている。何てことはないが珍しいことで、ふたりがモフモフに乗って移動するときは常に逆の体制でいるものだから、ふたりとも新鮮な感覚を得ていた。



アーカシ・ウォンターナは本心が隠せない

オリビア・フェルナンデスに愛されたい

それはまるで麻薬のように彼女を狂わせていく

ずっと側にいてくれるオリビアに全てを奪われたい

ふたりで犯す禁忌の罪悪感が

ふたりを繋ぐ永遠の指輪

ふたりで眠りにつきましょう

ふたりが沈む湖の底で



「…………あ……ああ……」



オリビアは背中に感じるアーカシの温もりに震えていた。それは神聖な喜びだった。オリビアはかつて侯爵家で飼っていた子猫が足元に体を摺り寄せてきた瞬間を思い出していた。あの時感じた愛しさ、尊さ。オリビアは今、アーカシに対する恋心が、更なる高みに昇華していくのを感じていた。



オリビア・フェルナンデスは変わらない

アーカシ・ウォンターナを愛したい

それはまるで信仰のように彼女を狂わせていく

ずっと側にいてアーカシの全てを奪いたい

貴女が私を愛さなくとも

貴女を私が愛します

貴女が私を忘れても

貴女を私が見ています



宇宙が誕生し地球が生まれる確率0.000000000000001%

地球に生命が誕生する確率0.00001%

人類が生まれる確率0.0000000000001%

つまりアーカシとオリビアが出合ったことは

運命と奇跡の実在証明

愛し合えばそこが異世界であり、物語の始まりなのだ

理屈など考えるだけ無駄、黙って事実を受け取ればいい



アーカシに背を向けた形のオリビアだったが、彼女にはアーカシの全てが見えていた。前世を含めウォンターナ王家のことすら必要以上には話さないアーカシだったが、オリビアにとってもどうでもいい話だった。だって過去は見ることが出来ないし、未来を見ることで頭がいっぱいなのだから。



◇◇◇



ずちゃり……


ずちゃり……


ずちゃり……


ずちゃり……


廃墟の旧都、ミソノ・ユニバ。街の大通りは夜の静寂に包まれ、深い霧が立ち込めていた。もう少し明るければ、街の人々も霧の不自然な黒さに気付けたかもしれない。しかし誰もが眠りについた最悪のタイミングで、それは始まってしまったのだ。


ずちゃり……


ずちゃり……


ずちゃり……


ずちゃり……


赤い武者が主従五騎 (5人) 、ついにこの地へ辿り着いた。長旅に疲れ果て、飢えに飢えた彼らを満たす晩餐会が、今夜この街で開催される。



「各々 (おのおの) 方、疲れたであろう」



赤い武者のひとり、頭領の舎利丸が彼らに慰めの声をかけた。しかし彼らは空腹でそれどころではない。



「思えば長い旅路でござった……」



舎利丸の言葉は続く。しかし彼らは空腹でそれどころではない。そんナことは良いから早く何か食わセろ。



「あれは確か夏の日差しが眩い頃に……」



赤い武者の部下四名、空腹が押し上げる舎利丸への怒りが抑えきれるかどうかの我慢大会が始まっていた。そしてそれは限界を迎えていた。



「……というわけで、これから女神への祈りを……」



ずちゃり。


赤い武者のひとりが舎利丸の前に出た。無言だった。しかしその面頬 (フェイスガード) に流れるはずのない涙がこぼれていた。



「……わ、わかった、話が長かった、すまん」



舎利丸は部下の溢れる殺意が自分に向いていることに焦り、要件を手早く済ますことにした。何より彼自身空腹で立っているのも困難なのだ。



「では諸君、宴 (うたげ) と参ろうではないか」



俄然やる気を取り戻し、拳を握る赤い武者たち。待ちに待った食事の時間だ。食って食って食いまくるぞ!舎利丸は高らかに彼らへ宣言する。



「さあ、この街の連中を気の済むまで食い殺すがいい」







【子猫が足元に体を摺り寄せてきた瞬間】

──注釈

この瞬間を超える喜びを筆者は知らない


「…………あ……ああ……」


これはその時私が実際に出してしまった嗚咽である

三毛猫とサモエドが国政に出れば、私は選挙区に住所を移して投票をするだろう


◇◇◇


エッセイというか好きな事を好きなように書いている


「背徳と冒涜、闇の使者【エッセイ】」


の現時点での最新話


「頭痛が酷いので暫く休養するっす、小説のイラストをAIに描いてもらった」


の回で、AIによるアーカシ姫とオリビア、そしてモフモフを画像として出力してもらった。正直自分のイメージ通りかといえば悩ましい所ではあるが、機会があればご照覧あれ。一笑してもらえたら幸いである。

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