1話 まだ見ぬ世界の頭上で
体が軽い。
あれ?私は男に刺されて死んだはずじゃ…。
とりあえず目を開けると辺り一面に雲しかない。
ここは、
「天国?」
思わずそんな言葉が口をついて出た。
その時、頭の中に言葉が響いた。
『ここは、天国ではない。お主達の言葉で言えば異世界というやつじゃ。』
「異世界?どういうことですか、私は死んだはずじゃ?」
『お主が死ぬ寸前、お主の魂が見たこともないくらい輝いていた故、私がこちらに送ったのじゃ。』
「では、ここが異世界なのですか?」
『ここは世界の天上じゃ。とりあえず事情だけ説明しようと思ってな。』
「はぁ。ところで、あなたはどなたですか?」
『ああ、そういえばまだ名乗っていなかったな。私の名はエウロペ、この世界を創造したユーピテルというお方の娘じゃ。』
「それで、私は何をすればいいのでしょうか。」
『主は主の生きたいように生きろ。私はそれに同行させてもらうぞ。』
「いいですけど同行ってどうやって…?」
『今お主は見えない私と言葉を交わしているじゃろ。』
「はい。」
『それは私がお主に憑依しているからじゃ。こうすれば問題もなかろう。』
「まあ、よく分からないですけれど、とりあえず分かりました。」
『物分かりが良くて助かる。そうじゃ、せっかくだし主に名前を与えよう。』
「名前ならありますけど…」
『そうじゃない。この世界での名前のことじゃ。私が考えてやる故、主は私とのファミリーネームを考えてくれ。』
「分かりました。では、『アイテール』という名はどうでしょうか。」
『いい名じゃな。主は名は「イーリス」。これからは「イーリス・アイテール」と名乗るが良い。』
「ありがとうございます。」
『この世界のことで分からないことがあったら私に聞いてくれ。それと、これから敬語はなしで頼む。これからは、友達ということでどうだ?』
「ありがとう。エウロペ。それじゃあいざ異世界に出発だ。」
こうして私は、名前と頼もしい友達ができ、異世界に飛び出そうと思ったのだが、エウロペに止められた。
『待て。最後にオーラの抑え方や、魔力の抑え方についてレクチャーしておくぞ。』
「どういうこと?」
『いま、主は種族が天使になっている故、人間や魔物などの周りの生物への影響が強いのじゃ。』
「天使?」
『そうじゃ。自分の体をよく見てみるがよい。』
そう言われてエウロペからもらった鏡で自分の体を見ると、驚くほどに変化が表れていた。
顔はそのままだが、濡れ羽色の長髪は、肩の下にかかるくらいに短くなり、色は白銀に変化していた。
さらに、赤色の瞳は、サファイアと見紛うような透き通るような青色になっていた。
「これが、私…?」
『そうじゃ。これで理解できただろう。一回しか教えぬからしっかりオーラや魔力の制御を覚えるのじゃぞ。』
「うん。わかった。これからよろしくね、エウロペ!!」
そうして、私はエウロペに色々教わり、これから異世界生活を始めるのだった。




