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ドイツっ娘魔法少女とアマアマ奴隷生活♥  作者: 黄田田
第1章:非現実な人生の終わり
8/9

オリヴィア・マルレーン・バウムガルトⅠ

神を知らぬ者は心に言う

「神などない」と。

人々は腐敗している。

忌むべき行いをする。

善を行う者はいない。


神は天から人の子らを見渡し、探される

目覚めた人、神を求める人はいないかと、と。

だれもかれも背き去った。

皆ともに、汚れている。

善を行う者はいない。ひとりもいない。


「どうか今宵こそは、彼に合わせてください。最後なんです、逢瀬とは言いません。ただ彼の顔が見たいだけなんです」


それが彼女の最後の言葉だった。星々が浮かぶ絶望の丘で恋に窶れた敗者は汽車に撥ねられてその生涯を終えた


「あぁ君。そんなに絶望しないでくれ、どんなに努力しても手に入らないものだってあるよ。高嶺の花だというだろう、いくら手を伸ばしたって頂にあるものに届きはしないんだ。そんなものに心を委ねたら墜ちてしまうよ」


「類型的な、破滅する恋だったんだ」


劇場の最奥にいるもの。それは荒野に居住し、荒野に捕らえる者。堕天使アザゼル、人をも恐れぬ反逆者のなれ果てがそこにいた


7の蛇の頭はこちらを睨み、ドクンドクンと胎動する赤い部屋の中はさながら蛇殿の獄だ。鱗の模様のような縞がついた部屋はどうしたって蛇の体内に見える


「やっぱりお前だったのね、アザゼル。こんな肥溜めで何をしていたかと思えばドラッグ狂いの腐った躰を啄むことだなんて、天下の魔人様もずいぶん矮小になったものね」


アザゼルはその臙脂色のでっぷりと肥えた体を震わせながらどこか穏やかな様子で語り始めた。こちらに関心がないのかまるで腫瘍のようについているかのようなその14の顔も、今はすべてどこでもない虚空を見つめている

【あぁ久しいな。愛が目覚めた日。よみがえる“しあわせ…!”お前という男はあの時娶った女と相似している姿をしているじゃないか!】


アザゼルは埃まみれの玉座のセットに座ったまま動かない。ただ一点を、武の頭上を凝視しているように見える


「お前、何言ってるわけ?さっきから。あぁついに頭がお釈迦になったのね。このモウロクジジィ、不死身だからって鷹を括ってついぞ永久の前にひれ伏したわけか」

【あぁ、懐かしい。彼女もそんな天に祝福されたような美しい金髪をしていた、名前は確か…ナタニアだったか。なんと愛い娘だったことか】


頭に響くようなエコーがかった特徴的な声だ。日本語を話しているかも怪しいはずなのに、すっと頭に入ってくる


「ほら、武これが昔の思い出しか話さない老人というのもよ。長く時を生きすぎるとSAVを多く保った高位存在といえどこんな感じでボケちゃうから気をつけなさい」

「最もお前の魂は再誕しているから永劫に若いままだろうけど」


と、付け加えるオリヴィア。武はその痰の混じったような喧しいまさに老爺といったアザゼルの嘆きをただ懐かしそうに聞き入っていた


【あぁあの懐かしき黄金の昼下がり!!宴もたけなわ、お空はすっかり黄昏た。稚き夢にあふれたあの時間は、もうない】


周囲の癪気が一層濃くなる。シャンシャンとどこからか鈴が鳴り響き、武はアザゼルと同調するようにその蛇殿の奥へと、アザゼルの体内に入ろうとする


「…はぁ、まったく」


オリヴィアはこの展開を見越していたかのように機構を展開するとレーザーを肉の塊に向けて一斉掃射した


たちまち轟音と熱に包まれる室内、だがどこ吹く風かのようにアザゼルは何事もなく鎮座していた。気絶した武をその腕に抱きながら


【あぁ…かわいそうに、こんなに傷つけられて。貴様らこの子にいったい何をした?】

「あたしの物に触るな!!!!」


オリヴィアは黒茨を形どった魔力の塊をアザゼルへと伸ばすがまるで力の理が異なるかのように届かない


【“物”だと?聞き捨てならんな。魂は誰のものでもない、強いて言うなら神の物だ。貴様ら天使はいつもそうやって尊厳と権利を踏みにじる、それがどれほど愚かで嘆かわしいことかも知らずに】

「はっ、堕天使が因果の行使者たる私に権利を語るか!堕天使の罪業は未来永劫消えることはないのよ。こいつはそれを償っている最中だ、権利なんてない!自立なんてない!肉も魂も、天使たるあたしのものだ!」

【その「因果」というのも怪しいな。それは貴様ら天使の存在・認識構造に根ざした観念だろう。この少年は執行者といえど人の器なのだから人間の観点の「因果」から考えるべきだ】

「ほう、では自分たちがしたことは罪ではないと?神に対する裏切りではないと?」

【確かに我々は罪科を負った。だが執行者の少年たちは気の遠くなるほどの時間を輪廻しながら修行を積んで果てに仏になったのだ。もう成仏させてやれ】

「今度は仏教か!なら私は最初から悟った存在だから凡夫相手に何をしたって問題ないな。だいいち武は何も傷を負っていないじゃないか。このあたしが下僕に傷一つつけるわけがない、こいつの絹のような肌はへその穴まで健康のままだ」

【本覚思想はそういうものではない!体は無事でも精神の瑕疵は凄惨だ。まだ15歳の少年なんだぞ。性的な嫌がらせもされているな、穢されてしまっている】

「ふん、とうに穢れた身でしょう。むしろ、有効活用されることに感謝することね」


アザゼルはこの世の無情を嘆いた。どうして天使という存在は美しい男性を蹂躙するのが大好きなのだろうと、今まで遭遇した彼女たち皆がそういう癖を持っていた


【あぁ…なんと、人の娘が美しいのを見て堕天したというのに今では生娘めいた顔になって、我もこのような怪物の姿になってしまうとはな。摘みて枯れたる花環よ、どうか許してくれ。我ではこの悪童どもは止められるのだ】

「あらようやく諦めたの?やっと死ぬ気になったのね?その妙な障壁を解いたらお前の未来すべての時間を破壊できるのよ。早く死ぬなら死んで頂戴。いや死ね、さっさと死ね、死ね」

【確かに我々は墜ちた身だ。天に一度歯向かったみだ、因果の超脱は望むまい、だが死の尊厳は守って見せる。否定の概念といえ愛しき我らの主が母なる大地たる地球に遣わした贈り物なのだから】


アザゼルは蛇殿と一体化し、劇場と一体化し、剥がれ落ちる物すべてを食らい、巨大な邪悪の化身…荒野の大魔王らしい姿に変貌していく


【この少年は死体だ、既に終わっているものだ。これ以上の凌辱劇はもう続けさせない。天使を騙る放蕩者どもの悪辣なグランギニョルはもう終わりだ】


解放を望む堕天使と、永遠の忠誠を渇望する天使との聖戦が始まった


【何故貴様ら天使は悪徳を尽くすのか】


オリヴィアは触手と共に浸食してくるアザゼルの糾弾を聞いて、過去を、あの修道院での日々を思い出していた


美徳だ悪徳だと、情欲が第二の衝動でしかないといったい誰が決めつけたのであろうか、凌辱こそが悪徳だ、悪徳は不幸だと、誰が手前勝手な仮説を押し付けるのであろうか


オリヴィアは、あたしは思いだす。自身の根幹部分を作り上げた核たる家を、最高で最悪な記憶を


そしてそれに随伴した悲愴に満ちた悲しい悲しい恋の顛末を




***

あたしは、オリヴィア・マルレーン・バウムガルトは故郷ドイツハノーファーの森深くの集落にある修道院でずっと暮らしていた。親という存在はいなく、尼の老婆たちだけが世話をしてくれる雄一の存在だった


今思い返しても地獄の生活だったと言えよう。尼どもは「お前は神に選ばれた御子なのだから」といって割礼と称して私の体を切り刻む。女性器の一部を切り落とされ、二度と子供が産めない体に変えられようとしていた


そんな狂気に満ちた境遇の私を救ったのは相反する主義主張を掲げた修道院のトップ二人だった


神と美徳を愛し、仁と人間の恒常的な善を為そうとしていたコルネリア


神と悪徳を愛し、悪事こそ人間の本質とし、耽溺の限りを尽くしていたジョゼフィーユ


そんな全く正反対の院長である彼女二人の背中を見ながらあたしは育っていったのだった


「いいかい、オリヴィア。この世のあらゆる出来事において、絶対という言葉は、保証はどこにもないんだ。節制や純潔などの世間一般に“良い”とされている美徳は人間が自己の快楽や利益を抜きにしてひたすら社会全体の幸福に進むだけのイデオロギーの一種にすぎないのさ」

「だから結局徳、恩恵を得るためには自分の利益も欲もすべて忘れて他人の幸福しか考えてはいけないということになる。だが他人はお前のためになることはしてくれないね、個人の利益と全体の利益は相反する。社会にとって役立つものを美徳と呼ぶなら、社会の個々の成員に役立つものをまた同じ名前で呼んでもいいわけで、私にとってこの燃ゆる情欲をいったい社会とやらがどうやって鎮めてくれるのかという話になるからだ」

「そこで葛藤の声を取っ払って完全に個人の、自分の利益を選択するとどうなるだろう。法律にひっかからなければ完全に幸福になれる。そしてこの法律というのがみそでな、これは自然のものではない。性欲は本能の一つで、神が我々に与えてもうた自然の声そのものだ。そこで葛藤の声とやらがただ煩わしいだけの教育ないし偏見の雑踏でしかないと気づけるだろう。これを踏まえて美徳であるか悪徳であるか、どちらの勧告に身を任せるべきか、優位性はどちらにあるかよく考えてみなさい」


ジョゼフィーユはそう教えて、奥の部屋へ消えていった。女たちの嬌声が聞こえる


彼女はここの一角を妓楼として運営していて、さながらこのエーバーハルト修道院の裏側の支配者と言えた。容姿の方も派手派手しく着飾り、顔は決して良くはなかったものの媚態の技巧がうまく、煌びやかな貴族夫人然に見せている


一方コルネリアの方はやや下膨れが目立つ素朴な処女らしい風姿で常に美徳と礼節を説き、貞節を誓い無原罪の御宿りを信じて茶色の修道服を着ていた。


「あぁオリヴィア、ジョゼフィーユの言い分を信用してはいけませんよ。真に仁を志せば悪なきなり。人間何よりも仁と美徳が大切なのです」

「不仁者は志、己の利を安んずるにあり、仁の本質は己の抑制と他人への不忍です。道心を強く保って、堕落した人間とは付き合わないようにしてください」


あたしはコルネリアの教えの方が好きだった。だって人間普通の道徳さえ持っていれば普遍的な方向へ流れるだけじゃない?ジョゼフィーユは頭がイかれていたし、常時香水と愛液の匂いが鼻につく人間なんて慕いたくないわ


だけど、どちらが優れているかは当然だった。二人には確実な隔たりがあったのだ。それは、富の格差ということ。端的に言えばジョゼフィーユは娼館の経営者で金満。コルネリアはただの片田舎の修道院の尼僧


それは恋愛において最も大きな意味を持つ


富貴には他人集まり、貧賤には親戚も離るということを


この修道院に下男として奉公しに来たラインハルトという男はそのサンマロの海を閉じ込めたかのような青い瞳といい美と豊穣の女神たるフレイヤがごとく美しく、修道院の誰もが魅了されていた


コルネリアも例外でなく普段あんな節制節制喧しいのにあの極端に色白な肌と天にも昇るような愛くるしい美貌にすっかり参ってしまったらしく


ラインハルトにかなり入れ込んで小さな宝石や香水などを送ったのだが、俗物で何より美しいものに目がないジョゼフィーユが彼を取り込まないわけがなく、彼女のそれとは幾段と大きくて傷がない10万ユーロもするダイヤモンドや乳香の香水、エギュベルのリキュールなんてものを彼はすでにもらっていたのだ


齢13にして女心を弄ぶ悪女…(この場合桂男とでも言うべきか)の少年は当然とばかりに彼女の気持ちを無視してあの道楽者の懐にまで行ってしまう。しまいにはどんな屈辱的な、冒涜的な仕打ちをされても頬にたたかれる金をありがたがる始末


憐れなコルネリアはすっかり彼を正道に戻すと意気込んでしまって、あたしの忠告も無視して毎日彼に説教とばかりの熱烈なアピールを繰り返すだが(36歳の女性がだぞ?)彼はそんな陳腐なものより院長の猥雑な囁きや俸給としてもらえる月2万EURの有価証券の方がいい!とその形の良すぎる唇を震わせながら駄々をこね、ジョゼフィーユの肉欲が垣間見える手を取って笑いながら去って行ってしまったのだった


二人は結婚し、コルネリアは独りに、本人曰く一生に一回しかないほど運命の出会いだったらしく完全に打ちのめされ、神への忠誠はどうしたのか禁忌とされる自死を驚くほど即座に選択し、丘の上の線路で肉塊に成り果てたのだった



ただ仁者のみが貴賤や親疎を乗り越えることができるのではなかったのか。あたしは見苦しいものを見せられたという怒りとやるせなさがこみ上げてこの行き場のない感慨をどうすればいいのかと考える内に自然とジョゼフィーユの元までいっていた


そこで知ったのだ、美徳というものの空虚さを。ジョゼフィーユは多種多様な悪徳と自然(神)に対する教えを私に授けてくれた


「この狂った世界においては勧善懲悪なんて幻想は存在しない。考えてみなさい。この世界の構成が善と悪の総和で決まっていると思うか?そんな訳がない。ほとんどが黒でも白でもない、その中間だ。そして取り立てて善玉でいる必要もなければ悪玉でいる必要もない。だが安全な道は悪にある、凡夫はよく悪人ばかりが得をして善人は不幸になるというが真っことその通りだ。美徳は悪徳に対して抗うべき力を持っていないからである。“善性を持った”人間なら詐欺欺瞞上等の高利貸しなんてできないだろう?手段や義心を顧みない人間は社会で成功しやすいのだよ。それに、天ですら 立法者のドラコンのように時にもっとも責務を果たしただろう仁者を打ちのめすことがあるというのに運命という気まぐれな存在が悪人ばかりを贔屓しないとい保証がどこにあるというのか。つくづくいうようだがほろびゆく善人の仲間入りをするよりも、 栄えゆく悪人の味方になった方がはるかに堅実的なのだ」


彼女曰く「だいいち罪というのも曖昧だ。何をもって悪人なのか?一般に呼ばれている罪は人間が法律と呼んでいるものの形式上の違反であり、法というのは土地土地の風土風俗によって変わるものだから、これだけ放埓な概念もない。天使は空を飛べるのだろう?例えばお前が今日ミュンヘンでどれだけ悍ましい行為をして終身刑になったとしてもどこか別の土地、アフリカの辺境か極東あたりに飛んでしまえばその行為が称賛されている可能性もある」

「よって罪という概念は自然の、神から見た視点によって考えるべきなのだ。われわれの行為はすべてそれ自体においては無差別で善でも悪でもない。たまたま人間が聖書や法案やらなんやらで善とか悪とかいう区別を設けただけで自然という面のみから観察するなら ば、われわれの行為はすべて完全に同等なものでしかない。本来ならば殺人すら許されるのだよ」

「殺人も、捕食者のそれと何も変わらぬ。ある行為がいかに悪的であるかを判断するにはいかに自然を侵したか調べなければならない。なぜならば人間は、自然の法則を侵犯するもの をしか、悪として合理的に区分けすることはできないからである。だが自然はあまりに強大で神はますます偉大であるためこれに侵犯するようないかなる罪も方法も一般にはありえない。どれだけ冒涜的な行為をしても絶対に自然というものを侵害するには至らないのだ。それこそ傲慢だよ、自然の再生には死を必要とする。天は我々にティベリウスやヘロデだとかカラカラだとか最近だとヒットラーや毛沢東などの暴君、黒死病等の大規模な破壊も自然の賢明な手が生者必滅の法則に則っただけの行為であり、羅列した悪人どもは自然にとって有益な存在でもあったわけで、無秩序なくして秩序は存在できないという。なぜ星々は規則的な動きをすると思う?そこに無秩序があったからだ!周期的な運動から振動する活力に満ちた粒子を生むには不調和と破壊と対立が必要なのだ」

「よって、自然が存在しているのも罪の力、悪の働きによるものであって、破壊というのもが自然にとって本質たれば破壊のために産まれてきた人間がどうしてその傾向に逆らう必要があるというのか。なので私はこの尊き殺人衝動を抑制する必要もないし、むさぼられるだけの、自然が設けた弱者と強者の事実から目を背ける必要もないね。鬱陶しく手前勝手に自然の下から離して教科とやらを望むなら一矢刺し違えてでも報いを与えてやる始末だよ」


そこから2時間ほどいかに美徳や仁といった“慣習”の言葉がいかに煩瑣であるか語った後、おもむろにジョゼフィーユは彼女の後宮(ハレム)に向かった後、見事ラインハルトを絞殺した後その死体を犯したうえで(なんと物を内部から添え木で固定して)バラバラに解体し、コルネリアの腐肉といっしょに庵付近の肥溜めに捨て去ったのだった



こうして何年かが過ぎあたしが淫らで勢いだけの良いverrücktなこのエーバーハルトの巣窟から去る時が来た


「天使は好きな執行者を一人、下僕に選ぶことができるんだよ」


ということであたしは武の表現することすらおこがましいような愛くるしさと美しさが調和した顔つきと、月のかけらを集めたような白皙とほっそりと華奢な体つき(まだやっと10歳だった)を気に入って極東、ヤーパンに旅立ったのだった




***



「食らいつけ、青銅の蛇よ」


オリヴィアが詠唱すると灼熱の炎が蛇の姿を象って現れる。熾天使(セラフィム)の力を解放する気は無かったが、思いのほかアザゼルが弱くなっていたのでここで二度と復活できないように灰にまるまで焼き尽くしてやろうと考えた


「アッハハ!良いざまね糞ジジィ!神の如き強者も、今は見る影もないわ。このまま焼き果てなさい」


劫火に巻かれるアザゼル、醜く老いた体を、罪人の魂を食らって復元しようとしてチンピラばかりの劇場に入っていたのだろう。そんな下等にまで落ちた存在を、無慈悲の権化が生きて返すはずがなかった


熾天使(セラフィム)のその身は神への愛で燃えていると評されるが、実際は身に着けた機構に火炎放射だろうが放電だろうが何でもできるまさに神の剣ともいえる主砲や副砲、対空砲なんかを無限に有しているので、それを展開する様が、熱で赤くなる鋼鉄の機械と同様に織しているように見えるだけだ


「はい、ナパーム弾」


竜のような外装の主砲から焼夷弾が発射され、更にアザゼルを燃やしていく。蛇の鱗を持つアザゼルだが真っ赤に染まり、その命の炎もくべられようとしていた


【色即是空。この肉体を失おうとも、魂まで燃やされようとも我の高潔な精神は滅びはせぬ。貴様ら天使が行っていることは許されることじゃない。あの計画だってそうだ、サリエルを殺した時から神を顧みなくなった時から、いや、人の器に頼ったときからすべてがおかしくなったのだ!】

【あの少年に伝わってくれ、人生に絶望するなと、いずれあのお方が助けてくれると。どうか、どうか生きていてくれ、決戦の日は近いのだ】


灼熱の蛇が7つの蛇を食らう。凄まじい山羊のような断末魔と共に魂の残滓まで焼却され焦げカスになったかつての大天使。最後は、過ぎ越しをまつかのような希望を持った表情で気絶していた武を見ていた


「…?なにか御託を言っていたかしら。まぁいいか、どうせ与太でしょう」

「それより」


オリヴィアは黒き破片には目もくれずくるりと振り返ると穏やかな表情で気を失っている武を、極上の馳走を見るような表情で確認する


「どう、これを処理したもんかしら。このあたしの前で寝るなんてことは悪戯されてもいいです。どうかおれを犯してくださいって意味よねぇ…」


決めた!と邪悪な微笑みを浮かべて宣言するオリヴィア


「一度死刑にしてから、ねっとりと愛してあげましょうか」


死の安息を愚弄することほど面白いものはない。どうせ復活させられるのだ、ジョゼフィーユのように死体を凌辱してみよう


「まずは家に持ち帰らないといけないわね…できれば行為しながら殺したいから、運んでいるときに起きたらその時は…」


どこか妖艶な表情で極めて残忍な筋書きを立てていくオリヴィア。武をお姫様だっこして飛翔するとどこまでも高らかに笑った


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