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親友とうざ絡み

少し短いです。(定期)

「とんでもない目にあった……」


 琉花が帰ってから、光は奏にふたりの関係について更に根掘り葉掘り聞かれた。


「そんな聞かれてもなにもないっての」


 まあ、帰りに夜ご飯の余り物もらえたからチャラにしよう。

 ふだんデリバリーしかしない高校生にとっては、余り物とはいえありがたい限りだ。


「ふぅ、今日はカレーだ〜」


 伸びをしながらだらしない声を出す。

 どうせ隣はいないし、部屋も一人だ。

 まあ、このアパートの防音、セキュリティはほぼ完璧と言えるぐらい固いのだが。


「ほ〜んと、管理人が悪いわ〜」


 冗談を言いながらカレーの入ったタッパーをレンジに入れる。

 普段はご飯の前に風呂に入るのだが、今日は特別だ。


「精神すり減らして腹減った〜」


 カレーを温めている間に今日の分の小説を書く。

 ついでに、今日相合い傘をして感じたことも書いておく。


 作家にとって、リアリティのある体験は貴重な資料だ。

 今回のことも喜んで参考にさせていただく。


 それにしても、


「女子ってほんとにいい匂いがするんだな」


 至近距離でいる間、琉花からはずっといい匂いがしていた。

 あの匂いを『フローラル』とか言うのだろうか。


「それに最後の……」


 正直、あれは反則だ。

 最後にあの演技はずるい。

 なんというか、


「心臓に悪すぎるだろ……」


 そのままぽけ―っとしていたら、レンジがなった。


 カレーを取り出して、冷凍ご飯を入れる。


「なに考えてんだ。今日の分、出さないと」


 ウェブ小説の世界は戦争なのだ。

 よっぽどいいものでない限り、二、三日出さないだけですぐ飽きられる。


「え〜と、」


 今日は――。


「いつものやつの続きか……」


 ちょうどいい、のかは知らないが、二回目の相合い傘回にすることにする。


 そうこうしているうちにレンジの音がなった。


 ご飯もしっかりと暖かくなった。

 ミネラルウォーターと一緒にテレビの前の机に持ってきてと。


「いただきます」


 がっついてカレーを食べる。

 ここらへんは高校生の男の子だ。

 それにしても、


「あいかわらず、料理が上手いな」


 奏さんからはよくご飯をもらっている。

 高校生が一人暮らしということもあり、良いように見てもらっている。


 二十歳で親のアパートの経営の手伝いとしてこのアパートの管理を始めたらしい。

 ちなみに奏さんの今の年齢は二十三だ。

 去年、大学を卒業したばかりだ。


 料理ができて家事もできて面倒見も良い。


(モテるんだろうな〜)


 きっと管理人の仕事が忙しくて出会いにかまけている暇がないのだろう。


 それで光に気遣う余裕も見せてくるのだから、


「すごい人だな」


 とりあえず、今は味わってカレーを食べる。

 明日タッパーを返すときに気持ちを込めてお礼を言おう。


 これはいつも思うことだった。


 そう言っておかわりのご飯を温めに行く。

 結局ご飯を食べたあと寝てしまい、次の日の朝に急いで風呂に入ることになるのだが、それはまた別の話だ。







「おはよう、光」

「おは、慧人」


 次の日。

 光と慧人はいつもどおり話していた。


「そういえばさ、昨日の雨大丈夫だった? 陽衣が帰るときにちょうど降ってきたんじゃない?」

「ああ、まあな」


 ちょっとした世間話をしているとき、昨日の雨の話になった。


「昨日、傘持ってなかったでしょ?」

「ああ〜、事務室で借りたんだよ」

「なるほどね。お得意の裏技か〜」

「そ、そういうこと」


 光がよくこういうことをすることを慧人は知っている。

 そのため、いつもはそこまで深く掘らないのだが――。


「そういえば、今日の朝、皆川さんが傘を持って事務室に入っていくところを見たんだよね」

「………」


 今日はどうやら違ったようだ。


「皆川も傘、借りたんだろ。あいつ、頭いいし」

「へえ、珍しい。普段は、『そうか』で済ませるのに」


 うざい。

 こういうときの妙に鋭い慧人はうざい。


「ねえねえ、昨日なにかあった?」

「なんにもない」


 慧人の顔はまるでおもちゃを見つけた子犬だ。

 イケメンなのに可愛いとかチートだろ。


「なにか会った?」

「微妙にニュアンスを変えてもなにもないぞ」


 なにもないったらなにもない。

 美少女のいい匂いにドキッとなんかしてない。

うざ絡みをする慧人くんでした。一応、このふたりの関係は平等なのですが、今回は慧人くんのほうが上ですね。


※タイトルを少し変えました。これから少しずつ本文の方も修正していきます。

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