03
「はるか。」と名付けられた小さな少女は、しばらく意識を取り戻したかと思うと、またすぐに眠りに落ちた。るりは彼女を抱え、時空移動でとある宇宙へと飛び、りんと合流した。
「どうだった?」
「あの子は嘘ついてないわ。これはうちが保証する。本当に記憶を失ってるみたいね。」
「つまり彼女は幼い頃から秘密を守るように教育されてきたタイプじゃないってことね…。あるいは、まだ年が若すぎてその種のことを知る年齢に達してないのかも。」魔法少女りんは目を閉じながら休みつつ、そう考えた。
「とにかく、この宇宙と次元の破壊は怪しすぎるわ。」
「まずは私たちの任務を終わらせましょう。」
「600人…いや、550騎の悪魔騎兵なら「灰燼の使者」で殲滅できるわ。でも今の私には、はるかを守りながら彼らを倒す自信がない。」りんは真剣に考え込んだ。もしるりから受け継いだ知識を十分に消化する時間があれば話は別だけど。それらの知識の持ち主は、ひとりで多元宇宙を破壊できる存在たちなんだから、たかだか600騎の悪魔騎兵を倒しつつはるかを守るなんて朝飯前よ。でも今のりんには、まだそんな力はないの。
「これって護衛任務みたいなものね。敵を全部倒しても、任務NPCが死んじゃったら意味ないでしょ。はるかは今のところ任務NPCなの。生きてさえいれば、次の手がかりを見つけられるわ」
「つまり撤退ってことね。」
「戦略移動よ、戦略移動!」りんはキョロキョロと辺りを見回した。
「空間転移するの?」
「えっ?」
「あなたがくれた知識の中には空間転移の方法が多すぎて、どれが標準的な動作なのかわからないわ。」
「…………。」るりも明らかに呆然としていた。彼女自身、そんな細かいことまで気にしたことがなかったからだ。まさか自分が他人に空間転移を教える立場になるとは……封印状態を解除し、全魔力を解放すれば極次元を破壊できるるりにとって、そんな問題は考えたこともなかった。
「標準動作なんてどうでもいいわ!早く逃げれば逃げるほど、はるかの危険も減るんだから、さっさと空間転移してよ!」
こうしてりんは空間転移との格闘を開始した。初心者が他人の助けなしに空間転移を行うのは、かなり難易度の高い行為だ。
転移後の座標制御も問題だった。知識はあっても、実践で試したことがないのだから。
「とりあえず行きましょう!」るりは気絶したはるかをりんに預けた「次元ガジェッツンへ向かうわ。あそこは熱砂企業が支配する中立次元都市よ。」
「わかった……。方向はあなたが指示して。私はできるだけ……いや、絶対に空間転移を失敗させない。」懐にはるかを抱えたりんは、そう言い直した。




