第3記
ある休みの日の朝、彼は両親にいつもより早く起こされた。
今日は無の日 (火の日、水の日、木の日、光の日、闇の日、無の日の6日で一週間、休みの日は無の日だけ) のはずだと瞼を擦っていると今日は収穫祭だという。たしかに外はいつもより騒がしい。
「今日は日が天辺に来たら仕事は終わりだ。そのあとは商業区に行くぞ。」と父が言う。
少年は一気に目が覚め早く仕事を終わらせようと3人を急かす。そして仕事が終わりすぐに家族で商業区へ向かった。
そこはいつもと違う刺激溢れる場所であった。いつも以上に混み合う道、様々な服を着た人、髪や肌も違う人でごった返す様を肩車上から眺める。
それは彼の、短い人生ではあるが、このままの生活が続けば良いという考えを大きく動かすものだった。
その後も歩き回りキラキラした石に心を奪われ、歌歌いのリズムにのり見たこともない食べ物に舌鼓を打った。その夜ベッドで彼は興奮の余り眠れないでいた。今まで己が全てだと思っていた世界。それはほんの一部にも満たないものであったと。そして眠りにつく前彼は確信していた。この記憶は決して色褪せることはないだろうと。




