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最果ての地へ  作者: いらは
序章
1/14

始まり

以前、ベッターに投稿していた作品を再編集(というほど書き直ししてないけど)

しばらくはシャナ視点の一人称になります。

どうも、こんにちは!

ボク、シャナと申します。あ、すみません。ボクの声聞きにくいですか?

よく言えばハスキーボイス、悪く言えばしゃがれ声で申し訳ない。

いろいろとお話しをしたいのですが、ちょうど山の中を逃げている最中なんですよ。

こうも鬱蒼と木々が繁ってる中を逃げるっていうのは、なかなか難しいですよね!おかげで服のあちこち破けちゃって大変です。

何から逃げているって?

ボクの背後の木々がメキメキって、悲鳴をあげながら倒れていってるんですけど、それでだいたい予想つきますよね?

え?無理?

そうか…できればその姿をボクは見たくないのですが…

仕方ない…追いかけてくるヤツの正体をチラッと見ましょう。

ボクもヤツとの距離を確認したいし。

では、振り向きますよ!

はい!見えましたか?

モサモサとした、いかにも固そうな褐色の体毛と、口からはヨダレなのか、なんなのかよく分からないけど鋭い牙から滴り落ちてますね!明らかにボクを餌認識してるよね!

うひぃ!気持ち悪いし怖いですね!

体長は大柄な男よりも、はるかに大きいです!なのに4足歩行でよくまぁ、ボクを追いかけてこれるからすごい。

わぁ!見ましたか?前足についてる鋭い爪!

ボクがわざと狭い木々をすり抜けて、追い付かれないようにしてるのに、いとも簡単になぎ倒しちゃうから恐ろしい腕力です。

普通の人間なら追い付かれて、カブリとなっちゃうけど、ボクのブーツには脚力強化の魔石を入れているら、なんとか追い付かれずにいるし、こうやって状況を説明出来るんです。

しかし…

「いったいイザナはどこで待機してるんですかぁ?!ボクはもう苦しんだけど!」

あぁ、すみません、急に叫んじゃって。

イザナって言うのは、ボクとバディ組んでる相手。

ボクはいわゆる“おとり”なんです。

イザナからある方角に、後ろを走る魔獣を誘導するようにいわれてるんですが…

走れど走れど、その目的地につかないんですよ…

泣きたくなります…

いや、泣かないけど。泣いたらイザナにバカにされますから。

とにかく、この木々の中を通り抜けないと、そろそろ魔力が尽きちゃいそうで…

お?そう言ってる間に、なんか前方が明るいですよ!

平原に抜けれるかも!

「やったぁ!平原!」

へい…

思わず喜んじゃったけど、確かに平原広がってはいます。それはボクの目の前と言えば目の前なのですが…遥か遠く下の方から広がっています。

ボクの足元はあと二三歩踏み出せば、そのまま空中へダイビング出来そうな立派な崖。命の保証はないダイビングになっちゃいますけどね!

「あぁ…どうしよう。また方向間違えちゃったみたい。イザナにバカにされるよ…」

目的地には着かないし、目の前は崖だし、後ろからは魔獣は迫ってくるし…

あぁ…ボクの人生はここで終わるのか…

そんな事考えていたら、目頭が熱くなってきました。

いや、弱気になっちゃいけない。どうやってここを切り抜けようか、考えなきゃ…

そう思った瞬間、背後の茂みが揺れ、さっきまでの勢いは嘘のように、茂みから魔獣が出て来たんだけど

え?この先は行き止まりって知っていたってこと?

魔獣の表情ってあまり見たこと無いけど、表情ある事に気づいちゃった。ここにきてこんな発見できるとは。

なんか勝ち誇ったような表情してるんで、非常にムカつきます。

うぅ…こんな所で終わりにはしたくないのだけど!

ボクはブーツに視線を落とし、魔石を確認した。

ブーツの魔石は力が残ってる。だとしたら、あとはタイミング。タイミングさえあわせれば…

冷静に、冷静にならなきゃって思えば思うほど、自分の心臓の鼓動がうるさく耳に響いてくる。おまけに変な汗もだらだら出てきて、寒いのか暑いのかわからない感覚になってきたんだけど!

(落ち着け…落ち着いてタイミング合わせるんだ…)

ゴクリと、ボクが生唾を飲むのと同時に、目の前の魔獣はヨダレ増し増しの大きな牙を向け、ボクに飛び込んできた。

きたー!とボクは必死に地面を蹴り、真上へとジャンプした。魔石のおかげもあり絶妙なタイミングで、ボクは魔獣の鋭い牙の餌食にはならずに済んだ。

高くジャンプしたことで、目の前から獲物を見失った魔獣は辺りを見回していた。

やったぁ!回避出来た!あとは着地!

まだ上にボクがいることを認識してない、今がチャンスだ。

そのまま魔獣に着地してしまえば、気絶させられるはず!

なんて賢いんだろう、自分で自分を誉めてやりたい!

ブーツの魔石を見ると、光っているのが確認できた。魔力は残ってる。あとはこのまま魔獣に向けて落ちれば…

行けぇ!シャナ!

かいしんのいちげきだ!

ズン!と地響きがなり、土煙が巻き上がって、ボクの視界はかすみ、足元も見えなくなった。

だけど、柔らかい感触が足元から伝わってきたから、魔獣に着地したのは確かなはず。

ちょうど風が吹き、土煙が吹き飛ばされ視界が晴れた。ボクは恐る恐る足元をみてみた。

おぉ…スゴいぞシャナ!

これはイザナに誉められるはず。方向間違えたことを帳消しに値するぞ。

なぜかって?ボクの足元には拳ほどの魔核石が転がっているからだ。

ボクは思わずガッツポーズしてしまった。

上手い具合にボクの一撃が魔獣の急所に入り、気絶どころではなく、なんと魔獣を仕留める事が出来たからだ。

ボクは転がっている魔核石を拾い、ニンマリと微笑んだ。

「ふふん、ボクだってやれば出来るじゃん!」

ボクは上機嫌で鼻歌混じりに腰のポーチから、協会のマークが付いた袋を取り出し魔核石を封印した。

勝利のポーズと、言わんばかりに両腕を空にあげた瞬間、足元から、あまり聞きなれない音がした。

聞きなれないというか、聞きたくない音というか。

そっと立ってる地面を見ると、明らかに地面に亀裂が入っていた。

まぁ、そうだよね。魔獣が魔核石になるくらいの衝撃与えたからこうなりますよね…

次から次にアクシデントが起きるなんて…少しは休憩させてくださいよ。

ボクは亀裂が入っている地面を跨ごうと、そっと片足を上げた。

が、ミシミシと地面から聞きたくない音が、ついに出てしまったのだ。慌ててジャンプをしようと足に力を込めたが、ボクの視界は変わらなかった。

変わらないどころか、さっきまで立っていた地面が、目の高さになってしまったのだ。

そう、もう魔力がなくなっていた。

「ひぃぃぃぃ!!」

情けない声を出したとこで、ボクの身体は宙には浮かない。

かといって、ボクが持ってる魔石は、今採ったばかりの魔核石だけ。

しかも浄化してない魔核石なんて、素人には危なくて扱えるものじゃない。

「うぁぁぁぁぁ!イザナァァァァァ!」

落ちていくボクは、情けない声で助けを叫ぶ。

何かの影がボクの頭上を通り抜けた。

ボクは、希望を含んだ目でその影を見上げた。

見上げた…見上げてまた、涙が出て来た。

頭上を通り抜けた影は、翼を持った魔獣だったのだ。

体毛などない、薄い皮で出来た翼。胴体はポッテリと中年のような、真ん丸な形に鋭い鍵爪の生えた手足に、細く尖った嘴から鋭い牙が見えている。これは確実に肉食ですね。

どうやらボクの人生は今日までと、決まっていたようだった…

翼を持った魔獣は翼を動かし宙に留まり、距離を縮めることなくボクを見つめていた。

ボクはこのまま地面に叩きつけられ人生を終えるのか、それとも、あの翼を持った魔獣に喰われて死ぬのかの二択。

ねぇ、どっちが痛くないでしょうか。

なんて考えていたら、いきなり魔獣がボクに向かって飛行しだしてきた。

風の抵抗を無くすためか翼をたたみ、あんなにあったボクとの距離がどんどん縮んでいく。

「あぁあぁ!」

ものすごいスピードで迫ってくるのを、見るに耐えられなくなり、ボクは目をつむった。

「楽に死なせて下さいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

そう、叫んだと同時に鈍い音がした。

そして、ボクの身体はなにかに掴まれ、宙に浮いた。

「……あれ?痛くない…」

「ったく、アホが…あれほどコンパス使えと言ったのに」

恐る恐る目を開けると、遥か遠く真下に平原が見えていた。

顔を上げると、淡いブルーの髪の毛が目に入った。そのきれいな髪の間から眉間にシワを寄せて、いかにも“不機嫌です”と言う顔でボクを見下してる人物が。

しかも荷物を運ぶように、ボクを腰に抱えていた。

え、こういう時ってお姫様抱っこが主流だよね?

なんなの?小脇に抱え込むって。

文句を言いたかったけど、まだ空中にいる状態で下手に口出ししたら、空中に放り出されるのかも知れないので黙っている事にした。

ちなみに、この背中に翼を付けた見た目割りとカッコいい人物は、先ほどから言ってるバディのイザナです。

彼の背中の翼は、先ほどのボクを襲った翼を持った魔獣のものだと思う。その魔核石を使って、ボク達は空中を飛んでいるのです。

魔石石があることで、大抵の事が出来るのだけど、それにはいろいろ資格とか規約とか諸々ありまして…それにについては、後でゆっくりお話ししますね。

たぶん…後で…イザナの説教が終わったら。

ボクを抱えたイザナはしばらく滑空し、岩山にある洞窟みたいな場所に降り立った。

降り立ったのはいいけど、着地するなりボクを荷物のように放り投げたのである。

人権侵害…

「ちょっと!ヒドイじゃない!放り投げる事ないじゃないか!思い切り背中打ち付けたんですけど!」

背中をさすりながら、イザナに文句をいう。だけど、イザナは先ほどの翼を持った魔獣の魔核石を見つめていた。

ボクの声には反応してくれてない。

イザナはため息をつき、その魔核石をポケットへといれ、ジロッとボクを睨んだ。

ひぃ!

ある意味、魔獣よりも怖いんですけど!

「なにか言う事あるよな?」

冷めた目でボクを見るイザナ。

ボクは乾いた笑いしか出なかった。

それでもイザナの眉間のシワは無くならない。

ボクもため息をつき、頭を下げた。

「えーと、ボクを助ける為に、貴重な魔翼獣の魔核石を使わせてすみませんでした…」

棒読み感はかくせないが、一応謝らないとね…

「あのな…シャナ…オレが言いたいのは、なんで方向を間違える?コンパスと特別な魔石を渡しただろう!?

道具も使えないなら、マジで今度こそ置いてくぞ?」

「えぇ!?置いてくのだけはよしてよぉ!それにコンパスはちゃんと使っていたんだってば!

ただ、逃げてる途中で壊しちゃって…」

そうなんだ。使っていなかった訳じゃないんだ。

自分が方向音痴のは仕方ない。だからコンパスを大事にしてたのに、なんでか走っている最中に壊れちゃったんだよね。

不思議だよね。

「どこまで運が無いんだ?お前は…

いつになったらその方向音痴は治るんだ?」

そう吐き捨てるようにイザナは呟いて、オデコに手を当て仰いだ。

方向音痴がなおるならとっくに治しているんだけどね…どうやったら治るかボクも知りたいよ…

そう言いたかったけど、これ以上イザナを怒らせたら、本当に置いていかれそう…

「まぁ、今回もなんとかなった訳でさ」

話題をそらそうとボクがいった瞬間、またギロリとイザナは睨む。

あれ?逆効果?しかし、ハンターさんのマジオコは怖いよう。

「万事オッケーって言いたいのか?オレが間に合わなかったら、死んでいたんだぞ?魔獣に食われていたかもしれないんだ!

いいか?オレは確かにあんたを北の大地、最果てへと連れていくことを請け負った。だがな、バディを組んで仕事をするのはマジで勘弁だ。

素人に近い見習い未満が、ハンターとバディ組むなんてここがイカれてるヤツしか居ないんだよ!」

そう叫ぶように、激しく言いながら頭を指差していた。珍しく、イザナが大きな声を出してる。しかも長々と。

でもまって?もしかしてこの内容って、イザナが…ボクの身を安じてくれた?

あの仏頂面のイザナが?

なんだろ、キツイように聞こえるけど、ボクの事を心配しての小言かと思うと思わずにやけちゃう。

「…!なんだ。なにをにやけてる。気持ち悪い。

ニヤニヤするな」

「え、別にニヤニヤなんて…ふふふ」

まぁ、自分でも顔が緩んでいるって分かっているけどね。

「クソ。あの時、お前の依頼なんて聞くんじゃなかった」

イザナは頭を掻きながら、不機嫌そうに洞窟の奥へと入っていった。ボクも怒られない距離を保ちながら、そのあとに続いた。

つづく

世界観など、これから入れていきたいと思っております。

拙い文章ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

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