表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2話

「ん、う、ううん」


俺は無事に転生を果たしたようだ。一応確認しよう。俺は元は勇者で名前はノエル。歳は20だった。無事に邪神を倒し、仲間は魔王を倒した。そして邪神は神王妃の力を取り込んでいたから神王に感謝され、男女比が1:1000の世界に送られた。俺はイケメンで勇者の力が使える。魔法も使えるようだ。

物は試しに


「【火】」


俺は手を広げてそう唱えると、掌に火が出てきた。


「おお、凄いな。それにしてもここはどこだ?」


俺は周りを見渡した。俺はここまで過ごした記憶を思い出そうとする。するとここまで過ごしてきた記憶が頭の中を巡った。


───お父さんがいなく、母子家庭で姉と妹がいる四人家族だということ


───幼稚園の頃は元気で周りの子と仲良く遊んでいたこと


───小学生になると男の希少性と女からの肉食獣の視線の理由を知ったこと


───中学生は同級生の女どころか家族すら疎遠にしていたこと


───そして俺が交通事故にあったこと


全て思い出した。てか俺以外の男を見た記憶がないんだけど。かなりヤバイな。それにしても俺の家族全員美人過ぎん?


取り敢えず俺の名前は木村海翔きむらかいと。15歳で中学3年生の夏が今の状況だ。そして姉が高校2年生で17歳、妹が中学1年生で13歳。姉の名前が木村七海きむらななみ。妹の名前が木村咲雪きむらさゆき母は32歳で木村沙耶香きむらさやかだ。そしてこの世界での成人は俺の世界と同じで15歳だ。なので母さんは成人した年に姉さんを産んだことになる。髪は全員が黒髪で、髪型は母さんがロング、姉さんはショート、妹はポニーテールだ。そして何より全員の胸がでかいのだ。妹の咲雪も推定Cあることから姉さんと母さんのサイズは言わずともかなだろう


俺は頭の中の記憶を思い出していると、突然扉がノックされ、中に金髪のナース姿の美女が入ってきた。


「しつれーしまー、す?」


ナースは言いながら道具を置き、俺の方を見て固まる。昨日まで寝ていた患者がベッドに座っていたら驚くよな。


しかしこれはちょうどいい機会だ。神王様が俺にくれた美貌を確かめるために少しだけ微笑んだ。いわゆる微笑だ。少しだけなのは笑うのになれていないのと、美女が目の前にいて緊張してカチコチの笑顔になりそうだったからだ。


「こんにちは」


俺は微笑をしながら言った。すると金髪ナースは顔をみるみるうちに赤くさせ、倒れてしまった。鼻血でアーチを描きながら。


「は、え?だ、大丈夫ですか!」


俺の美貌ってそんなに凄かったのか。鏡を今まで見た記憶がなかったから分からないな。取り敢えず倒れたナースに近寄って顔を覗き込む。するとナースも丁度自分で起き上がろうとしてたみたいで安心して息を漏らした。その息がナースの額を直撃し、そのまま


「キュウゥ·········」


そのまま気絶してしまった。ナースをそのまま放置をせずに、部屋にあるソファーに寝かせてあげる所が神王様に気に入られた優しさだろう。


「まさか息をかけただけでこれはヤバイなぁ」


そう言いながら本棚にあった本を適当に1冊取ってベッドに横になる。題名は【女騎士と王子様】という題名で面白そうだ。読み進めると、この本は囚われの王子様を女騎士が救い出し、そこから王子様が女騎士に恋をする。そしてその恋に女騎士も気付き、2人の恋は進んで行く。と、かなりベタなストーリーだったが、俺の世界にはないような話でとても面白かった。


俺は楽しくて他の本も手に取って見たが、全ての本に共通して言えるのが、男は『ヒモ』のようだということだ。女は男を養い、男は女に子を授ける。昔は男が女に子供をさずけることから神の子と呼ばれていた。


俺が夢中で本を読んでいると、扉が凄い勢いで開けられ、外から2人の超美少女が入ってきた


「海翔!お見舞いに来たぞ!って起きてないってえ?」


「かいにぃ!早く元気になってね!ってえ?」


2人はまさか俺が起きてるとは思ってなかったのか俺が起きて本を読んでたことを驚いている


「2人とも心配かけてごめんね。これからはちゃんと2人と向き合っていくからこれまでのことは許して欲しい」


そう言って俺は頭を下げる。2人が困惑してるのが雰囲気として伝わってくる。流石にいきなり過ぎたか········


「·········かいにぃ!よがったよ、もしかいにぃが死んじゃったらと思ったら。うええええん」


妹の咲雪が俺の元へ飛び込んできて泣いている。俺はそれを衝撃をさりげなく逃しつつ抱きしめる。そして背中を擦りながら語りかけるように話す


「俺は死んだりしないから大丈夫だぞ」


これ以上咲雪にショックを与えないように話す。姉の七海が何をしてるのか気になり見てみると電話をしていた。多分だが母さんに俺が起きたことを伝えてくれてるんだろう。ありがたいことだ。


俺は泣きじゃくってる妹の柔らかい手、足、そして胸の感触を楽しみながら妹が泣き止むのを待った。





「海翔!起きたのね!良かった〜。もしあなたが起きなかったらと思うと夜も眠れなくて」


突然扉が開き声の主は俺に勢いよく抱きついてくる。当然俺が慰めていた咲雪は声の主に潰されるわけで


「ふにゅ!」


と声を上げていた。しかしその声は届いておらず、潰した本人は


「海翔〜。良かったわ〜。これからはあなたのことをお世話してあげるからね〜」


と泣きながら俺に言った。


「母さん、今まで迷惑かけてごめんね。これからはもっと家族で話すようにするよ」


俺は咲雪達に言ったように母さんにも言った。


「え?本当に!これからは一緒にご飯食べられるの!」


「勿論だよ。姉さんと咲雪、母さんとも仲良くするよ」


この体をこれまで使ってきた海翔には申し訳ないが、俺にとってはこの家族、この世界は最高だ!





俺は意識は覚醒したが、念の為ということでもうしばらく入院することになった。妹や母さんがずっと病院にいて看病すると言って聞かなかったから姉さんに手伝ってもらって家に連れて帰らせた。

あれ?姉さんには俺の魅力が通じてないのか?

俺はこっそり魔法を使う


「【念話】」


この魔法は相手と言葉を使わず意思疎通をする魔法だが、俺が何も念じなければ相手の声しか聞こえない。


(海翔相変わらずカッコイイな〜。あ、こっち見てる♪頑張って『優しい姉さん』を演じよう)


あ、この人キャラ作ってんだ。俺が小学生の時とかベタベタだったのに変わったなんて思春期かと思ったけど、女にはそんなの訪れないみたい。男もそんなのないみたいだが。






俺は病院にいる間にこの世界のことをスマホを使って調べた。すると分かったことが、この世界では男がとてつもなく希少で一夫多妻が認められてる。神様が言ってた通りということだ。大半の女性が男と結婚どころか見ることすら出来ずに生を終えるらしい。

俺が1番驚いたのが、この世界の男には性欲というものが存在しないらしい。子供を作ることはするが、淡白でそれだけらしい。こんなに可愛い人達に迫られても興奮することなく、逆に「ブスだな」

と話を終える。ある意味尊敬できる。俺はこのことを知った時


「ヤバくね。この世界の大半の女は処女ってことかよ。最高じゃん」


前世も含めて童貞な俺には少々ハードルが高すぎるが、問題ナシ。そしてこの世界の男のスタンスはグータラ暮らして、女から貢がれて過ごすらしい。ごく稀に働く男もいるが、基本的に男は自己中心的な性格となっている。ま、女からチヤホヤされたら調子に乗るのが男ってもんか。


そしてこの世界には魔法が存在しない。その代わり科学がある。このスマホもその1種だ。そしてこの世界には魔物がいない。すごく安全な世界だ。犯罪は起こってるみたいだが。


俺は神王様に祈った。こんな素晴らしい世界に連れて来てくれてありがとう、と。


「それはノエルがそれ相応の結果を出したからだよ。気にする必要は無い」


そう聞こえた気がした。

そして俺が意識を取り戻してから1週間後。俺は退院することになった。それぐらい経つと既に違和感は消えているもので、お母さんや姉さん、妹を意識せずとも呼べるようになってた。勇者譲りの学習能力でこの世界の文字の書き方を全てコンプリートした。話す言語は同じなのに、書く言語が違うのは違和感だったが、慣れればどうってことなかった。


「お世話になりました」


俺は世話をしてくれた看護師、ナースの皆さん。毎日気遣って見に来てくれた医者の人。全員に見送られ俺は退院した


「また来ていいんだよ!」


「戻ってきちゃダメでしょ。でも暇な時に遊びに来てくれると嬉しいな♪」


「はい!お世話になったこと忘れません。ありがとうございました」


俺がそう言って笑顔で手を振ると全員が顔を真っ赤にし、鼻を押さえて後ろに倒れてしまった。

幸いにも頭からいった訳じゃないから命に別状はないけど大丈夫か?


「心配ないわよ。倒れる時無意識のうちに受身をとってたから。あの人達は海翔と一緒にいると気絶が多くて倒れるから安心できない、でも海翔の看病はしたい。って理由で受身を身につけてるから安心してね」


お、恐ろしい執念だ。俺はここまで執念で成し遂げる人初めて見た。


「さて、車は用意してるから早く帰りましょう。七海も咲雪も待ってるから」


「そうだね」


俺は記憶にある自分の家に思いを馳せて車に乗った。ちなみに車は高級車で4人乗りだった。








「ただいま〜!」


「ただいま」


「「おかえり!」」



母さんの声に釣られるように自分も声を出して家に帰ってきたことを示す。するとリビングから2人の声が聞こえ、ドタドタと走る音も聞こえる。


そして2人の姿を視認すると、2人は同時に抱きついてきた。


「かいにぃは学校の時いつも私がそばにいるから安心してね」


「海翔、これからは姉さんが送り迎えしてやるからな」


は?

俺は話についていけず、呆気にとられた。


「海翔は自分から車に跳ねられて倒れてしまったのよ。それが学校での女の子のアピールのせいだと思ってるのよ」


あー、そういう事か。確かに俺はそう思ってたみたいだけど、死ぬほどとは思ってなかったな。

でもせっかく心配してくれてるならそれに乗っかるのも手か


「ありがとう。これからは咲雪と姉さんを頼るから。よろしくね」


俺は病院にいる人たちをワンパンで気絶させた神の微笑みを送った。しかし俺の予想はいい意味で裏切られた。妹と姉は顔を赤くするだけで気絶することはなかったのだ。

そりゃ15年も一緒にいれば慣れるか。


「ほらほら、中に入って。今日は出前にしよう。せっかく海翔が帰ってきたんだから。あ、学校は1週間行かなくていいからね。安静期間としてしばらく海翔は休むことになったから」


俺は空を聞いて少しガッカリした。前世は平民だったし、勇者として戦いばかりの毎日だったから学園なんて行ったことすらない。だからすっごい楽しみにしてたのに·············。ま、1週間経てば行けるし、問題は無いな。


「かいにぃ、しばらく一緒にいれるね!」


「ん?どうして、学校は?」


「学校はかいにぃが事故して学校に来なくなってからほとんどの女子が休んだから、このまま授業しても無駄だから、かいにぃが学校に行くまで学校閉鎖になった」


「へぇー。てことは姉さんは休みじゃないってこと?」


「ん?私は学校あるぞ。海翔といれないのは残念だけど、もう時期剣道の大会があるからな。練習をサボる訳にはいかないしな」


俺は【念話】を使う


(あー!なんで学校なんてあるんだよ!海翔と過ごせないじゃないか!何であの時私大会の参加断らなかったんだろう。はぁ〜、咲雪が羨ましいな)


内心すごい残念がってるみたいだ。

俺は少しでもその負担を軽くするため応援をすることにした。


「姉さんの戦ってる姿見てみたいな。その大会って俺も見に行っていい?」


「え?海翔来るのか?」


「うん、姉さんを応援したいし、カッコイイところみたい!」


すると姉さんの手がプルプルと震えてることに気づいた。俺は【念話】を使ってみると


(今すぐこの可愛くて、カッコイイ海翔を抱きしめたい!なんて優しいんだ、絶対に見に来て欲しい。海翔がいれば億万力だ)


俺は姉さんの心の声を聞き、チラッと姉さんの果実を盗み見た。本当に少しだけだぞ。そして俺は姉さんが抱きつきやすい空気を作ることにした。


「姉さんのかっこいいところも見たいけど、やっぱり優しい姉さんも好きだな。幼稚園の頃に俺を抱きしめてくれたから」


さあ、お膳立ては完璧だ。後は俺を抱きしめるだけ。かかってこい!

俺はいつでも準備万端だ


「海翔!私は優しい姉さんだぞ。ほら抱きしめてやる!」


ムニュウウゥゥ


俺は心臓が高鳴った。

ヤバイ!ヤバイぞ、これは!

俺は姉さんの柔らかく、弾力が富んだ胸に顔を埋めるように抱きしめられていた。本来は俺の方が身長が高いはずだから、姉さんは背伸びして、俺の顔を胸にうずめさせてる。

このまま理性とお別れして本能と出会いたい!でもこのままじゃ他の男に向ける情欲と変わらない。例え今は俺にだけた向いていても、人の心は移り行くもの。何があっても動かないように俺に夢中にさせる必要がある。


「君以上に素敵な男はこの世界にいないんだけどなぁ」


何故か神王様の声が聞こえた気がしたが、無視をした。、


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ