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1話

俺はこの世界の悪の権現である邪神。そして俺の仲間である剣帝、聖女、賢者は邪神の手下である魔王と向き合っていた。


俺は勇者という呪われた運命に選ばれた。勇者はこの世界のために戦わければならない。それはどんな事情があろうと絶対だ。それは国が望んでいるのではない。この世界の神がそれを望んでいるのだ。だから運命を操り自分を戦わせようとする。自分の愛する者を人類の敵である魔族に殺させたり、自分の国を滅ぼしたり、と色々する。


だから俺は自分の大切な人を殺させないため、勇者に選ばれると次の日には国王に会いに行き、魔王そしてその親玉である邪神を倒すと誓った。


勇者の役割は魔王と邪神を倒すこと。倒し終わると勇者の超常的な身体能力、そして圧倒的な学習能力、凄まじい量の魔力を失う。しかし勇者の時に教わった剣技や知識は失うことは無い。


「ノエル!俺らは魔王を倒す!お前は邪神をぶっ倒せ!」


「ノエル君!絶対に全員で生きて帰ろうね!」


「全員で打ち上げに行こう!」


俺の名前はノエル。邪神と魔王を倒すために神に選ばれ、そしてこれから神殺しを成し遂げる者だ


「クックック。馬鹿め。我らと相対して生きて帰ることを望むとは魔王、お前はあの下等種が望むとおりあ奴らを倒せ。我は目の前の小僧の相手をしよう」


「承知しました。魔王は人間ごときにやられるほど弱いと思われるとは舐められたものだ。その勘違い──」


そして魔王の威圧が高まる。そして魔王は威厳を乗せて言った。


「──この場で正してくれる!」


それと同時に魔王と仲間達の壮絶な戦いが始まる。【魔城】と呼ばれる場所の至る所に傷がつく


「そんなに隙を見せて殺して欲しいのか?」


そう言われ視線を相手に戻すと、目の前に全ての絶望をまとめたような深淵が迫っていた。

俺はそれを驚異的な反射神経で横に飛び避ける。


「 ふむ、やはり勇者は厄介だな。あの神どもも厄介な者を送ってくる。しかしながら下等種は大馬鹿ばかりだな。剣でいくら斬ろうが我が蘇るのを止めることは出来ないとは知らずに」


「ペラペラ喋る奴だな。お前が言うことは分かってるよ。お前が何度殺しても死なない理由。それは聖剣ごときじゃお前の魂を斬ることができないからだ」


俺が指摘すると邪神は一瞬の動揺を見せたものの直ぐに立ち直し


「ほう、ようやく分かったのか。しかしその事を知っただけでは我を消滅させることは出来ぬ」


「ああ、そうだな。だから苦労したよ。この剣を見つけるのは」


そう言って俺は【収納】から一振の剣を取り出す

その剣は装飾が何一つとしてなかった。売ったとしても1000エルで売れるくらいだろう。しかしこの剣を勇者が使うことによって【神殺し】という名の神剣になる


「そ、それは!」


「ああ、神獣がうじゃうじゃいるところに単騎で突撃して取ってきたんだよ。すげー苦労したんだぞ?聖剣でも刃が通らないことがあるし、魔法を全て反射する奴とかいたんだぜ?ま、そのお陰でこの勇者という負の連鎖を断ち切れるし、これからの世代悲しむ人はいなくなるだろ」


俺は【神殺し】を構えて俺が神獣や魔族、果ては悪魔や堕天使などの戦いから生み出した剣術の流派。少しおちゃらけて厨二病が入っているが個人的には悔いはない。名付けるなら【勇者流】だな。俺はその中で考えた奥義を使う。


そして俺の並々ならぬ気配を感じたのか邪神も俺に幾つもの魔法を放ってくる。そのどれもが街を破壊できるような威力を秘めている。俺はそれを俊敏な体捌きで躱し、時には魔法で迎撃もする。


そして俺が剣の間合いに突入する。するとそれを待っていたかのように邪神は俺の身の丈の3倍はある程の大剣を俺に向かって振り下ろす。しかし俺はその剣に俺の剣を横から当て軌道を俺から逸らす。そして目の前にある相手の体目掛けて剣を横薙ぎに振る。


「グッ」


邪神は後ろに飛んで離れようとするが、ここが好機。逃すわけが無い。


【勇者流奥義 全斬り】


俺は【神殺し】に『魔力』『闘気』そして勇者だけが使える『聖気』を刹那のうちにためそれを邪神に向けて上から振り下ろす。


剣の抵抗はなかった。自分が斬ったかどうかが分からないほどに。

しかし俺には目の前で脳天から股まで真っ二つに斬れ筋が見えていた


「グッワッ!よ、よくも我を······斬ったな。我は必ず生き返り······この世界を······混沌で染め······上げようぞ!」


最後にそう言い切り邪神は真っ二つになって倒れた。


「そんなことは無い。この場で邪神の存在を消して、勇者の負の鎖は消し去った」


そう言い【神殺し】に着いた血を剣を降って飛ばす。

そして俺が魔王と仲間の先頭を見ると剣帝が魔王の首を斬り飛ばし、賢者が魔王の肉体を焼き尽くし、聖女が魔王の魂を天に返す。


この時人類と魔族の決戦に終止符が打たれた。


「ふぅ〜。やっと終わったのか。これで俺も一般人になれるのか」


俺が1人でこれからのことに夢を馳せてると、隣から3人の声が。


「何言ってんだよノエル。邪神を倒した世界の英雄が放置されるわけないだろ?それにお前の【勇者流】とか言うのも継承させないと意味ないだろ?」


「ノエル君は頑張ったんですからこれからの事を考えても良いんですよ」


「ふふっ、初め君から魔王討伐に誘われた時は正気かと疑ったけど本当にできたな」


俺らが全員で全員の生きて生還できることを笑って祝っていると突如【魔城】上空に光が降り注いだ。これまでずっと暗雲で覆われていた空に光がさした。そしてそこから神々しい光を纏った1人の女性が現れた。そして既に戦闘で壊れて穴が空いていた天井から入ってきて俺らと同じ地に足をつけた。


「勇者ノエルよ。よく邪神を滅ぼしてくれました。あなたには感謝してもしきれません」


他の3人は突然の出来事に呆然としているが、俺は目前で起きてる出来事を把握していた。


「その前に一つ聞かせてくれ。なんで神は勇者を必ず魔王や邪神との戦いに身を投じさせてるんだ?教えてくれよ。女神様」


俺が目の前の存在を言うと他の3人は目に見える形で動揺している。目の前に自分達が信仰する女神が現れればそうなるわな。


「それは邪神と呼ばれる神は私、神王妃である私の力を取り込んで神としての力をつけました。そして神王はそれを怒り、自分から倒そうとしましたが、神が下界に降臨すると世界が神の力に耐えきれず滅びてしまいます。なので神王は代役として勇者を立て、滅ぼそうとしました。しかし早くして欲しい神王は遂には運命を操ってまで倒そうと考えたのです」


俺はその話を聞き内心納得していた。


「なるほど。それは分かりました。なら神王妃であるあなたがここにいていいんですか?」


「私の力はまだ不完全なので大丈夫です。それでも時間制限はありますけどね。それで神王はあなたに褒美、報酬を与えたいと言っています。どうされますか?勿論受け取らないということもありますが」


俺は一も二もなく決めた。


「もちろん受け取ります」


「そうですか。ならば神々が住まう神界に来ていただきますがいいですか?」


ま、それはそうだろうな。そうしないとどこで報酬を貰うのかということになるし。


「了解。なら3人は帰っててくれ。報酬を受け取ったら帰るから」


「いえ、残念ながら1度神界に行くと元の世界には戻れないのです」


「はぁっ?なんだそれは」


俺は薄々と考えていたが、いざ言われると少しはイラついてしまうもの。


「申し訳ありません」


「分かってたことだし、仕方ないと思うけど。それで俺が突如消えたらどうなるんだ?」


「邪神と相打ちになったと記憶を改変するなど処置はありますが」


「うん、そうしてくれ。その方が後腐れなくて楽だわ」


「了解しました。それでは神界に送ります」


そう言って俺の視界を光が塞いだ。





俺が目を開けると目の前は真っ白な空間が支配していた。そこで1人を中心として跪いているのはかなり異質だったが、その場の空気にあってる気がした。


そして俺はその中心、1人だけ立ってる人の隣にいた。


「君が僕の嫁を助けてくれたノエル君だね?」


俺の隣から声がして、顔を向けると、自分と同じような好青年が立っていた。


「はい。あなたが神王······様ですか?」


「ははっ、無理して敬語は使わなくていいよ。むしろこっちが感謝しないといけないからね。うん、そうだよ。コホン。よくぞ邪神を打ち倒し世界を救ってくれた」


「はぁ、そうですか」


「ああ、君は勇者とはいえ下界の生物の身である神を殺すなんて本当に凄いんだよ?しかも純粋な神を殺すのはいくら【神殺し】があっても難しいんだよ。神は【神殺し】を持ってる人に対する全ての能力が上がるからね」


「は?そんなの初耳だぞ?」


「だって神殺しが悪いやつの手を渡ったら結構あっさりやられちゃうからね。勇者じゃなくても斬れるからね。君達の深層心理に干渉して勇者以外には使えないとなったるけどね」


「確かにそうだな」


「さて本題に入ろうか。君には僕の嫁を救ってもらった何事にも変え難い恩がある。それに君は優しいから大体のことなら叶えられるはずだ。さあ、君は何を求める?」


俺はここまでの大盤振る舞いに驚いた。それでも来る者拒まず、だ。


「どうしよっかな〜」


「別に物じゃなくてもいいんだよ?例えば戦いのない世界で記憶を持ったまま生れかわることもできるし、君の世界より便利な世界に魔法の力を持って生まれ変わらないで行くことも出来る」


「あー。なるほど。神様相手ならそういうお願いもありなのか」


そういう世界も魅力的だけど、男に生まれたなら女にモテたい!勇者だった時は訓練!訓練!訓練!で、戦い!戦い!戦い!の毎日だった。


「俺がモテるような世界に行きたい」


「へぇ、男としてやっぱりそれは憧れるよな。で、ノエルがモテる世界に行きたいんだな?ということはノエルの容姿を完璧にして、そして念の為男女比のバランスを崩してと。他には何か要望は無いのか?」


この程度は報酬には会わないと考えた。それほど神王妃を助けてくれたことは神王の中で大きかったのだ。


「なら世界は平和で文明が進んでる世界は?」


「元からそのつもりだったから無し。他には?」


「··········今の記憶と勇者の能力の持ち越しは?」


「おお!確かにそれなら丁度いいな!ノエルなら悪用しないだろうし、そんなことしても現代化学兵器でボコされるだろ。魔法もあるけど無限じゃないしな」


「え?本当にいいんですか!魔法まで!」


「うん、それぐらいいいよ。それぐらいしないと僕の恩が返せないからね。ええと記憶は丁度いい頃になったら与えた方が肉体の負荷が低いから···················これでいいね。君はその世界の15歳になったら今の記憶が戻るようになってる。その時に力を戻るようになってるから、それまでに力の暴発とかないから安心して。

そして君が行く世界【カイペーリング】は男女比が1000:1なんだ。それに君の容姿は最上級にしてあるから確実にモテる。そして一夫多妻制で近親婚も認められてるよ。それでその世界の女は全員美少女、美人揃いだから。でも男はそうでも無いかな。美醜逆転では無いよ」


「·········なるほど。分かった。てことは俺の待遇はVIPということか」


「うん、君のように『イケメン』『優しい』『天才』を兼ね備えてるから実質国宝級イケメンみたいな感じ?」


「何から何までありがとうございます神王様。この御恩は忘れません」


「ふふっ、そんなことしたら今度はまた感謝しないといけなくなっちゃうね。ま、頑張ってよ。ここから見守ってるから。それじゃあね〜」


そう言われ今度は視界が暗転した






















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